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INTO SIGHT デザインの力で未来を創る

「INTO SIGHT」は、2022年9月に開催された「ロンドンデザインフェスティバル 2022」の
ランドマークプロジェクトとして出展した、新しいコンセプトのメディア プラットフォームです。
一歩足を踏み入れると、光、色、音が来場者の動きに呼応し、視覚だけでなく、
聴覚にも訴えかける異世界を体験できるインスタレーションです。

フィジカルとメタ・リアリティの融合を通して生まれる新たな価値観や可能性を探ることを
目的としたこのプロジェクトを手掛けたソニーデザインセンターヨーロッパのメンバーが振り返ります。

INTO SIGHT 展の体験動画

2022年ロンドン デザイン
フェスティバルでの
展示を振り返って

「INTO SIGHT」では、今までにない新しい体験を創り上げるために、テクノロジスト、インタラクションデザイナー、コミュニケーションデザイナー、コンテンツクリエーター、アートディレクター、CGI (Computer Generated Imagery)スペシャリスト、サウンドデザイナー、プロデューサー、PRスペシャリストで構成される多様な専門性をもったチーム編成が不可欠でした。多様な専門性を活かしつつ、時にはアイデアや意見をぶつけ合いながらも協力しあって空間やコンテンツ、そして体験を創り上げました。

展示のコンセプト図

このインスタレーションは、奥行き9.50 x 幅3.70 x 高さ3.40メートルの長方形のトンネルで構成され、一方の端には開口部、もう片方の端には220インチのCrystal LEDの大画面が備え付けられています。また、透明なガラスで構成された左右の壁と、床及び天井の鏡は3M™ ファサラ™ ガラスフィルム ダイクロイックシリーズでコーティングされており、これによって、映像が無限に反射、増幅される空間が生み出されます。来場者がインスタレーションに足を踏み入れると、センサーがその動きを捉え、大画面に映し出された映像と音が変化。来場者がそれぞれ動くことにより、そのインタラクションはリアルタイムで相乗効果を生み、作り手である私たちが予想もしなかった映像と音の新しい世界が繰り広げられました。

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「私たちの目標は、デザインの力を通して新しい体験価値を創出することでした。
「INTO SIGHT」では、没入型の空間演出を通じて、すべての来場者に特別でパーソナルな
没入体験を提供したいと考えました。何よりも、来場者のみなさまがクリエイティブになれ、
ワクワクするような空間を創り出すことを目指して、チーム一丸となってその制作に臨みました。」

田幸 宏崇、クリエイティブ ディレクター /
ソニー デザイン センター ヨーロッパ

INTO SIGHTの縮小模型

展示の検討段階では、これまでにない巨大なガラスのトンネルでの体験を検証するために、試作品(プロトタイプ)での検討を大切にしました。「INTO SIGHT」 の主な技術は、ソニーの高画質LEDディスプレイ Crystal LEDとセンサー技術です。実物大からスケールダウンしたプロトタイプを製作し、これらの技術を組み合わせて生み出されるコンテンツの見え方や、インタラクションとして機能するかをきめ細かく検証しました。

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「スケールダウンしたプロトタイプを使用して事前に体験を確認できたことで、
実際の展示ではその何倍もの素晴らしい体験を来場者にお届けできると確信しました。」

参木 玲子、プロデューサー/マネージャー

スケールダウンしたプロトタイプでコンテンツを検証する

インタラクティブな
映像コンテンツの創造

初期の映像コンテンツは、アートがデジタル時代ではどのようなものになるか?という問いからインスピレーションを受けて、ピクセルアートやブロック形式といった模様の制作を行いました。その後、床と天井の鏡から生まれる無限反射効果と、3M™ ファサラ™ ガラスフィルム ダイクロイックシリーズが生み出す色の変化、さらにはそれらを組み合わせたときにもたらされる視覚的効果を観察し、微調整を繰り返しました。

CGI スペシャリストとコンテンツクリエイターは、Crystal LED画面上の画像とその画像が反射して色が変わったときの空間全体の変化を視覚化することができるように、3Dビジュアライゼーションソフトを使った映像コンテンツの試作を重ねていきました。来場者がトンネル内で圧倒されないように、シンプルでスムーズに動作しつつも、コンテンツそのものが、来場者に興味を抱かせるクリエイティブなものでなければなりません。また、その体験は単にインタラクティブであるだけでなく、エモーショナルなものにする必要もありました。

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「私たちは数えきれないほどのアイデアを試作し、
その中からコンテンツの主な柱を決定していきました。
また、コアとなる体験に削ぎ落していく中で、美しいだけでなく
来場者が心地よく感じられるように、バランスを取ることも重視しました。」

大木 嘉人、デザイン テクノロジスト

映像コンテンツの試作と実物をスケールダウンしたプロトタイプの二つで検証していく中で、新たな発見がありました。それは、暗い背景に対して、明るいトーンで白い模様のあるコンテンツを投影すると、ガラスの奥に見える実世界の景色の上にコンテンツが重なって新たな効果をもたらすこと。これを新しいタイプのインタラクションとして活かすことにしました。

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「インスタレーションは映像や音が変化するだけでなく、映像が無限に反射されて増幅される構成になっていたため、コンテンツ制作には格段に複雑さが加わっていきました。しかしながら、プロトタイプと 3Dビジュアライゼーションソフトを使った映像コンテンツの試作の両方を使用したことで、来場者の体験を早い段階で視覚化することができたため、インスタレーションを良い結果へと導けました。」

ジャスパー・ギル・ハンソン、シニアマネージャー

Photo: Ed Reeve

「INTO SIGHT」に
足を踏み入れることで
生まれる没入型の体験

「INTO SIGHT」では、バーチャルリアリティ(仮想現実)を体験するための専用デバイスを装着することなく、展示に足を踏み入れるだけで、リアルとバーチャルが融合したインタラクションを直接、そしてパーソナルに楽しむことができます。また、周囲の人々の動きにも呼応することで、インタラクションに相乗効果が生まれ、来場者全員で一つの体験を創り上げることができました。

トンネル内でより多くの人が同時に体験できるよう、センサーシステムは可能な限りシンプルなものにしました。従来の展示に用いられていた複雑なスケルトントラッキングシステムではなく、ソニーの赤外線センサー技術を使用することで、来場者の動きに反応する 2 次元のトラッキングを可能にしたのです。

トンネルの天井にはスピーカーが埋め込まれており、映像に合った衝撃音やリズミカルなサウンドトラックがリアルタイムに生成されるプログラムを組むことで、圧倒的な没入体験を可能にしました。

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「Crystal LED ディスプレイ、スピーカー、3M™ ファサラ™
ガラスフィルム ダイクロイックシリーズにセンサーを組み合わせることで、
来場者に統合的で最高の体験を提供したいと考えました。
そのため、トンネルの設営では、スピーカーとセンサーデバイスの位置を何度も調整しました。」

内田 亮太、デザイナー

コミュニケーションの活用から、
来場者の体験を高める

コミュニケーションチームは、展示名からキービジュアル創り、広報と協力したメディアやSNSのアクティベーション、会場での実際の設置に至るまで、あらゆるコミュニケーションアセットの制作を担当しました。

「INTO SIGHT」という展示タイトルは、新しい価値観を得るということ(Insight)、新しい視覚体験に足を踏み入れること(Into Sight)を意味する、英語の言葉遊びから生まれました。 没入型の体験とは何かを考察し、その最も効果的な方法を模索する中、次第に展示タイトルのインスピレーションが湧いてきました。来場者が展示空間内でインタラクションを楽しむのにつれて、この展示に対する理解が深まっていくという願いも、この展示名に込めたのです。

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「展示のコンセプトスケッチを初めて見せてもらったときに、
すぐさま、自分たちがこの仮想の世界に足を踏み入れるというストーリーが頭に浮かびました。
これこそが「INTO SIGHT」というタイトルと
それにまつわるストーリーを創るきっかけとなったのです。
また、初期段階からメンバー間の密な連携は必要不可欠であり、
ストーリーを体験に融合させることこそが、このプロジェクトのターニングポイントとなりました。」

フィリップ・ローズ、シニアプロデューサー

「INTO SIGHT」の対外的なコミュニケーションは、展示開始の3か月前、ロンドンデザインフェスティバルの「First Look」オンラインプレス発表会で紹介された展示のメイン画像と田幸へのインタビュー動画で始まりました。この時点では、展示内容をあまり明かさず、世の中に期待感をもっていただけるようなビジュアルの制作に専念しました。

印刷物、ウェブサイト、ソーシャルメディアにも用いられたこの画像には、人物が巨大な空間に立つ様子のみをフィーチャーしました。また、そのスケール感を伝えるために、わずか数本の遠近線を描き、トンネル内部の印象的な視覚効果を暗示するために、その遠近法の線にカラフルなグラデーションを施したのです。

展示会を表現する
ユニークな配布物

インスタレーション内で多種多様の映像や色が変化する効果に触発されたコミュニケーションチームは、来場者が持ち帰れるようにと、一枚一枚色のパターンが異なるユニークなポスターを900枚ほど作成。最先端のデジタル印刷技術を駆使するだけでなく、キービジュアルに無限の色の組み合わせをレンダリングする生成アルゴリズムを組み合わせることで、来場者自らが「INTO SIGHT」に入っていくという体験を象徴させました。ポスターには、個別のシリアル番号を打つだけでなく、印刷の順序をランダムにすることで、来場者が会場でお気に入りの色合いや番号を探すという遊び心のある工夫も施しました。

来場者の体験は、「INTO SIGHT」のトンネル内にのみ留まるものではありません。来場者のひとりひとりに、終始歓迎されていると感じていただけるよう、日本の「おもてなし」を意識してデザインしました。

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「ポスターは、飾っていただくだけでなく、会話のきっかけにもなるようなものを作ろうと
心掛けました。さらに、私たちの展示会に参加した思い出の品であるとともに、
一緒に体験を創り上げた証にもしていただきたいと思いました。」

リチャード・スモール 、シニア アート ディレクター

「INTO SIGHT」展を訪れてくださったみなさまに感謝の気持ちで一杯です。
私たちのコンセプトを実現できたことだけでなく、この経験を多くの方々と
共有できたことをとても嬉しく思います。 没入型の体験を通じて、人と人とのつながりを
どのように築けるかという洞察は、今後の私たちの活動の糧になると信じています。」

田幸宏崇、クリエイティブ ディレクター /
ソニー デザイン センター ヨーロッパ

Creative Direction:
田幸 宏崇

Content Creation:
大木 嘉人、ジェスパー ジルハンソン、リッケ ゲルツェン・コンスタイン、
ハンパス ヘッドバーグ ハンケル、平田 昌太郎

Event Design & 3D Architect:
参木 玲子、内田 亮太

Communication Design & PR:
リチャード スモール、フィリップ ローズ、古江 伸樹、池田 恵、見目 麻子、渡辺 真理子