ソニーデザインセンター
ヨーロッパからみる、
協働によるデザインの力

デザインを成功に導くためには、まずその背景にある文化を深く理解することが欠かせません。
共通の価値観や認識がなければ、多様なオーディエンスの共感を得ることは困難です。
一方で、理解するだけでなく、さまざまなステークホルダーと信頼関係を築きながら
協働することも同じくらい重要です。こうした要素が重なり合うことで、
初めて人の心に響く、一貫性のある魅力的なメッセージが生まれます。

ここからは、ソニー・ヨーロッパで、文化に対する理解とクリエイティビティ、
そして協働の力が分野や市場の枠を越えて価値を生み出したいくつかのプロジェクトをご紹介します。

Creative Research

Creative Researchでのワークショップ風景(左)、2025年発売のSIGNALS Creative Research 02(右)

Creative Researchは、ソニーのデザイナーやリサーチャーが毎年取り組んでいるグローバルなリサーチプロジェクトです。国内外の拠点からデザイナーが集まり、世界各地でのフィールドリサーチを通じて見出した新たなトレンドについて議論しながら、さまざまな気づきやアイデアを共有します。成果はレポートにまとめ、社外向けにも『SIGNALS』として刊行しています。

このプロジェクトに参加することで、デザイナーは日々の業務を越えた広い視野で、自身の仕事と他のデザイナーの活動とのつながりを見つめ直すことができます。そこで得た学びは、新たなビジネスの可能性を見出すきっかけとなるだけでなく、デザイナーの知識やスキルの幅を広げることにもつながります。その結果、豊富な情報に基づく意思決定が可能となり、デザインプロセス全体の質も向上します。

これらの知見は、マーケティングやコミュニケーションデザインにも活かされています。文化的背景やターゲットとなるオーディエンスの視点について関係者間で共通認識を持つことで、初期段階からコミュニケーションの方向性を明確にすることができ、一貫性を持ってマーケティングアセットの制作に取り組むことができるのです。

パーソナルエンタテインメント商品に
関するコミュニケーション

WH-1000X M6のキービジュアルの制作風景(左)、完成したキービジュアル(右)

WH-1000X M6のキービジュアルの制作風景(上)、
完成したキービジュアル(下)

新商品の発売にあたって、デザインセンターヨーロッパのチームはマーケティングチームと密に連携し、オンラインショップと店舗の双方で使用するマーケティングアセットの企画・制作を行います。商品のプロダクトデザインを手掛けている日本のチームと欧州各地のマーケティングチームの橋渡し役となることで、グローバルな戦略とローカルな視点を両立させたクリエイティブを実現しています。

2025年度の商品発表では、ノイズキャンセリングヘッドホン「WH-1000X M6」を中心に、商品の魅力も欧州のオーディエンスも理解しているデザインセンターヨーロッパで欧州向けキービジュアルに加え、欧州各地の店舗向け販促物を制作。さらに、現地の広告代理店やフォトグラファーと協働し、ファッションや音楽を愛する方々をターゲットとしたライフスタイルフォトシリーズを制作展開しました。

マーケティングチームとともにターゲットや商品のポジショニングを明確にし、それをもとにモデルのキャスティングや撮影ディレクション、全体のトーン&マナーを決めました。フラッグシップモデルにふさわしい洗練された世界観を意識し、スタイリングや表現に反映させています。キービジュアルでは商品そのものの存在感を際立たせる一方で、ライフスタイルフォトではハイファッション誌のような世界観に仕上げしました。

撮影現場でのアートディレクションから、最終的なビジュアルツールキットの制作まで一貫して担当し、さらに欧州各地のマーケティングチームと密に連携することで、欧州全体で統一感のある質の高いコミュニケーションを実現しました。

WH-1000X M6のマーケティングアセット(左)、店舗向け販促物(右)

WH-1000X M6のマーケティングアセット(上)、
店舗向け販促物(下)

WH-1000X M6のマーケティングアセット(左)、店舗向け販促物(右)

WH-1000X M6のマーケティングアセット(上)、
店舗向け販促物(下)

メディア/ステークホルダーとの
コミュニケーション

メディアやディーラー向けの商品発表イベントのサポートもデザインセンターヨーロッパの重要な役割の一つです。こうしたイベントの場で商品の価値を分かりやすく伝えることは、ブランドイメージの構築や市場でのポジショニングの両面において重要です。

WH-1000X M6の発売に際しては、プロダクトデザイナーの想いを含め、明確なメッセージを伝える基調プレゼンテーション資料を作成しました。さらに、ティザー動画や空間グラフィックを通じて、イベント全体の体験もデザインしています。

メディア向けには、デザインに関するプレゼンテーションも実施し、デザインの背景やクリエイティブディレクションについて直接説明しました。このような一貫したアプローチを通じてソニーのブランドストーリーをより強く印象づけることで、ステークホルダーとの信頼関係の構築に貢献しました。

ソニーデザインセンターヨーロッパは、リサーチから商品開発、マーケティング、ステークホルダーエンゲージメントまで横断した統合的なデザインを強みとしています。コミュニケーションサイクル全体を俯瞰しながら関係者と連携することで、商品のあらゆるタッチポイントにおいて、明確で説得力のあるビジュアルとメッセージを届けています。