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VOICES OF CREATIVITY

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VOICES OF
CREATIVITY

AAA作品を生み出す
浜口直樹

PlayStation® Partner Awards 2024 Japan Asia /
GRAND AWARD受賞『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ディレクター

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のワンシーン
© SQUARE ENIX
シリーズ第11回は、「PlayStation Partner Awards 2024 Japan Asia」においてGRAND AWARDを獲得した『FINAL FANTASY VII REBIRTH』を統括する浜口直樹ディレクターが登場。FFVIIを現代の技術で蘇らせる『FINAL FANTASY VII リメイクプロジェクト』全3部作において、第1作の『FINAL FANTASY VII REMAKE』に続いて連続でのGRAND AWARD獲得という偉業達成の裏側や、日本から世界にAAA作品を届けるクリエイターの企画・発想やチーム運営など、思考の深層を掘り下げます。
浜口直樹さんのポートレイト

まずは、受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。本作は2部作目というまだ完結していないタイトルなので、ポジショニング的に難しいかもしれないと感じていました。しかし、ゲームの中でのたくさんの新しいチャレンジが認められて、アワードという形で評価をしていただいたことは、クリエイターとしては非常に嬉しいですし、開発チームとしても次の作品のモチベーションにつながるので、本当にいい結果になったと思います。

アワードはクリエイターにとってどんな意味がありますか?

自分たちはAAAを目指したモノづくりをしており、国内だけではなく、全世界のユーザーの方々に楽しんでいただけるプレイ環境を意識しています。作品のクオリティとしても、その年に出る有力タイトルに並ぶレベルを目指していますので、そういった観点では、アワードにノミネーションされる、受賞するということは、作り上げてきたタイトルがその年に一定の評価を受けたという証だと思っています。

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のワンシーン
© SQUARE ENIX
浜口直樹さんのポートレイト

"今は、日本市場ありきではなく、世界を前提として作品を作っていく必要があるという点において時代が大きく異なると感じています。"

世界のさまざまなオーディエンスに向けて作る上で、意識していることはありますか?

モノづくりには多くの要素が絡みます。ストーリーを始め、表現の一つひとつに対して、地域ごとのさまざまな倫理チェックをかけています。誰かのネガティブな要素にならないように時間、コストをかけてチェックをするというのは、今の時代には必要なことだと考えています。

原作である『FINAL FANTASY VII』が発売された時は、日本市場をターゲットに出して、話題性が伴ったことで世界に広がっていきました。今は、日本市場ありきではなく、世界を前提として作品を作っていく必要があるという点において時代が大きく異なると感じています。

私たちは日本人のクリエイターですので、最初はやはり日本語から作っていきます。その後、翻訳していくのですが、翻訳の段階で、言い回しを多少現地風に変えたりする場合もあります。ですが、このあたりが繊細な部分で、オリジナル作品に対してのリスペクト、強い気持ちを持ってくださっているユーザーの方々から、日本語と翻訳版でのニュアンスの違いに、なぜこうなったのですか、というような声をいただく機会もあり、非常に難しいなって、モノづくりする中で思っています。

スペックの進化、プレー環境の変化はどのように意識されていますか?

同じ環境であっても、世代によってのスペック差はあると思っています。そんな中で、幅広い機器に対応するべきだとチーム全体に強く伝えています。特に、PC版はその傾向が顕著だと思っていますが、すごくハイエンドな環境に特化して作ると、お客さまは喜んでくれますが、プレーする人口という観点では減少してしまうため、ネガティブな声が出やすくなることもあり、そこは配慮をしています。

特に今の時代は、多くのお客さまに触ってもらえるというタイトルの盛り上がり自体が、相乗的に一人ひとりのゲーム体験にもポジティブな印象を与えてくれるという傾向があると感じています。

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のワンシーン
© SQUARE ENIX

"このタイトルで何を目指しているのか、どういうゲームを作ろうとしているのか。分かりやすいコンセプトでチームに伝わらないと、なかなか全員が同じ方向を向くことができません。"

ゲーム作りにおける"構想"のあり方についてお話を聞かせてください。

これはゲームに限らず、モノづくり全般に対しての話だと思うのですが、いかにコンセプトが明確か?これが全てだと考えています。

映像系の作品も、ゲームもそうですが、今はモノづくりに対して、すごい数の人が稼働する時代です。世界のゲーム会社もそうだと思うのですが、AAAのタイトルを作ろうと思ったら、300人、もしくはそれ以上の人数が動くことになる。そうすると、そのタイトルが何を目指しているのか、どういうゲームを作ろうとしているのか、といったことが、分かりやすいコンセプトでチームに伝わらないと、なかなか全員が同じ方向を向くことができません。チームメンバーが同じ方向を見ているかどうかが、稼働率に強い影響を及ぼしてしまうのです。

それは逆に言うと、しっかり方向性が定められれば、みんなが同じように協力してくれるということでもあります。200人のチームが仮にいたとしましょう。1年間の実際の稼働日は230日ぐらいでしょうか。全員が同じビジョンのもと動くことができれば、1日で、自分の1年分の動きを果たすことができるわけです。全体の生産性を高めていくことが、大規模開発においては一番重要です。そのため、私はなるべくチームにシンプルなコンセプトを伝え、それを早々に骨格にして、あとは作り込む、という形を基本的なやり方にしています。『FINAL FANTASY VII REBIRTH』においては、"絆"を1つのテーマにしました。野島一成さんのシナリオを見た時、キャラクターたちの関係性をすごく丁寧に描いていらっしゃったので、ストーリー体験が絆を描いているのならば、ゲームシステムやバトルシステムなど、すべてがこのコンセプトに乗ってゲームを作るのだ、という方針を固め、チームに下ろしました。

最初の1年でゲームの骨格を固めます。その際のアセットやグラフィックは粗くてもいいので、ある程度つながってプレーできること、含まれる要素、例えば、物語がここまでいったらこんなクエストが起きるかも、こんなミニゲームが起きるかもといった、ゲーム全体の流れが分かることが大事です。骨格がチームに伝われば、作り込む工程が進めやすくなります。

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のワンシーン
© SQUARE ENIX

"ディテールの変化と、骨格の変化。リメイクに関しては2つの軸で考えています。"

リメイクという、原作の再構築へのお考えを聞かせてください。

今回のリメイクに関しては2つの軸で考えています。まず1つは、原作をリスペクトしながら、原作に対して当時では描けなかったディテールを追加することです。現代のハードウエアのグラフィックを活用することで、原作からは変わってないけれども新しい発想、体験を感じられるポイントを作り、実はこうだったのだ、というような発見ポイントを作ることを意識しています。

例えば、チョコボにレッドXIIIが乗ってみるとか、バレットとエアリスの連携技でエアリスがサングラスを着けてみるなど、キャラクター性などを考え合わせながら、原作にはなかったけれどもこうでもいいんじゃないか、という要素を開発チームでアイデアを膨らませて作っています。

もう1つは、ゲームの骨格に対して変化を入れることです。フィーラーが出てきたり、ザックスが出てきたり、という本作ならではの変化については、大人数でやるのではなく、本当にコアな一部の人間だけで固めて考えています。

このタイトルは非常に制作が難しく、3部作でモノづくりをしないといけないということが大きなチャレンジでもありました。そのため、各シリーズに何か明確な変化を入れること、ここは強く意識しています。それぞれに何かしらの変化、それもディテールの変化ではなく、明確に違う要素を入れないと、ずっと同じようなものを体験させることになってしまい、ユーザーの興味が薄れてしまうのです。

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』のワンシーン
© SQUARE ENIX
たくさんのモニターが並ぶ浜口ディレクターの作業スペース

"常に戦うのは世界であってほしいですし、共に日本のエンタメを広げていきたいです。"

これからこの業界に足を踏み入れようとしている若い人たちに、何かメッセージはありますか?

どんどん世界に出て、どんどん新しい発想を生み出していってほしいと強く思います。モノづくりをする上で、自分の国の価値観や市場に目線が行きがちになってはいけません。視点をとても広く持つことが、クリエイティブにとってこれからより大事になります。色々な場所へ行き、生の温度感などを体験できればベストですが、そうでなくても、コンテンツやエンタメなど、色々な情報が簡単に取れる時代になっているので、さまざまなものを見てエッセンスを吸収してほしいなと思います。常に戦うのは世界であってほしいですし、共に日本のエンタメを広げていきたいです。

あなたを創造へと駆り立てる"Voice"をお聞かせください。

私は、ゲームは総合エンタメだと捉えています。一人の作家性で作品を作らないところが、ゲームの面白いところです。たくさんの優秀なクリエイターとともに、多様な作家性を交えて1個の作品に作り上げるプロセスすべてが楽しいです。自分もその輪にいる時には、その一人としてのクリエイティブをしっかりと出せないと、相乗効果は起きません。クリエイターたちと切磋琢磨しながら、いいものに仕上げていく、モノづくりが好きです。

実は、スクウェア・エニックスに入社したときに、ディレクターになりたいと思って入社したわけではなかったりします。元々はエンジニアで、入社後もずっとエンジニアでプログラムをしていました。『FINAL FANTASY XIII』シリーズではメインプログラマーをやっていましたが、その時もプログラマーになりたかったというよりは、どこで自分が一番パフォーマンス出せるんだろうと思ったときに、それはプログラミングだな、という感じで選びました。最初から自分のクリエイティビティだけで、モノづくりをしたいというよりは、自分がいかに貢献できるかという観点で飛び込んだのです。やはり自分の根幹には、みんなで作るモノづくりが好きだ、ということがあると感じています。

PlayStation Partner Awards 2024 Japan Asiaでの受賞風景
"二人の知恵は一人に勝る"

浜口直樹

2003年にスクウェア・エニックスに入社し『FINAL FANTASY XII』に従事。その後『FINAL FANTASY XIII』シリーズと『MOBIUS FINAL FANTASY』を含む数々のFINAL FANTASY作品の開発に携わる。現在、スクウェア・エニックスの執行役員であり、『FINAL FANTASY VII REMAKE』Co.ディレクター、『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ディレクターを務めている。

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