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報道資料
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2001年1月17日

高音質でコンパクトなフルデジタルアンプシステムを実現する
デジタルパワーアンプ技術を開発

ソニーは、フルデジタルで音声信号処理を行なうことで、高音質でコンパクトなオーディオ商品を実現するデジタルパワーアンプ技術、「ストリームマスターデジタルアンプ」技術を開発いたしました。

近年、DVDの5.1チャンネル・デジタルサラウンドやスーパーオーディオCDのマルチチャンネル※1など、音声信号のデジタル化、マルチチャンネル化が進む中で、高音質で電力効率の良いデジタルパワーアンプの実現が望まれております。
これまでの多くのデジタルパワーアンプでは、フィードバック制御※2などにより補正をかけて信号精度を保つ方式をとっていることから出力信号を入力部に戻す必要があったため、全てのステージをデジタルで処理することは困難でしたが、当社がCD、MD、スーパーオーディオCD等の開発で長年培ったデジタル信号処理技術を投入することにより、「ストリームマスターデジタルアンプ」技術を開発し、実現が可能となりました。

「ストリームマスターデジタルアンプ」技術では、入力段に採用した“新開発サンプリングレートコンバータ(標本化周波数変換器)”によって、多様なデジタルオーディオ信号を受け取り、音質に有害なジッター(時間軸の揺らぎ)を水晶発振器の精度まで低減します。
次に、デジタルボリュームコントロール(音量調節)処理を行った上で、独自に開発した“高精度演算アルゴリズム※3”により、出力段を駆動する広大なダイナミックレンジ※4を持つストリーム信号※5を生成します。
最後に、高速かつ極めて高い時間軸精度※6のストリーム信号で安定化した電源電圧をスイッチングすることにより、電力増幅を行います。

このように、「ストリームマスターデジタルアンプ」技術では、高い時間軸精度をもった信号を生成できるため、フィードバック制御などをすることなく、全てのステージがフルデジタル処理で構成されており、水晶発振器を基準にした低ひずみでノイズの少ないデジタルパワーアンプを実現させます。また、電力効率が90%以上と高いので、電源のエネルギー変換効率を高くできると同時に、出力段の発熱も極めて小さくなり、高性能かつ小型のパワーアンプを実現することが可能となります。

当社は、本技術に基づくLSIの開発を行い、今春を目処に当LSIを搭載したオーディオ機器の商品化を進めてまいります。

  • ※1:スーパーオーディオCDのマルチチャンネル
    スーパーオーディオCDでは、通常の2チャンネルの他に、最大6チャンネルのフォーマットが規格化されています。全てのチャンネルは、通常の2チャンネルと同等の高音質です。
  • ※2:フィードバック制御
    出力信号を入力部に戻すことにより、信号精度を保つ技術。
  • ※3:独自に開発した高精度演算アルゴリズム
    デジタル信号の量子化ノイズのスペクトラムを制御する技術。
  • ※4:広大なダイナミックレンジ
    最大信号レベルと残留ノイズレベルとの比が大きいこと。
  • ※5:ストリーム信号
    信号をパルスの幅や密度で表現したもの
  • ※6:時間軸精度
    信号のゆらぎ(ジッター)の少なさ。
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