報道資料
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2019年6月24日
ソニー独自のスペクトル解析技術の結集により、科学的知見を深める包括的な細胞情報を提供
2019年6月24日
2019年7月12日改訂
2020年9月30日改訂
商品画像を変更しました(2020年9月30日改訂)
ソニーは細胞分析装置(フローサイトメーター)の新商品として、44色以上※1の超多色細胞解析をシンプルな操作で効率的に実現するスペクトル型セルアナライザーの最上位機種『ID7000™』を発売します。
本機は、ソニー独自の最新のスペクトル解析技術を結集し、最大7つのレーザー※2と計1886※※チャネルの光検出器、解析アルゴリズムを用いることで、超多色かつ高精度な解析を実現しました。これにより、多種多様な細胞集団の中からがん細胞や幹細胞などの希少な細胞の検出を、一度の解析で可能にします。
多色解析の性能については、一般的に市場で活用されているセルアナライザーで30色程度の解析を実現していますが、本機では44色以上の多色解析ができるため、原理的には一度の細胞解析で約16,000倍※3の情報収集が可能となります。
商品名 | 型名 | 発売 | 価格 |
---|---|---|---|
細胞分析装置(フローサイトメーター)スペクトル型セルアナライザー | 『ID7000』 | 2020年夏頃 | オープン価格 |
細胞分析装置(フローサイトメーター)とは、特定の条件下で発光する薬品(蛍光試薬)で細胞を染色し、細胞にレーザー光を照射した際に発する光(蛍光)を、散乱光や蛍光情報として検出することで、細胞の特性を解析する装置です。1秒間に数万個におよぶさまざまな細胞の大きさや個数、細胞表面や細胞内部の各種情報(構造、機能、バイオマーカー等)を解析することが可能です。
近年、免疫学やがん、再生医療などの研究領域では、基礎研究や疾患の原因究明、医薬品開発などを目的として、フローサイトメーターが広く活用されています。例えば、新しいがんの治療方法として注目が集まる「がん免疫療法」の研究では、免疫細胞やがん細胞の詳細な解析が不可欠であり、細胞表面に発現している複雑な抗原を一度に網羅的に調べたいといった需要が高まっています。
『ID7000』の発売を通じて包括的な細胞情報の取得を可能とし、科学的知見を深め、さらなる研究の進展に貢献します。
6月26日までカナダ バンクーバーにて開催される第34回 国際サイトメトリー学会 (CYTO 2019)で本製品の展示・デモンストレーションを実施します。
1.最大7レーザー※2と1886※※チャネルの光検出器※4により、一度により多くの蛍光情報を計測可能
本機には、波長の異なる最大7つのレーザー※2 (320nm/355nm/405nm/488nm/561nm/637nm/808nm)と、レーザー照射により発する光を検出する検出器を1886※※チャネル搭載しています。これにより、360nmから920nmまでの幅広く、蛍光の波形形状(蛍光スペクトル)を検出でき、蛍光情報のより高精度な分析を可能にしました。 なお、新たに搭載した320nmのレーザーにより、細胞自体が自然に発光する微弱な蛍光情報(自家蛍光)の検出や、将来的には44色以上のさらなる多色解析を実現します。
2.改良したスペクトラルアンミキシングにより、蛍光情報の色素補正を精度良く迅速に処理
独自のアルゴリズムを用いることで、重複する蛍光色素のスペクトル情報を各色素に分離でき(スペクトラルアンミキシング)、蛍光波長のピークがよく似た蛍光試薬や蛍光タンパク質の分離も、高精度で再現性高く解析します。 従来の解析手法(下図左)では、多色解析になればなるほど、補正作業が複雑化しますが、一方で、スペクトラルアンミキシングを用いれば、客観的かつシンプルに色素補正が行えます。 さらに、アルゴリズムを改良し高速化したことで、多色解析であっても迅速な処理が可能です。
1.スペクトラルリファレンスライブラリー
蛍光の波形形状情報などを、スペクトラルリファレンスとして簡単に登録・検索・選択できる機能を搭載します。従来では、解析時に計測する色素が増えるほど、コントロールサンプルの準備などの前処理や測定、解析時の重複する色素の補正などが複雑化し、作業工数の増大が課題となっていました。
本機能により、これらの作業が不要となり、コントロールサンプルが必要な場合と比較し、短時間で細胞解析が行えるため、多色解析の作業工程を簡略化します。
2.自家蛍光ファインダー
細胞解析において、細胞自体の発する微弱な蛍光情報(自家蛍光)は、本来取得したい蛍光情報の阻害要因となりえるため、自家蛍光の波形形状を事前に特定する必要があります。
一方で、多くのサンプルの測定をすると、サンプルごとに自家蛍光の波形が異なるなど、定量的な特定が難しいケースがありました。本機では、新たに自家蛍光ファインダーを用いることで、自家蛍光集団を特定できます。さらに、自家蛍光を他の蛍光情報から分離できるため、この課題を克服し、解析の安定性向上に寄与します。
オートサンプラーの使い勝手をさらに改良し、低キャリーオーバーを踏襲しながら、サンプルの攪拌機能や保冷機能の刷新などにより、細胞へのダメージをさらに抑えることができ、高速かつ安定的な測定に対応します。
光学系 | 照射光学系 | |
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レーザー波長 | 488nm/405nm/637nmを標準搭載320nm/355nm/561nm/808nmのレーザーを追加選択可能(最大レーザー搭載数は7本) | |
検出光学系 | ||
測定パラメーター数 | 1×前方散乱光(FSC)、1×側方散乱光(SSC)、18 |
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本体 | 寸法(W×D×H) | 1060mm × 719mm × 7 |
重量 | 本体:2 |
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電源 | Two 100-240 V, 50/60 Hz | |
出力データ形式 | Flow Cytometry Standard (FCS) 3.0、3.1 |