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報道資料
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2002年10月3日

周辺回路を一体化した3.8型・"システムオングラス"液晶ディスプレイを開発

モバイル機器向けに小型化、低消費電力化、高信頼性を実現

ソニー株式会社は、低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイの表示に必要な周辺回路を全て液晶基板内に組み込んだ、3.8型の"システムオングラス"液晶ディスプレイを開発しました。
この技術により、モバイル機器に搭載する液晶ディスプレイのさらなる小型化や高精細化、低消費電力化が可能となりました。

低温ポリシリコンTFT(低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ)液晶ディスプレイは、ガラス基板上に形成したポリシリコンTFTによって液晶を駆動する表示デバイスで、デジタルカメラや携帯情報端末など、主にモバイル機器に採用されています。

"システムオングラス"液晶ディスプレイ

近年、低温ポリシリコンTFT技術の特色を活かして、液晶駆動TFTとともに、表示に必要な周辺回路などをガラス基板上に直接形成する"システムオングラス"というアプローチに注目が集まっています。

今回の開発では、ガラス基板上への回路の一体形成を、さらに進展させたもので、液晶駆動用回路のみならず、タイミングジェネレータなど画面表示に必要な7つの周辺回路全てを、ディスプレイと同じガラス基板上に同時形成したものです。これにより、外部から画像表示データとデータ制御信号および電源を"システムオングラス"液晶ディスプレイに供給するだけで、高画質な映像を表示することが可能となりました。

今回開発した"システムオングラス"液晶ディスプレイの主な特長

周辺回路の一体化(次頁写真参照)

TFTの高性能化実現により、ディスプレイ駆動に必要な周辺回路などを、全てガラス基板上に一体形成(システムオングラス)しています。
一体化した主な回路は、以下の7つです。

  • ゲートドライバ
  • 高性能オフセットキャンセルアナログバッファ搭載6bitソースドライバ
  • 6bitRGBパラレルインターフェース回路
  • タイミングジェネレータ
  • リファレンスドライバ
  • Vcomドライバ
  • DC-DCコンバータ

高性能TFTの実現により3.8インチHalf-VGAディスプレイで約26万色表示を実現

ポリシリコンの形成に必要なエキシマレーザーアニール技術およびポリシリコン界面の制御技術を改良し、従来のポリシリコン形成に比べて、電子移動度を2倍に配線加工精度を1/2に高めました。これにより低電圧での動作、より精密な液晶制御が可能となり、3.8型Half-VGA(320×RGB×480)の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイで、約26万色の色表示が可能になりました。

  • レーザーを用いて、薄膜シリコンを溶解/再結晶化させることで、多結晶化する技術。

部品点数削減や信頼性向上、小型化、低消費電力化

周辺回路をディスプレイと一体化させることにより、応用製品の製造においては、部品点数が 削減され、組み立ての簡便化と信頼性の向上、小型化などが可能になります。
また、TFTの高性能化により、回路の低電源電圧化が可能となり、駆動部を含めたディスプレイデバイスとしての消費電力(バックライトは含まず)を約10%削減しました。

この"システムオングラス"液晶ディスプレイは、エスティ・エルシーディ(株)(本社・愛知県知多郡東浦町)において2002年度第4四半期から量産、出荷を開始する予定です。

なお、今回開発した技術に関連して、フランス・ニースで開催されている国際学会「Euro Display」にて、現地時間2002年10月3日に学会発表を行います。

今回開発した"システムオングラス液晶ディスプレイ"の主な仕様

液晶タイプ 6ビット併用型低温ポリシリコン液晶
画面サイズ 9.69cm(3.82型)
画素数 320×RGB×480
画素構造 RGBストライプ
ドットピッチ 56(水平方向)×168(垂直方向)μm
表示色数 262,144色
端子数 45ピン
データ転送 18ビット パラレル転送
供給電圧 6.5V、3.3V、-3.3V
消費電力 110mW (平均)
機能 双方向ソース/ゲートドライバーなどを内蔵
システムオングラス液晶ディスプレイ(左) と当社従来同等品(右)
※四角囲み部分(2ヶ所)の周辺回路をガラス基板上に同時形成
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