イベントレポート

ミラノ工科大学
デザイン
ワークショップ
ウィーク
2026

2026年2月、昨年に続き、クリエイティブセンター センター長の石井大輔がミラノ工科大学 デザイン学部の客員教授として「Design Workshop Week 2026」に参加しました。数名のデザイナーとともに、「未来に向けた家具の進化と拡張」をテーマにしたワークショップを実施。これまでのテーマを踏まえつつ、今年は"エンタテインメント性"を取り入れた体験およびインタラクションの視点から家具の可能性を広げました。

一週間にわたる本ワークショップには、統合プロダクトデザイン、デジタル&インタラクションデザインなど多彩な領域を学ぶ、国際色豊かな学生たちが参加。UI/UXを起点に、プロダクトデザイン、ブランディングまでを一貫して捉え、日常に新しい価値を生むユーザー体験の提案が数多く生まれました。

ミラノ工科大学
デザイン ワークショップウィーク2026

日 付
2026年2月16~20日
テーマ
未来に向けた家具の進化と拡張(インタラクティブエクスペリエンス)
成果物
プロダクト、UI/UX、カスタマージャーニー、ブランディング
参加者
ミラノ工科大学 デザイン学部の学生
総合プロダクトデザイン科
デジタル&インタラクションデザイン科
ワークショップの動画
https://www.youtube.com/watch?v=yC5ptdaFd0g (英語 / イタリア語)

ワークショップのアウトプット

最優秀賞:omono
シャワーの時間をインスピレーショナルな体験へと変換する提案。発想の源は、アルキメデスの逸話(浮力の原理を発見した場が風呂場だったこと)で、ひらめきをどう呼び起こし、どう記憶に残すかを、香りや演出を含むリッチな体験として構想しました。ブランディングまで含めた一貫性のある世界観と、テーマ設定のユニークさを高く評価しました。
ビジュアルデザイン賞:Mira
「夢」と「現実」をつなぐデザインの提案。朝のルーチンとして夢の内容を生成AIで可視化・蓄積することで、再体験したり他者と共有したりすることができます。キーカラーのブルーと、手書きのロゴタイプ、先鋭的なシンボルの組み合わせにより、UIからプレゼン資料まで一貫した世界観を構築。現代ならではの技術で、夢という抽象度の高いテーマをエンタテインメントへ昇華させたUXが新鮮でした。
エクスペリエンスデザイン賞*1 ①:Public Secrets
駅で電車を待つ時間をエンタテインメントに変えるインスタレーション提案。テーマは「confession(告白)」。個人の内側にある思いを、他者とゆるやかに共有する体験へと変換します。半球状のデバイスに言葉を投げかけると、その内容がバブルのようなビジュアルとなって床面を通過し、最終的には電車を待つ人の視線の先に表示される。コンセプトの新しさに加えて、動くモックアップまで作り上げた完成度も印象的でした。
プロダクトデザイン賞:solus
限られた住空間の中で、仕事や休憩など複数のシーンが重なり合う点に着目し、"物理的な壁がないパーソナルスペース"を提案。指向性ノイズキャンセリング技術とプロジェクターを組み合わせ、光と音でパーソナルスペースを立ち上げます。照明器具のような形状は、アタッチメントをつけることによりシーリングライトやフロアランプなど、シーンに応じて使い方を変化させることができます。内部構成の妥当性と、グラフィックやパッケージまで世界観を統一させた完成度を高く評価しました。
戦略デザイン賞:Kroma
子どもが積み木のように好きな形に組立て、色や演出をアプリで設定できるモジュール型の照明の提案。親子で"つくる"体験に加え、子どもの成長の節目の"記憶"も残せる家具です。作る楽しさに加えて、成長の節目の記憶を残す仕組みまでデザインしている点を評価しました。
インタラクティブデザイン賞*2 ①:OPERA
忙しい、部屋が狭い、などの理由で、仕事机で食事をしてしまう社会人や学生の生活に着眼。周囲のディスプレイには、ユーザーが仕事中は補助情報が表示されていますが、ユーザーが集中しすぎた際には表示がアンビエントなグラフィックに変わり、時間の経過を伝えます。 中央のデスクトップと周囲のディスプレイを"オーケストラ"に見立てたデザインコンセプトも秀逸でした。
インタラクティブデザイン賞*2 ②:HABITA
凹凸が変化することによりバランストレーニングを促すトレーニングデバイスの提案。凹凸のパターンを変化させることにより、寝転ぶと草むらの上にいるかのような感触を想起させるなど、身体感覚に働きかける体験ができます。形状変化によって生まれるインタラクションを、さらに深堀りできる伸びしろが感じられた提案です。
エクスペリエンスデザイン賞*1 ②:nest
離れて暮らす相手の“気配”を、ソファーを通じて感じられる体験の提案。相手の心拍や体温の情報を、振動・ライティング・温度の変化に翻訳し、ノンバーバルなコミュニケーションを設計しました。ロゴやカラースキームを含め、繊細なテーマを一貫した世界観として作り込んだ完成度を評価しました。

*1 エクスペリエンスデザイン賞:体験のユニークさ、作り込みという観点から選択

*2 インタラクティブデザイン賞:インタラクションそのものの面白さという観点から選択

写真/資料:ミラノ工科大学提供