ソニーのUI/UXデザイナーの働き方徹底解剖! イメージング領域のユーザー体験を支える先輩社員インタビュー。

みなさんはUI/UXという言葉を耳にしたことはありますか?UIとはユーザーインターフェース、UXとはユーザーエクスペリエンスの略です。UIはユーザーが製品やサービスに触れる接点のことで、例えば画面やボタンなどがそれにあたります。UXはユーザーが使う前から後まで含めたすべての体験のことです。
本記事では、ソニーの中でUI/UXデザイナーとして働く社員の仕事の進め方やこだわり、キャリア感などについて徹底的に掘り下げます。
今回記事にご登壇いただくのは、イメージング領域※で長年UI/UXデザインに携わり、ソフトウェア実装から部署横断のUX領域まで幅広く活躍する山本さんです。若手UI/UXデザイナーの松本がインタビュアーとして、先輩社員である山本さんに様々な観点でお話を伺ってきました。
※ソニーのカメラや映像技術にかかわる事業分野
UXを"導入"から"品質担保"まで
──まずは現在の役職と担当している業務について教えてください。
役職は複数のプロジェクトに参画しているUXデザイナーたちを束ねるUXデザイン推進リーダーをやっています。業務の責務的なところは、イメージング領域におけるハードウェア商材やアプリケーションの開発にUXデザインを導入していくところの推進をしています。あとはUX観点での品質担保も、ですね。ハードウェア、ソフトウェア問わず、製品群はたくさんあって、デジカメからプロ動画機、カメラレンズなど幅広く横断的に活動しています。
──UI/UX領域でのこれまでのキャリアについて教えてください。
だいたい13~14年ほどこのUI/UXデザイン関連の業務に従事しています。最初の4年はアプリケーションレイヤー※のUIを実装する側でしたが、少しずつUI仕様を考える側になり、ここ10年くらいはUXの領域にやってきたという感じです。
※システムの中でユーザーに最も近い階層。OSやプラットフォームが提供する機能の上に作られる部分で、画面の表示やボタン操作、アニメーションや遷移など、UIの具体的な挙動を実装・管理する領域。
企画初期から伴走 ユーザー調査・解決案検討までの日々の実務
──お仕事のときの1日の過ごし方について教えてください。
始業後、メールとチャットのチェック、スケジュールの確認は毎朝やりますが、あとは日によって変わります。午前中はプロジェクト関連のミーティングが1~2件くらいあって、UX関連の議論を行うことが多いですね。午後は週に一度の定例があり、事務連絡やUX事例の共有、各メンバーがやっている業務の共有をします。そのあとは再び各プロジェクトのミーティングに参加し、夕方以降から自分の個人業務に取り掛かるっていう感じです。
また、チームのメンバーとは定期的に1on1ミーティングをしており、そこで業務の進捗確認や相談事を話す場を設けています。こまめに話す時間をとることで、常にチームメンバーの状況を把握できているようにしていますね。
──プロジェクトではどのようなフェーズから入ることが多いですか?
最近では企画検討のなるべく早い段階からから入るように心がけていて、企画担当の方と一緒にユーザー調査を行い、課題やニーズの探索、ソリューションの検討まで一緒に行っています。ここで重要なのは、我々は開発部隊なので、自分たちのアイデアを形にしてくれる実装チームに、脳内で考えていたり感じていたりすることをしっかり伝えることですかね。開発前の段階で意思疎通が図れていないと、できたものが実際思っていたものと違ってしまうからそういった役割が大きいのかなと思っていますね
──そこで携わった企画はどのフェーズまで一緒に検討するんですか?
かなり後段まで見ています。実際に細かい仕様を検討して、最初に定義した「提供したかった体験」が実現できているかどうかをフェーズごとに定義し、検証します。仕様が決まった後もペーパープロト※を作って検証し、ずれていないことを確認して、実装後動くようになってからまた再検証します。
※紙や画像で画面や遷移をざっくり再現し、操作フローや文言の分かりにくさを素早く確かめる簡易試作。
──他の職種の方とはどのように関わっていきますか?
最初に議論を始めるのは企画担当とハードウェア側の設計プロジェクトリーダー(以下、PL)です。あとはメカ※のリーダー、ソフトウェアの要件開発のチームとも議論します。商品開発のプロセスに入ると関係者は一気に増えていきますが、特に商品の仕様を考える人たちと密にやりとりします。UIを設計する上では、企画・設計の意図を理解してもらうことが重要です。
※製品の機構・構造(筐体やボタン、ダイヤル、シャッター、ヒンジ、放熱・強度など)を設計する領域のこと。

──部署を横断して働く上で、気を付けていることやコツはありますか?
商品開発におけるUI/UXの重要性が広く認知されるようになったのはここ数年になってからなので、浸透していなかった当初は、最初に上位のマネジメントへUXデザインを既存の商品開発プロセスに取り込んでいく活動の意義と目的を説明しました。「突然いつもと違う人が入ってきたぞ」となるのを避けるためです。同時に各プロジェクトで得られたUXデザインの事例を蓄積・発表して広く共有しています。うまくいった点、うまくいかなかった点の両面を蓄積していくのが重要かなと思っています。
仕事の流儀 UX開発における醍醐味
──これまでのキャリア通して、仕事の上で意識していることはなにかありますか?
昔、先輩から「上の人を使いなさい」と教わり、それを意識してきました。自分のやりたいことを実現するために、常に自分の1つ2つ上位レイヤーのマネジメントの観点を意識して、働きかけるということを実践するようになってきました。
──やりがいや難しいことについても教えてください。
自分が関わった商品が世に出て、ユーザーの反応を見た瞬間に一番やりがいを感じますね。例えば、カメラのメニュー画面を大刷新したときに、以前は使いにくいと言われていましたが、ゼロベースで作り直したらユーザーからの反応が180度変わりました。やってよかったなとやりがいを感じました。ネガティブな意見だったとしても、次のアクションにつながる大事なヒントをいただいていると思えるので、無反応よりも大変ありがたいです。
大変だなと思うのは、開発上流から後工程への橋渡しです。開発段階によって関係者がどんどん変化していくので共通の理解を持つことが難しいです。説明をする機会はあってもメールや文章ベースで話が伝わったり、人から人へとどんどん伝わったりと、ドキュメントは一人歩きするので。誰が読んでも共感できるような文章にするなど一定品質にするのが難しいです。
多様なユーザーに向き合う面白さ
──これからUI/UXデザイナーの業界を目指す人へ伝えたいことはありますか?
イメージングはユーザーの種類がめちゃくちゃ多い。同じカメラでも何を撮るのかによって全然違うし、動画の世界でもVloggerもいれば映画を撮るユーザーもいる。だからこそ人に興味を持つこと、自分が知らない、自分とは違う価値観・文脈を真摯に理解することが一番重要かなと思います。そしてそれが世に出た時の多様な反応は本当に面白い。それがこの仕事の魅力かなと思います。

<著者のDiscover>
インタビューを通じて、山本さんからUXデザインを社内で広めていく上での心がけが大変印象に残りました。ボトムアップ的に事例を絡めて活動を広めていきつつ、トップダウンで上位層を動かして自分たちが活動しやすいように土壌を整えていくやり方は、個人的にも取り入れていきたいなと思いました。リサーチや分析、そして商品開発を通してさまざまなユーザーに触れてたくさんの知らないことに出会えるこの職種に、改めて魅力を感じさせられるよい機会になりました。

















