PlayStation®5 Design Story

次元を超えた、
ゲームの新世界へ

「Play Has No Limits - 遊びの限界を超える」をテーマに、世界中のゲームプレイヤーに次世代のゲーム体験を提供するために開発された
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のPlayStation®5(以下PS5)。超高速SSDによるローディング速度の飛躍的な向上に加えて、
独自のハプティックフィードバック、アダプティブトリガー、3Dオーディオ技術が生み出す濃密な没入感。まるでゲームと現実空間が
つながったかのような新たな体験をもたらすPS5の背景には、その体験価値の最大化に挑んだデザイン開発のストーリーがありました。

目指したのは
「五次元」の世界観

PlayStation®の開発は、商品企画やマーケティング、エンジニアリングなどをはじめ、さまざまなスタッフがかかわる一大プロジェクトです。そんな中、デザイナーには設計要件に一切とらわれず、開発チーム全体の目標となるようなデザインをつくる、柔軟な発想力が求められます。さらに今回、PS5のデザイン開発で挑んだのは、プロダクトの造形にとどまらず、PlayStationブランドそのものを進化させるべく、世界中のプレイヤーの気持ちを盛り上げ、没入感を高められるような新たな世界観をSIEのデザインセンターが一丸となって創造することでした。そこでまだ見ぬPS5の世界観を追い求め、よりイメージが伝わりやすく、世界観を広げられるようなコンセプトづくりから模索しました。

まずPS5全体のディレクションを考える上で「PlayStationはどのような存在なのだろうか」と根源から考え始め、その次世代機であるPS5について深く考察していきました。あたかもゲームの中にいるような濃密な没入感を生み出すハプティック技術、アダプティブトリガー、3Dオーディオ技術。ゲームのローディング時間を劇的に短縮する超高速SSD。そんなPS5の最先端テクノロジーがつくりだす世界を想像し、思い描いたのが「PS5を通じてゲームと現実空間が時空を超えてつながり、プレイヤーは多次元的に存在するゲームの世界に瞬時に旅立つ」というストーリーでした。そこから、5代目のPlayStation として5という数字にも特別感のある「五次元」というコンセプトを導き出したのです。

デザイナーが大切だと考えたのは、このコンセプトをプロダクトデザイン、システムUIデザイン、コミュニケーションデザインに落とし込み、すべての領域でPS5がもたらすゲームの世界観を具現化していくことです。各領域のデザインを担うデザインセンターのメンバーが領域の垣根を取り払い、「五次元」というコンセプトやイメージについて議論を積み重ね、PS5全体で目指す世界観を共有し、現実世界である三次元世界にいる人と五次元世界をどのようにつなげていくかを整理していきました。五次元と三次元の世界の中でPS5のシステムUI、コンソール、パッケージなどがどのような位置づけで、どのような役割を担っているのかを、キーワードとともに1枚のコンセプトシートにわかりやすくビジュアライズすることで、メンバー全員が共通意識を持ち、互いの関係性を理解しながら、自らの領域でPS5の世界観を生み出していく流れを創り出しました。

異次元の宇宙で
生まれたもの

プロダクトデザインにおいては、PS5本体を五次元への入り口、コントローラーはその扉を開くカギととらえ、デザイン開発を進めていきました。まずPS5のすべてのハードウェアにおいて「これまでのソリッドな塊から脱却し、物質を超えた先を形作る」というテーマを設定。そこから「異次元の宇宙から地球に降り立った、五次元の無限の可能性を持つ強大なエネルギー体が、人と触れ合うために自ら形作ろうとしている」というデザインの核となるストーリーを生み出しました。本体、コントローラー、ペリフェラル(周辺機器)はすべて同じ宇宙で生まれ、それらの機器は人とインタラクトするために適した造形になっていくというイメージで、ハードウェア全体を通じて生命感を感じられるデザインを目指しました。

五次元の世界に誘うために

五次元への入り口となるPS5本体は、コンセプトを伝えるための核となる存在。ストーリーを語り、全製品へのディレクションとするためにも、最初に築き上げられる必要がありました。最先端のテクノロジーが結集したエネルギー体である黒い中心部を、人とコミュニケーションを取るために白いパネルで覆ったというストーリーからデザイン。本体のカラーは、PlayStationのブランドカラーを感じさせるよう、わずかに青みを帯びた黒と白を採用しました。また、白いパネルは「プレイヤーの感情やエネルギーが積み重なって形作られたもの」と考え、それを体現すべく、パネルの内側をブランドの象徴である極小の△〇×□のシェイプスを敷き詰めたテクスチャーで仕上げました。プレイヤーの体験そのものを具現化したPS5本体のデザインには「パッケージを開けた瞬間からゲーム世界へ入り込み、遊びの限界を超える冒険をしてほしい」という想いが込められています。

さらに、PS5本体で注力したのが、プレイヤーのゲームへの没入感を途切れることなく深めるため、その性能を最大限にいかすことでした。PS5は非常にパワーのあるハードウェアであり、その分発熱量も大きいため、冷却用の大型ファンを搭載しつつ、効率的な空気流動を重視。クロソイド曲線という、巻き貝のような空気の流路に沿って余計な部分を削り、曲面を有効的に使用したデザインによって内部の空気流動性能を最大化。これにより、ゲームプレイ中のサウンドを阻害しない静音性も実現しています。緻密に計算されたワイヤーフレームで描かれた2枚の白いパネルの曲面は、究極のテクノロジーの結晶である黒い中心部を支える強度も両立しています。

さらに、電源を入れた際のインジケーションライトも、プレイヤーの目に直接当たらないよう、本体内部の側面から光らせ天板に反射させるなど細部まで丁寧にデザイン。ゲームへの集中力を妨げるノイズを消すとともに、本体内のエネルギーが発光しているような演出にもなっています。

細部まで貫かれた世界観

PS5の可能性を広げるDualSense ワイヤレスコントローラー、PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット、メディアリモコン、DualSense充電スタンド、HDカメラといった周辺機器については「本体と同じ宇宙で生まれたもの」とし、基盤などが搭載されている黒い中心部を白いサーフェスで覆うという本体と同じ造形テーマを踏襲。さらに、人が使う上で最適な造形を追求しています。

五次元世界への扉を開くカギでもあるコントローラーは、ハプティックやマイクなど新機能を追加しながらも、内部設計の工夫によって大型化を抑え、歴代コントローラーの操作性を維持しつつ、より安定してホールドできる造形に進化させました。また、右側のアクションボタンの△〇×□から色をなくし、ボタン類を透明に、PSボタンを黒色にして周囲に溶け込ませることで、人に寄り添うピュアな存在感を表現しています。3Dオーディオ向けにチューニングされたヘッドセットについても機構部分を極力排し、白いサーフェスが自然に頭に寄り添うシンプルな造形に仕上げるなど、PS5の世界観をハードウェア全体で表現しています。

さらに周辺機器においては、人との接点となる白いサーフェス部分に本体と同様△〇×□のシェイプスを敷き詰めたテクスチャーを受け継ぎつつ、人が持つものとしての心地よさや機能性を追求。特にコントローラーのグリップ部分のテクスチャーは、△〇×□の配置や密度、大きさ、高さなどを何度も試作を繰り返して調整し、心地よい手触りと滑り止めとしての機能性を綿密にデザインしています。

今回PS5のために特別に開発された、
△〇×□のシェイプスを敷き詰めたテクスチャー

パートナーとなる存在に

ソニーデザインらしさ、という考えを一度振り切り、PlayStationとして何をすべきかを徹底的に追求しよう。そんな議論のなかで私たちがたどりついたのが、PS5を単なるプロダクトではなく、プレイヤーの気持ちを高めるパートナーのような存在にしたいという解でした。表からは見えにくい本体の白いパネルの内側やコントローラーのグリップを極小の△〇×□を敷き詰めたテクスチャーにすることで、プレイヤーが購入後も新たな発見をして喜びを感じてもらえるような遊び心のある仕掛けを施したり、LEDの光り方を工夫したり。また、本体のパネルを容易に取り外し可能にすることで内部の掃除をしやすくし、拡張ポートへもすぐにアクセスできるようにしました。さらに1台で縦置き・横置きにも対応できるスタンドも開発するなど、あらゆる細部にまで力を尽くしてデザインしました。

ソニーインタラクティブエンタテインメント
デザインセンター
シニアアートディレクター/デザイナー 森澤(左)/ 統括課長/デザイナー 森本(右)

ゲームを「遊ぶ」から
「遊び尽くす」へ

システムUIで追求したのは、複数の世界が同時に存在する多次元宇宙であるPS5のゲーム体験をプレイヤーにいかに遊び尽くしてもらうか、ということ。そこでUX/UIの開発メンバーは、プレイヤーが使い慣れたこれまでのUIをベースに、さらに没入感を高めるべくその進化に取り組みました。PS5では新たに「コントロールセンター」を開発。プレイ中にPSボタンを押すとオーバーレイ表示されるこの「コントロールセンター」によって、ゲームの世界に没入したまま、よく使うシステム機能のほか、ゲームの最新情報や同じゲームを遊んでいるフレンドの状況、攻略のためのヒントなど、多角的にゲームを楽しめる情報などにも素早くアクセスできるようにしています。

さらに、この「コントロールセンター」にはゲーム体験を深化させるため、各ステージのミッション達成度や取り逃がしたアイテムなどを表示できる「アクティビティ機能」も追加。ゲームデベロッパー・パブリッシャー様のご協力のもと、ゲームの中で見落とされがちなサブストーリーや隠しアイテムの情報などもプレイヤーに伝えることで、プレイするたびに新たな発見ができ、ゲームクリエイターの皆さまが考え抜いた細部の仕掛けまで遊び尽くせるゲーム体験を実現しています。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
UXデザイン
シニアプロダクトデザインマネージャー スティーブ・シルバス(左)/
UXリサーチディレクター ミルワイズ・サンギン(右)

いかにゲームの世界に導くか

さらに、システムUIデザインにおいてこだわったのが、五次元という新たなPS5のゲーム世界へ、プレイヤーの気持ちをいかに高ぶらせながら導くかということでした。そこで、初期設定の画面では異次元への入り口が開くかのようなアニメーションの後に、光の粒子が揺らぐセットアップ画面を表示し、これからはじまる新たなゲーム体験への期待感を高める演出を施しました。一方、「コントロールセンター」や「ゲームヘルプ」など各機能のUIについては、ゲームプレイの妨げにならないようミニマルに表示しつつ、見終わったらスッと消える、プレイの流れを途切れさせないニュートラルなデザインに仕上げています。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
UXデザイン
主任デザイナー スコット・スミゲン(左)/
シニアUXデザインマネージャー ウィバット・クロワンワニット(右)

誰もが楽しめる
ゲーム体験を

PlayStation®4 (PS4®)では年齢や障がいの有無にかかわらず、最高のゲーム体験を楽しめるように、音声入力・画面の読み上げ・文字の拡大などさまざまなアクセシビリティ機能に対応してきましたが、PS5ではその対応をさらに強化。サポート範囲をシステム全域まで拡大するため、どのような画面でも文字サイズを大きく見やすく表示できるように、膨大なシミュレーションを重ねながら、新たなデザインルールを定義していきました。より多くの人がPS5のゲーム体験を満喫できるように細部まで徹底的につくり込んでいます。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
デザインセンター
シニアアートディレクター 平松(左) / 統括課長 草薙(右)

ユーザーインターフェースは進化し続けるもの

PS5のシステムは、発売後もネットワークを通じてアップデートしていくことで進化し続けていきます。それに合わせて、私たちUIデザインチームと、リサーチやUXライティング、制作を担うグローバルUXチームも日々「ゲームの楽しみをさらに拡張するにはどうしたらいいか」という観点からデザインの向上に取り組んでいます。今後もPS5でゲームとメディアの体験を楽しんでいただきながら、システムUIデザインの進化にもぜひ期待してほしいと思います。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント UXデザイン
UXコンテンツクリエイションディレクター アイナ・ホァン(左)/
UXプロデューサー/シニアマネージャー タウニ・オックスボロウ(右)

次世代のゲーム体験を
伝えるために

三次元世界である現実世界にいるユーザーに対して、PS5の五次元というゲーム体験を伝えていくためには、世界中で一貫性を持ったプロモーションを展開しなければなりません。それには世界各地域のマーケティングアセットやプロモーションムービーなどの制作に関わる全スタッフに五次元という世界観を共有し、理解してもらう必要があります。そこで、コミュニケーションデザインではPS5の世界観を表したコンセプトシートをもとに、その世界観をシンボリックに表現したコンセプトムービーを制作し、世界各地域でクリエイティブに関わるスタッフに向けて説明。あえてPS5のゲーム体験の本質のみを伝えることで、各スタッフが共通意識を持ちながら、自らのイマジネーションをいかしたムービーやビジュアルを生み出せる環境をつくりだしました。このコンセプトムービーをもとに、マーケティング部門のグローバルクリエイティブチームがPS5のビジュアルアイデンティティを構築し、エコシステムを可視化しました。その結果がPS5発表イベントでのビジュアル表現、本体フォームファクターや周辺機器の発表へとつながっていきました。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
グローバルクリエイティブ
ビデオプロダクション シニアディレクター/エグゼクティブプロデューサー マイケル・ブリントソン(左)/グラフィックデザイン シニアディレクター ブレーク・ロバートソン(右)

PlayStationブランドを
守り育てること

PS5の製品ロゴや製品パッケージについては、五次元という世界観に合わせて刷新する方向も考えられましたが、あえてその道を選びませんでした。大切なのは、世界中に存在するPlayStationのファンやプレイヤーの皆さま。彼らに「PlayStationの最新モデルだ」と直感的に分かってもらうことを第一に、これまで築き上げてきたPlayStationブランドの継承と刷新のバランスを見極めながら、デザインを考えていきました。製品ロゴについては、市場や広告で PS4とPS5ロゴがフォーマットとして横並びになることを踏まえ、またPS5がPS4のゲームもプレイできる後方互換性があることを表現するためにも、PS4のスタイルを受け継ぎつつ、「5」の角の丸みなどを調整しながら、ディテールまで緻密に仕上げています。

製品パッケージについては、PS4ではブランドカラーのブルーの背景に製品の全体像を掲載していましたが、今回はホワイトを基調にした背景にPS5本体の最も特長的な造形部分を切り取って大胆にレイアウト。同時に、PlayStationブランドを一目で認知できるよう、本体の背景にブランドの象徴である△○×□のシェイプスを置きながら、パッケージ天面全体をブルーに配色しました。PS5はディスクドライブを備えたモデルと、ディスクドライブ非搭載のデジタル・エディションモデルの2種類があるため、それぞれの背景をホワイトとブラックに分け、プレイヤーが迷わず選べるようにしています。さらに今回、ブランドカラーであるブルーのカラープロファイルを再定義し、PlayStationブルーとして規定することで、より統一感を持たせたブランドコミュニケーションを世界中で展開しています。

また、PS5のゲームソフトのパッケージについても、店頭でPS4とPS5のゲームソフトが並んで置かれることを考慮し、PS4のフォーマットを継承してデザイン。PS5のロゴ色と背景色を何パターンも検証したうえで、黒色のロゴに白色の背景というシンプルな配色にすることで、多くのソフトウェアが並ぶ店頭でも一目でPS5のゲームソフトであることがわかるようにしています。

PlayStationの進化をPS5で感じてほしい

今回のコミュニケーションデザインにおいては、私たち自身が初めてPS5本体のプロトタイプやゲーム画面を見たときの興奮をそのまま世界中のプレイヤーに届けたいと考えました。PlayStationは初号機より、新たなゲーム体験の創出に挑み続け、その挑戦の軌跡がこのPS5にも刻まれています。ぜひ、PlayStationの進化をこのPS5でも感じてほしいと思います。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
デザインセンター
統括課長 小林(左) / アートディレクター 桶谷(右)

まるでゲームと現実がつながったかのような新たなゲーム体験を生み出すPS5。
ソニーのデザイナーはこれからも、プロダクト、
ユーザーインターフェース、コミュニケーションなど
領域の垣根を越えてユーザーに感動を与える魅力的な体験の創出に挑戦していきます。