Sony Outstanding
Engineer Award 2022

Sony Outstanding Engineer Awardは、エンジニアの新たな挑戦を加速させるために設立した、
ソニーグループにおけるエンジニア個人に与えられる最も価値の高い賞です。
ソニーがお客様の感性に訴える商品・サービスを開発するためにチャレンジすべき技術課題は、
要素技術開発に加えて、独創的な技術の融合や複雑なシステムの最適化など、多様な範囲に及んでいます。
これらチャレンジングな課題に積極的に挑み、大きな価値創造を成し遂げた2022年度の受賞者をその功績とともに紹介します。

空間音響技術のMPEG標準化への貢献および360 Reality Audioの実現

空間音響に関する編集技術、エンコード技術、デコード技術、レンダリング技術を開発し、配信フォーマットの策定およびMPEGの標準化を達成。さらに、それらをベースにした360 Reality Audioの開発、ライセンスによるマネタイズを実現。基礎技術開発から標準化、商用化開発、収入貢献までを一元的に行い、ソニーの360 Reality Audioの普及展開に寄与し、音楽の立体空間音響のストリーミング再生の確立に大きく貢献した。

Robot Operating System(ROS)コミュニティへの貢献

2019年からRobot Operating System Technical Steering Committeeのメンバーとして活動。新機能開発をはじめとする他社との協業やコミュニティ活動を行い、ROSコミュニティにて優れたリーダーシップを発揮。これらの成果は、aibo、poiq、プロフェッショナル向けドローン「Airpeak S1」などのソニーのロボティクス製品にも活用されている。2022年および2023年において、国際的なROS開発者会議「ROSCons」の組織委員会およびプログラミング委員会のメンバーを務める。

PlayStation®VR2の圧倒的没入感を支える3次元センシング技術の開発

VRヘッドセットに搭載した複数のカメラを利用してユーザーの動きを推定するInside-out型のヘッドトラッキング機能の開発を主導。従来のOutside-in型のヘッドトラッキングに対し飛躍的な精度向上を実現し、PlayStation®VR2の根源的な製品価値の向上に貢献した。また、ユーザーが安全にVRゲームを体験できるプレイエリアの自動認識機能を開発。高精度ヘッドトラッキングによる映像体験と、視界を遮られた状態でも安全に動き回ることができる安心感をユーザーに与えることで、まるでゲームの世界に入り込んでいるかのような圧倒的な没入感を実現している。

ウェーハレベルLD励起固体面発光レーザ

半導体レーザと固体レーザを融合した世界初のレーザ構造を有する「ウェーハレベルLD励起固体面発光レーザ」の開発に成功。その成果をまとめた論文は英科学誌『Nature Communications』に掲載され、同誌のEditor’s Highlightにも選出された。ラボレベルの応用でとどまる高ピークパワーレーザが多いなか、本技術によって、非常に小型かつ低コストでの量産化と、同レーザーの普及につながる可能性がある。

世界最小・クラス最高輝度の光学ユニットの開発による4K SXRDレーザーホームプロジェクターの実現

世界初のアフォーカル機能を持たせた非球面フライアイレンズを開発および量産化を実現し、ホームプロジェクター用照明光学ユニットの開発を主導。照明光学ユニットだけでなく新規開発の小型Laser光源とNative 4K解像度0.61インチSXRDパネルを採用した小型高効率な光学システムを完成させた。その結果、世界最小・クラス最高輝度のホームプロジェクターVPL-XW5000/6000/7000シリーズを市場導入し、ソニーのプレゼンス向上とビジネス拡大に貢献した。

バーチャルプロダクションを始めとする先端映像制作スタジオ構築と市場創出の実現

クリエイターが、バーチャルプロダクションをはじめとする先端映像制作手法を実際に体感し納得できる場所として、「清澄白河BASE」を構築。すでに、King Gnu『Stardom』のMusic Videoや各種CMなどで採用されている。また、ソニーグループ内での技術・情報連携を主導し、社外とも背景アライアンスやスタジオ運営などのビジネス連携を推進して、新たな市場を創出した。

大規模3D画像再構成のための測量ソフトウェアの開発

大学と緊密に協力し、画像ベースの3D再構成のための競争力のあるソリューションを開発。世界を3Dで表現することは、産業用途やバーチャルプロダクション、そして消費者向け電子機器およびモバイル機器向けに非常に強い需要がある。本ソリューションは、スマートセンシング機能を可能にするとともに、クリエイターに新しいツールを提供し、新しいユーザーエクスペリエンスの創出を支援する。

権利管理ブロックチェーンの音楽クリエイターサービスにおける実用化貢献

権利者であるクリエイターが主体となって、権利情報を安全に管理し、スマートコントラクトによる透明性のある権利処理の実現を目的として、プライバシー保護技術を応用した権利や契約情報を扱うことができる権利管理ブロックチェーンシステムを開発。音楽クリエイターサービスにおいて、楽曲情報をブロックチェーンに登録し第三者に対して著作者であることを証明できる存在証明機能を開発し、ブロックチェーンの実利用化と音楽著作権管理プラットフォームの発展に貢献した。

デジタル一眼カメラにおける金属ボディと小型化を両立させたアンテナの開発と商品化

デジタル一眼カメラにおいて、アンテナ構造を見直し、従来同等のカメラサイズで当社従来比約3倍の高性能を有する独自の小型アンテナ構造を開発。これにより金属ボディ・小型実装・無線性能を実現。本技術はデジタル一眼カメラ「α7R Ⅴ」に初搭載され、無線を活用したワークフロー強化に応えるカメラの商品化に貢献した。

CLEDのカメラ撮影機能開発によるバーチャルプロダクション事業展開への貢献

ローリングシャッター方式のカメラでLEDディスプレイを撮影する際、原理的に視認される黒帯や縞模様などの画像ノイズを、ディスプレイ側で除去するLED発光技術「Camera Sync」機能を開発。本機能をCrystal LED Display(CLED)へ導入し、クリエイターの画像制作を支援。米Sony Innovation StudiosやソニーPCL清澄白河BASEで撮影スタジオの運用を開始し、ソニーグループのバーチャルプロダクション事業の展開に貢献した。

世界初、「動物に対応した瞳AF」の開発と商品化

ミラーレス一眼カメラ「α」に搭載可能である軽量な認識AIを開発。世界初の動物に対応した瞳AFである「リアルタイム瞳AFの動物対応」のレンズ交換式カメラへの搭載を実現した。野鳥や車、列車、飛行機、昆虫など、多様な撮影被写体を撮影するフォトグラファー、クリエイターに対する理解と価値提供を牽引し続け、新しい顧客価値を創造するとともに、商品力向上に貢献した。

軽量かつ高精度な顔認識技術の開発と商品貢献

エッジデバイスで動作する軽量かつ高精度な顔認識技術を開発。データのノイズに着目した独自の学習手法を利用することで、軽量でありながら被写体や環境の変化に対してロバストな認識を可能にし、幅広い製品への展開が可能な技術となっている。デジタル一眼カメラ「α7R Ⅴ」では、照明変化や顔角度変化がある状況においても事前に登録した顔のみにフォーカスし続ける機能を実現。本技術が搭載された対話型キャラクターエージェント「CHELULU」は、コロナ禍において来館者を非接触・遠距離でも即座に認識し、シームレスな受付対応を可能にした。

RXシリーズ/α9シリーズ/α1におけるブラックアウトフリーシステムの実現

RXシリーズ、α9シリーズ、α1において、積層型イメージセンサーとシステムLSIの高度な連携の仕組みを構築。この仕組みにより、システム負荷を軽減し、カメラのサイズを維持しながら、圧倒的な連写スペックとブラックアウトフリー機能を実現した。「カメラグランプリ2023 大賞」や「令和4年度 全国発明表彰 発明賞」を受賞し、ソニーのカメラの技術力を押し上げ、プロ・ハイアマチュア層のシェアアップとブランド向上に貢献。

クラス最高の光子検出効率を有するシリコン型SPAD距離センサーの画素開発および商品化への貢献

独自のSingle Photon Avalanche Diode(SPAD)画素構造を考案し、非常に高い光子検出効率と微細セルサイズを両立するシリコン型SPAD画素を開発。ソニーが長年培ってきたCMOSイメージセンサーにおける画素技術と知見を応用することで実現した。本技術を活用することで、スマートフォンに搭載される10um-pitchの高性能なSPAD距離センサーの商品化へ貢献した。また10um-pitchから2.5um-pitchまでの画素スケーリング技術を確立。電子デバイスにおける最高峰学会であるIEDMに2年連続で採択され、業界において高い評価を得ている。

光学自動設計技術による交換レンズビジネスへの事業貢献

光学レンズの自動設計システムを開発。本システムにF値や焦点距離などの基本スペックを入力し実行するだけで、十分な解像度を持った設計解を短時間で取得可能。これにより、従来高い技能が必要だった光学レンズのプロトタイプ設計をより簡便に行えるようになった。

AIプロセシングユニットの開発によるαシリーズのAF性能進化の実現

人物の姿勢推定をはじめとするディープラーニング処理を、低レイテンシーかつ低消費電力で実行可能なLSI「AIプロセッシングユニット」を開発し、本ユニットをデジタル一眼カメラ「α7R Ⅴ」に搭載。人物に対する高精度な被写体認識に加えて、鳥や昆虫、車などの幅広い被写体の認識にも対応し、カメラのオートフォーカス性能の大幅な進化を実現した。

1000Xシリーズ史上最大の進化を遂げた業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を支える音響技術の開発

ノイズキャンセリングヘッドホンのさらなる性能進化を目指し、マルチマイク信号処理を用いた次世代ノイズキャンセリング技術を開発。これにより、人の声や日常生活における雑音などの中高音域でのキャンセル性能が飛躍的に向上。本技術はWH-1000XM5に「マルチノイズセンサーテクノロジー」として搭載され、商品力の向上と、歴代1000Xシリーズが誇る業界No.1ノイズキャンセリング性能の保持に大きく貢献した。

風ノイズの流体音響シミュレーション手法の確立とWH-1000XM5・LinkBuds Sへの貢献

ヘッドホン・イヤホンの、ノイズキャンセリングや外音取り込み中の風ノイズを最小限に抑えるため、流体音響シミュレーションを用いて、最適なマイク周辺構造を開発。これにより風が強い中でもクリアな音楽と通話を楽しむことが可能になった。本構造は「WH-1000XM5」と「LinkBuds S」に適用され、品質向上に貢献した。