サステナブルで、高音質
ソニーでは、2050年に環境負荷をゼロにすることを目指す環境計画「Road to Zero」を掲げています。この計画に基づき、2021年度から2025年度までの環境中期目標「Green Management 2025」を定め、製品1台あたりのバージンプラスチック使用量を2018年度比で10%削減することを目指しています。
オーディオ分野では10年以上に渡り、再生プラスチックの性能をバージンプラスチックと同等にまで改良し、設計を工夫することで、さまざまな製品に再生プラスチックを使用する取り組みを続けてきました。
音にも環境にも妥協しない
再生プラスチックを使った製品の音質が、バージンプラスチックの場合と同様に、ソニーの高い音質基準を満たせるよう、長い年月をかけて再生プラスチックの開発を進めてきました。
再生材および混合する材料をさまざまな比率で配合し、試作品の評価を繰り返した結果、2016年、バージンプラスチックと比べても音質に遜色のない再生プラスチックの開発に成功。この素材は、HT-XT2やHT-NT5などのサウンドバーの内部部品を中心に導入されました。
その後も多くの試作と検証を繰り返し、MHC-V13をはじめとしたハイパワーオーディオ製品や、テレビ製品の内部部品など、さまざまな製品に再生プラスチックを採用してきました。
新たな再生プラスチックの開発
再生プラスチックの性能をさらに高め、より多くの製品に再生プラスチックを採用するために、素材の性能をさらに高める開発を続けています。
音質に加えて、難燃性や色調などの要件を満たす再生プラスチックを開発したことで、これまでよりもさらに多くのオーディオ製品に採用できるようになりました。

電気製品の部品に使用される材料は、安全性の面から、燃えにくい性質、つまり難燃性が非常に大切です。ソニーで新たに開発した再生プラスチックは、この難燃性が高いため、さまざまな部品に幅広く使えるようになりました。
再生プラスチックは色調を安定させることが難しく、製品の品質や性能を損なわずに美しい外観を実現することも、大きな課題でした。そこで、色が均一な再生プラスチックを開発したことで、発色が安定し、幅広いカラーバリエーションで今後の製品開発を進めることが可能になりました。


音の響きは材料によって異なります。新開発の再生プラスチックを製品に使うにあたり、既存の材料にどれだけ音質を近づけられるかが鍵となりました。音響や構造を工夫しながら、さまざまな素材について音質を評価することで、ついに目指す音質に到達しました。
HT-S400への導入
新たに開発した再生プラスチックは、HT-S400のサブウーファーの背面パネルに使われています。この部分は難燃性が求められており、高い難燃性を実現した再生プラスチックを採用しました。
SRS-XE200とSRS-XE300への導入
ワイヤレススピーカーの新製品、SRS-XE200とSRS-XE300では、内装部品に再生プラスチックを導入しました。
ソニーはこれまで、高い音質を実現する再生プラスチックを開発し、さまざまなオーディオ製品への導入を続けてきました。これからも、環境への配慮と優れた音質をともに実現する製品をお届けしていきます。
開発者インタビュー

ソニー株式会社
ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部
ホームプロダクト事業部
ホーム商品技術部
ホームオーディオでは2010年頃から、再生プラスチックの採用に取り組んでいます。その中で、バージンプラスチックに劣る性能を改良しながら、設計を工夫し、製品に使えるようにしてきました。2016年には、音質も考慮した再生プラスチックを開発し、製品の内部部品を中心に採用しています。
しかし、さらなる再生プラスチックの使用拡大を実現するためには、製品への適応範囲を広げる必要があり、今回新たに、難燃性を付与した再生プラスチックの開発に成功しました。開発に際し、今まで使用していた素材の音質にいかに近づけるかを念頭に置き、検討を進めました。いくつもの配合を検討し、強度評価や試作を繰り返すことで、音質はもちろんのこと、製品としての物性を満足する材料を作り上げることができました。
ソニー株式会社
ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部
ホームプロダクト事業部
ホーム商品技術部

まずは、材料そのものの響きに着目して、再生プラスチックを開発してもらいました。材料から嫌な音や濁った音がしない、美しく響く素材を目指して、配合などを変えながら、再生プラスチックで作ったスピーカーの音を何度も確認しました。
完成した再生プラスチックは、バージンプラスチックに比べて物静かな音の傾向になっています。そのため、素材の完成後も、製品として使用するためにさまざまな工夫を行いました。例えば、成型して部品になった時に適度な響きになるように、成型品の板厚やリブなどの構造を最適化し、響きをコントロールしています。さらに、ドライバーユニットは軽快感が出るような仕様を採用しました。これらの結果、埋もれていた個々の音が聞こえるようになり、音の解像度を高めることに成功しました。
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