

誰でも楽しめるウェルネスゲームとは。
新たなゲーム創出を目指す
アイデアソン/ハッカソン「Idea2Hack」開催
ソニーグループではクリエイティビティとテクノロジーを用いて、多様なニーズを持つ人々にソニーの製品、サービス、体験を楽しんでいただけるよう、アクセシビリティ※1を高める活動を推進しています。
さまざまなアプローチを試みるプロジェクトの一環として、ソニーグループのイメージング&センシング・ソリューション事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズ(以下SSS)と、インハウスデザイン組織であるクリエイティブセンター、そしてソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)が主催となりアイデアソン/ハッカソン※2「Idea2Hack」(以下「Idea2Hack」)を開催しました。
これは先端技術を利用したウェルネス※3ゲームの新たな創出を目的とし、ソニーグループのさまざまなバックグラウンドのメンバーが集まり、アイデアを持ち寄って、カタチにして競い合うプロジェクトです。
「Idea2Hack」は多様なユーザーのニーズを理解し生かすために、障がい当事者やリハビリ現場にいる人たちと共に検討し、その声を反映するインクルーシブデザイン※4を取り入れながら約2ヶ月間にわたり実施され、中間発表会、最終審査を経て受賞作品が決まりました。
アクセシビリティをテーマに掲げたソニーグループ横断のアイデアソン/ハッカソンは初の試みでしたが、「Idea2Hack」には国内外から多くの参加者が集まりました。参加者の所属やキャリアは多岐にわたり、チーム単位でアイデアを作り上げる人や個人でアイデアを突きつめていく人もいます。
参加理由もさまざまです。
「実家にいる祖母が毎日リハビリしており、私もよくその手伝いをしています。間近で祖母の様子をみながら、もし日々のリハビリがゲームをとおして楽しみながら行えるとしたら、どのようなゲーム体験がよいかを考えたことが「Idea2Hack」に参加したきっかけです」と自身の体験から参加を決めた人もいます。
また、「ゲームやエンタメの領域でセンサー技術を使ってみたい」や「いろいろな人たちと関わることで視野や知識を広げたい」と自身の成長を期待して参加した人もいました。
2ヶ月にわたる「Idea2Hack」の中盤には、中間発表会が行われました。制作中のアイデアを持ち寄り、お互いにレビューし合ったり、メンター※5の意見を聞いたりして、アイデアをブラッシュアップすることが目的です。
この発表会には、リハビリを実際に必要とされる障がい当事者の方や理学療法士※6の方もお招きし、リハビリ現場からのご意見も伺いました。
中間発表会では、国内外からエントリーされた27のアイデアについての発表がありました。「ベッドに寝たまま体を動かすことで、モニターの映像が変わっていくアイデア」や「わずかな足の動きを検知しながらVRゴーグルを使って、いろいろな世界を旅するアイデア」など、日常生活の動作の維持や改善を楽しく継続して行えることを目指したアイデアがいくつもありました。
また、体を動かしてブロックを崩したり、アルファベットを描いたりといったゲーム性の高いアイデアや指文字を使って手話を学んでいくものなど、多様なアイデアが発表されました。
「Idea2Hack」をとおして参加者たちは多くの刺激を受けたようです。
「ゲームをプレイする人だけではなく、その周りの人たちの状況、生活がどう変わるかまで意識してみると発想が広がる。例えば、ゲームの想定利用者が学校の生徒であれば、先生側の視点で考えてみると見えてくるものが違うのでは。また、リハビリを行う人が対象であれば、そのご家族まで含めたゲーム体験を考えてみてはどうか」というメンターからのアドバイスには、多くの参加者から「これまでなかった視点でした」という声があがりました。
「理学療法士の方、障がい当事者の方と意見交換したことで、リハビリ現場の実情を知ることができ、自分の中にはなかったアイデアが得られました」という声も多数寄せられました。
また、「今までは、アクセシビリティを意識しないまま使いやすい製品という点ばかりに目が行きがちで、実際その考えで製品開発をしていました。今回の「Idea2Hack」で障がい当事者の方やメンターの方々と対話したことで、障がいがある方が利用できる製品・サービスを目指せば、それは結果的に誰にでも利用できるものになると改めて認識することができました。最終的に残るものというのは、誰にとっても使いやすいデザインになるはずです。これからは多様な人たちの声を聞きながら、製品・サービスに反映するインクルーシブデザインを実践していきたいと思いました」と今後への学びを得た人もいました。
中間発表会に参加した障がい当事者の方
さまざまなアイデアを見ることができ、とても面白かったです。リハビリは先生と向き合いつづけてばかりで、どうしてもつらいと感じる時間が長いですが、ゲームだと遊び感覚ででき、モチベーションの維持にもつながると思いました。
実際、会場でリハビリゲームの「キノコビト」※7を体験しましたが、手をグーやパーにする動きはリハビリとも似ていました。ゲームだと思わず体が動いてしまうという感覚があったのは、意識して体を動かそうとするリハビリとの大きな違いかもしれません。
障がい者の状況はまだまだ知られていないことが多く、ゲームがリハビリに生かされている機会もほとんどないと思います。なので、今回の取り組みはとても大きな一歩だと感じましたし、当事者の私たち自身も頑張ろうと励みになりました。アイデアが実現していくことを楽しみにしています。
株式会社ワイズ 脳梗塞リハビリセンター本部長/理学療法士 唐沢彰太
リハビリにとって、ゲームはとても重要なツールになり得ると感じました。まだまだつらい、きついというイメージのあるリハビリですが、そこにゲームの要素が入ることで人生が前に進んでいく楽しさや喜びを感じてもらえると期待できました。
ただ、障がい当事者や高齢者の状況は個々でかなり異なります。どういった人にどういった価値を届けるのかをより明確にすることが、アイデア実現には不可欠です。私たちのようなリハビリの現場の声を入れることで、実現の可能性はぐんと広がると思います。そしてリハビリの現場でどんどん使って、感想をたくさん集めて、さらに改良していく。そんな取り組みが細かく入ってくると、より良いものができると思います。
今回の「Idea2Hack」をきっかけに、リハビリがより身近になり、現場にいる私たちでは思いつかないような従来の枠を飛び越えたアイデアが生まれることを期待しています。
ソニーグループ(株) サステナビリティ推進部 アクセシビリティ&インクルージョンGp. ゼネラルマネージャー 西川 文
インクルーシブデザインは、当事者はもちろんのこと、すべての人に恩恵をもたらしてくれます。最初は小さいことからでも相手と向き合い熱い想いをもって取り組むからこそ、結果、みんなを幸せにするイノベーションにつながっていくのではないでしょうか。
誰かから目を背けたデザインは、結局、誰にも響かないデザインになってしまいます。困難を抱えている人に優しいデザインは、すべての人に優しいデザインになります。今回、皆が使ってみたいと思うプロトやアイデアが続々と出てきて、そんなことを思い起こさせてくれました。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(株) イメージング&センシングエッジコア技術部門副部門長
Distinguished Engineer 住岡 徹次
「イメージセンサーの技術で人々の自立を支える」というコンセプトで、アクセシビリティに関する活動をしています。今回、リハビリゲームを開発しているチームから、SSSのセンシングとSIEのゲーム技術とを組み合わせて、一緒に社内でアクセシビリティをテーマとしたハッカソンをやってみようという提案があり、これに賛同して、今回の「Idea2Hack」を開催するに至りました。
はじめての試みだったので、実際に参加してくれる人がいるのか、アイデアが集まるのかという不安がありましたが、期待以上に多くの参加があり、多様なアイデアが出て、非常に嬉しく思います。
現代のモノづくりは、早くトライアルし、いろいろな人に触ってもらい、価値を検証してクオリティを高めていくというプロセスへと変わりつつあります。 インクルーシブデザインは、まさしくその一つです。どうしてもアイデアを頭の中や会議室で構築しがちですが、さまざまな方々との交流なしには本質的なモノづくりはできません。
今回のハッカソンを起点に、アクセシビリティに関わるコミュニティの形成につなげ、皆さんとイノベーションを生み出していきたいと思います。
チーム名:Team A
メンバー:
ソニーフィナンシャルグループ(株) 田中 佐宜子/ Tanaka Sakiko
ソニー生命保険(株) 小口 太市/ Koguchi Taichi
ソニー損害保険(株) 野村 統一/ Nomura Norikazu
ソニー銀行(株) 中川 大輔/ Nakagawa Daisuke
審査コメント:
多方面にわたる分析を行い、体を動かすことだけではなく、コミュニティ形成によるコミュニケーションの促進にもつながり、様々な広がりも期待できるという提案が高得点の獲得理由となりました。
受賞コメント:
このような輝かしい賞を頂戴し、とても光栄に思います。
私たちTeam Aはソニーフィナンシャルグループ各社から集まったメンバーで構成されており、技術的な知識もない中、メンターの方々にご相談をしながら検討を深めました。
ソニーの優れたセンシング技術を社会課題の解決に繋げる、という意味において非常に意義深いものだと感じています。
検討、構想で終わらせることなく、ぜひ実現に向け取り組みにもお声掛けいただけますと幸いです。ありがとうございました!

チーム名:Team SES
メンバー:
ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)
井上 功一朗/ Koichiro Inoue
鶴園 卓也/ Takuya Tsuruzono
審査コメント:
センシングを使ったゲームの完成度が高かったことに加えて、他のアイデアが体の不自由な人も楽しめるという内容が多かったのに対し、ゲームを通じて指文字を皆が使えるようになり、聴覚障がいの方々が不自由なく暮らせる社会が実現できるという提案と、新しい入力インターフェースとしての可能性の提示まで検討が及んでいる点が評価されました。
受賞コメント:
優秀賞をいただくこととなり大変光栄に思います。手を動かして作ってみることで初めて得られた気付きが多くあり、それによって当初の想定を超えたところまでアイデアを発展させることができました。苦労した部分もありましたが、非常に有意義で楽しい活動でした。ご協力いただきました関係者の皆様に感謝申し上げます。発案したアイデアはこのイベントだけで終わらせず、実際にアクセシビリティ向上に貢献できるところまで持っていきたいと思います。

メンバー:
ソニー(株) 盛一 志仁/ Yukihito Moritoki
審査コメント:
足を動かしての探索系のアイデアが多かった中で、ベッドでも楽しめるという点がユニークでした。センシングの実験をして、実現性をテストしていたのも高評価のポイントでした。
受賞コメント:
この度はベストアイデア賞にご選出いただき、誠にありがとうございます。
理学療法士の唐沢さんとのヒアリングを通じて現場の課題を理解し、リハビリ以外のベッドにいる時間で自然とトレーニングを行うというアイデアを捻出できました。自分だけではたどり着けなかったアイデアであり、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

その他のソニーグループのアクセシビリティとインクルーシブデザインの取り組みは、こちらをご覧ください。