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「音楽×テクノロジー」の新たな好循環を創り出す

    「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurpose (存在意義) のもと、ソニーの多様な社員が取り組む活動を「共創」の視点から紹介する対談シリーズ『SESSIONS』。ソニーのクリエイティビティとテクノロジーをビジネスパートナーやクリエイターの取り組みと掛け合わせることで、どのような「共創」が生まれ、そこからどのような感動が広がっているのか。プロジェクトのリアルなシーンをソニーの担当者とパートナーとの対談を通して、シリーズで紹介します。

    今回は、米国のソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であり、インディーズの音楽配信やアーティスト/レーベルに向けたサービスを提供するグローバル・ディストリビューター、The Orchard(オーチャード)と米国のソニー・ミュージックエンタテインメントとの共創について紹介します。ストリーミングサービスのマーケットの拡大、TikTok等の短編動画の人気といった変化する音楽環境のなか、レーベルやアーティストはマーケティングに使える新しいプラットフォームを必要としています。米国ソニー・ミュージックエンタテインメントのEVP兼チーフ・プロダクト・オフィサーのジェイコブ・ファウラーとThe Orchardの グローバル・アーティスト・レーベル・サービス&セールス担当EVP であるトリシア・アーノルドが「音楽×テクノロジー」をテーマに対談しました。

    The Orchardとは?

    「The Orchard」は、1997 年にニューヨークで創業したディストリビューター。日本を含む全世界に45の拠点 (2022年時点)がある。ファンにリーチし、オーディエンスを増やしていけるよう、革新的なテクノロジー、透明性の高いデータ分析、そして専門知識を活かして、アーティストとレーベルに包括的なサービスを提供。デジタルおよび物理媒体の販売宣伝、広告、ブランドパートナーシップ、権利管理、動画の収益化、コラボレーターとの収益分配やロイヤリティ計算、出版管理など、さまざまなサービスをカバーしている。音楽愛好家や専門家らの素晴らしいコミュニティに支持されているThe Orchardは、クリエイターや事業者がダイナミックでグローバルな業界に適応し、成長していく後押しをしている。2015年に、米国ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社となった。

    音楽ディストリビューション ストリームライン化されたソリューションで世界中の独立系レーベルを支援 業界最大手のディストリビューションネットワークを誇るThe Orchardは、世界中の45の市場で活動しています。 The Orchardは、SpotifyとApple Musicの両方でPreferred Statusを獲得した唯一のレーベルディストリビューターです。

    PROFILE

    The Orchard グローバル・アーティスト・レーベル・サービス&セールス担当EVP
    トリシア・アーノルド

    米国ソニー・ミュージックエンタテインメント EVP兼チーフ・プロダクト・オフィサー
    ジェイコブ・ファウラー

    米国のソニー・ミュージックエンタテインメントとThe Orchardの共創
    世界の音楽業界の新しいトレンド

    ── デジタルツールの普及や通信速度の進化により、近年、音楽はCDや音楽ストリーミング、サブスクリプションなど多様な楽しみ方をできるようになっています。音楽業界の中での今後の課題について聞きました。

    ジェイコブ・ファウラー(以下、ジェイコブ): 「音楽業界は常に進化し続けています。私たちが目にしているのは、消費者(私たちがコントロールできない市場)が曲全体を聴くのではなく、動画と一緒に流れる32秒のクリップのような短編コンテンツを聴くという新しい現象です。私たちはYouTubeから SoundCloud へ、そして TikTok へと移行するのを見てきました。Spotifyなどのデジタルフォーマットでの消費がスタンダードになったり、いまだレコードやCDが健在であったりといった変化を経験してきました。多くのアーティストやレーベルにとって短編動画の分野は新境地だと思っています。そして私たちの仕事はその状況で音楽活動を続ける彼らをサポートすることです」

    トリシア・アーノルド(以下、トリシア): 「そうした状況では、より多くのクリエイターが、世界のさまざまな場所で、より多くの人々にアプローチする機会が生まれていると思います。しかし一方で、新たな課題が生まれてもいます。これだけ多くの音楽が世の中に出回っている中で、どうすれば自分の音楽を見つけてもらい、聴いてもらうことができるのか。そうした点こそ私たちが会社として重視していることです。アーティストやレーベルにどのようなサービスを提供するかや、リリースに関してどのようなベストプラクティスや戦略を提案するか。そして、どうすれば数ある楽曲のなかから実際に手にとってもらってオーディエンスとつながることができるか。人々が彼らの音楽を発見し、ファンになってアーティストとして支持してくれるためにはどうすればいいか、といった点にフォーカスしています」

    ジェイコブ: 「米国のソニー・ミュージックグループとしての最も重要なことは、アーティストの音楽をできるだけ早くファンに届け、ファンがそれを消費し、消費のされ方を見ながら反応していくことです。今の時代、アーティストとしては、自分のファンが誰であるかを知り、彼らと関わりをもつことがこれまで以上に大切になります」

    トリシア: 「そういうときに、The Orchardのような会社が必要になるわけです。人は、新しい環境で新しいフロンティアを切り開くためのアドバイスを求めていますからね。The Orchardとして、そうした助言ができるよう心がけています。新しく登場するテクノロジーは前向きに受け入れ、そうしたテクノロジーをどのように活用すれば、オーディエンスにアプローチし、ファンを作っていけるか、クライアントやアーティストと考えていくのです。アーティストはソーシャルと消費が組み合わされたデータを見て、リスナーとのこれからの関わり方を考えるのに活用しています」

    ── アーティストや音楽家が自分の音楽を世界中の人々に届けるためには何が必要なのでしょうか。

    ジェイコブ: 「アーティストがThe Orchardのようなグローバルに展開するディストリビューター1社と組む最大のメリットは、その1社と組めば、仕事をするパートナーが1つで済むことだと思います。すべてのデータを一カ所に集め、一カ所でアップロードし、一カ所でデータを受け取れます。アーティストとして本当に重要なのは、自分たちの音楽とその制作に集中することだと思います」

    トリシア: 「アーティストは彼らのキャリアのためにグローバルに投資し、できるかぎり多くの場所に活動を広げてくれるパートナーがいるのです」

    ── 音楽業界の中で拡大を続けている音楽ストリーミングはどのような方向に向かっているのか、訊ねてみました。

    ジェイコブ: 「携帯電話やワイヤレス・インターネットの普及が進むにつれて、業界も発展していくと考えています。テクノロジーがますます世界各地に広がって、携帯電話のワイヤレスプランがより手頃な価格になるにつれ、そうした地域の市場でもストリーミングが普及し始めるでしょう」

    トリシア: 「それは単にそうした地域の音楽にアクセスする機会が増えるだけでなく、そうした地域のミュージシャンたちがより多くのオーディエンスや注目を集める機会や、その市場を超えてブレイクする力を持つことになります。だから、アメリカの市場にいる人にも、その他の市場にいる人たちにも、突然メリットが生まれます。例えば、アフリカの音楽を聴く機会が増えるようになったり。エキサイティングですよね」

    ── インターネットの進化と、コミュニケーションの変化における音楽アーティストの新しいチャレンジについて教えてください。

    トリシア: 「音楽の消費が変化し、短い形式の動画にシフトしています。人々は以前よりも短い曲の断片に興味を持つようになったため、消費の変化という点では挑戦があります。しかし、私たちが会社として重視しているのは、アーティストやレーベルと協力して、業界の変化に対応し、できるだけ多くの人の目に留まるようにするための最善の準備をすることです。新しいプラットフォームとどのように関わっていけば、ファンベースを作り、他の多くの音楽の中から発掘されるように出来るのかが重要です」

    ジェイコブ: 「そのとおりですね。ダウンロードのみの市場からストリーミング市場へ、そしてミュージックビデオのYouTube、さらには短編コンテンツのTikTokへと、多くのアーティストとともに長年にわたり進化を遂げてきました。これは、新しいエキサイティングな挑戦です」

    The Orchardのテクノロジーを通じてアーティストや人々に近づく

    ── 日本や世界の音楽シーンにおいて、すでにThe Orchardを活用した事例があるのか聞きました。

    トリシア: 「The Orchardが得意とし、楽しんでいることのひとつに、世界中の国々から音楽を集め、グローバルな機会を探すということがあります。例えば、日本の『YOASOBI』」

    「私たちは日本市場にとても注目しており、彼らの音楽をグローバルに発信するようになりました。私たちのツールやデータを使って、予想外の市場で反応が出始めていることを知りました。彼らの音楽は、たとえばラテンアメリカや、K-Popが最初に人気を獲得したような地域で話題になり始めていて、とてもいい機会だと感じました。そこで私たちは彼らに、英語で何かレコーディングすることを考えたらどうかと提案しました。すると、彼らは英語で曲を作り始め、それをリリースするようになったので、私たちもさまざまなマーケットで彼らを育てていく機会が増えました。また、英語版を制作した際には、日本国内でもファンがオンラインに投稿し、オリジナル版と比較することでマーケティングの機会にもなりました。日本では、ファンがネットに投稿して、2つを比較することで、とても興味深いマーケティング・モーメントになったのです」

    「Eric Namというアーティストも同様で、彼は私たちが提供するさまざまなサービスを積極的に活用し、私たちのチームと密接に連携していました」

    「私たちが一緒に仕事をしたアーティストが、さまざまなマーケットで多くの機会を得ました。DPR Ianというアーティストとは、夏にアルバムをリリースし、密接に仕事をしました。
    アーティストたちがさまざまな方法で成長していくのを手助けできたのは、本当に素晴らしいことでしたし、刺激的でした」

    ジェイコブ: 「データ、テクノロジー、製品も戦略の一部だと思います。しかし、Eric Namの話は、まさにThe Orchardを体現しているものです。The Orchardとは、すべてのサービスの集合体であり、それらが一体となったとき、アーティストをグローバルに活躍させることができるのです」

    ── The Orchardではアーティストにどのようなアドバイスをしているのでしょうか。

    トリシア: 「アーティストには、『曲の作り方を変えたほうがいい』といった指示はしたくありません。アーティストはアーティストです。アーティストにはビジョンがあり、自分の作品をどのように表現したいかを知っています。そのうえで私たちがやっているのは、今のテクノロジーを活かしながらチャンスを最大化する方法を考えることです。アーティストとしての自分のビジョンを妥協することなく、ビジョンを発展させる方法を考え、さまざまなプラットフォームで使えるようにするのです」

    ジェイコブ: 「私たちの目標は、常に創造性を育むことであり、それを手助けする技術があれば、それは素晴らしいことだと思います。トリシアが言うように、アーティストにはビジョンがあります。ですから、私たちは、アーティストがそのビジョンを持ち続けることができるように努めています」

    ── The Orchardを用いることで、ファンがどのようにアーティストの楽曲に触れることができるようになるかを知ることができるのだそう。

    ジェイコブ: 「そうですね。私たちが最も重視しているのは、どこから入ってきたファンなのかではなく、ファンであり続けてくれるかどうかです。製品やサービスなど、すべてにおいてその点にフォーカスしています」

    トリシア: 「だからこそ、さまざまな場所のオーディエンスにアクセスする方法を幅広く計画しておくことが本当に重要だと思います」

    ── The Orchardはアーティストの活動をどういう風に広げていくことができるのでしょうか。

    ジェイコブ: 「The Orchardは、世界中にグローバルな展開をしています。私たちにとって最も重要なことは、アーティストの出身地やその地域の消費者市場に焦点を当てるだけでなく、どのようにしてアーティストをグローバルに成長させ、それが世界全体にどのような影響を与えるかを考えることであり、その点についてはトリシアが最もよく理解していると思います」

    トリシア: 「世界中のアーティストが新しい観客と出会い、世界中の新しいファンと出会うことができる。これはとても素晴らしいことで、ある意味、とてもエキサイティングなことだと思います」

    ジェイコブ: 「The Orchardが目指しているのは、音楽を集め、それをグローバルなものにし、言語が通じようと通じまいと、ファンをひとつにすることなのだと思います」

    音楽とデータ駆使型テクノロジー

    ── The Orchardのデータツールをアーティストやレーベルはどのように活用しているのでしょうか。

    ジェイコブ: 「レーベルやアーティストは、ビジネスをエンド・ツー・エンドで支えるオーチャードが提供するプラットフォームを活用することができます。コンテンツをアップロードして、それを例えばSpotifyに送り、全世界に音楽を配信して、データをデイリーベースで受け取り、月末にロイヤリティを受け取ります。そして、そのデータをアーティストやレーベルが理解し、どの市場から最も多くのストリーミングを得ているか、どのプレイリストが再生数の増加に貢献しているかを知るためのツールを提供することに、このチームのフォーカスは置かれています」

    トリシア: 「目の前にある非常にシンプルなツールを使って、すべてのデータからビジネスを分析することができます。ある地域でさらに反応を伸ばすには何をすべきかや、どこへツアーに行くべきかなど、さまざまなことを計画することができます。繰り返しになりますが、世界中のあらゆる市場で何が起きているかを正確に把握できるため、それらに対応し、成長し続けることができるのです」

    Workstation お客様のリリースのアップロード、管理、およびマーケティングを可能にする包括的な顧客対応プラットフォーム

    ジェイコブ: 「世の中にはたくさんのデータがありますが、データの透明性が重要なのです。それをいかにして透明化し、消化しやすくするか」

    トリシア: 「ソーシャルメトリクスを利用することで、この市場で何かがトレンドになりつつあり、その地域にマーケティング費や広告費を投入する時期が来ていることを確認することができ、オーディエンスをさらに増やすチャンスとなります」

    ジェイコブ: 「最終的には、アーティストがどのような影響を受けるかが焦点だと思います。アーティストの曲が、ある地域でどのようにトレンドになっているかだけでなく、どれだけの消費者がその曲を使ってTikTokで動画をアップロードしているかや、そうした消費者がSpotifyにアクセスして、そのアーティストの他の音楽も聴いている、といったことを追跡してお見せします。そのTikTokでの注目によって、ある地域や世界的にアーティストへのアクセスがどのように向上しているか、そして最終的には、それがSNSのフォローにどのような影響を与えているかも示しています」

    ジェイコブ: 「The Orchardは、レーベルやアーティストと一緒に仕事をしていて、アーティストが自分たちのコンテンツを私たちのプラットフォームにアップロードし、それが世界中のエンドユーザーに届くようにする、というのが重要な点です」

    トリシア: 「ファンが新しい曲や、アーティストの音楽を聴く機会をできるだけ多く作っているんです」

    米国のソニー・ミュージックのエコシステム

    ── 米国のソニー・ミュージックが提供できるエコシステムとはどういったものでしょうか。

    トリシア: 「米国のソニー・ミュージックのエコシステムは、私たちThe Orchardがソニー・ミュージックファミリーのパートナーたちと協力して、クライアントに最高のサービスを提供するためのさまざまな機会を提供してくれます。Epic、RCA、Columbiaとは、さまざまなプロジェクトで協力することで、たとえばラジオなど、The Orchardにはないサービスを提供できています。
    ソニーファミリーの一員であることで、必要に応じてアーティストやレーベルにそのような機会を提供することができるのです」

    ジェイコブ: 「The Orchardとソニー・ミュージックパブリッシング・グループとのパートナーシップも素晴らしい例だと思います。The Orchardでは、アーティストやレーベルの利益となるよう、ソニーのさまざまな音楽事業体と可能な限り協力しようとしているのです」

    ソニーにとって"共創"とは?

    ── ソニー・ミュージックがThe Orchardと音楽業界でタッグを組む"共創"について聞きました。

    ジェイコブ: 「あなたの役割も私の役割も、いかにして共創し、いかにして『感動』を世に送り出すかということに焦点をあてているのだと思うのです。私が本当にやろうとしていることは、製品とテクノロジーをクリエイティブな空間に持ち込むことなんです。そして最終的に、あなたが提供するものは、私との共創だと思います」

    トリシア: 「そうです。そして、世界中のコミュニティの多くの人々に『感動』を届けることを目指しています」

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