英国王室とソニーとの50年にわたる深いつながり チャールズ英国王がUK Technology Centreを訪問
英国のチャールズ3世国王が7月11日、同国・ペンコイドにあるソニー・ヨーロッパのUK Technology Centreを訪問されました。今回の訪問は、ソニーがウェールズに製造拠点を開設してから50周年、そして、ペンコイドに事業所を開設してから30周年を記念したものです。そもそも、ソニーが英国に事業所を設けたきっかけの一つは、実は、チャールズ国王の言葉でした。英国王室とソニーとの長く深い関係性と、今回のご訪問の内容を振り返ります。
目次
チャールズ英国王「英国に工場を建てるなら、ウェールズに」
時は1970年。当時皇太子であったチャールズ国王が大阪万博のために来日した際、レセプションの席でソニーのファウンダーの一人である盛田昭夫と出会ったのがはじまりでした。ウェールズ公でもあった国王は盛田に対して、「英国に工場を建てる予定はありますか。将来その計画を立てたなら、ウェールズのことを思い出してください」と語りかけたといいます。
実は、国王の言葉の前から英国への工場建設の計画はあったのですが、その後、立地条件や交通の便、環境などを考慮した結果、外国企業としては初めてウェールズ内のブリジェンドにカラーテレビ工場を開設することが決定。1974年の開所式には、盛田の招待に応じて国王も臨席し、「万博の時にモリタシャチョウサンに提案したことが実現するとは夢にも思いませんでした。先ほど工場見学したときのテレビの画像が極めて良質で、これから私がテレビに映るときは、素晴らしいピントで現れるでしょう」とユーモアを込めて挨拶されています。
開所式で従業員に声をかける国王(左)と盛田(右)
ブリジェンド工場にはその後、1982年と1991年には当時のダイアナ皇太子妃が視察に訪れています。また、1993年に、同じくウェールズのペンコイドにカラーテレビの第二工場として現在のUK Technology Centreを開設した際には、故エリザベス2世女王が開所式に臨席し、「ソニーの成長と成功が、南ウェールズの経済に大きく貢献してくれたことを嬉しく思います」とスピーチされています。
UK Technology Centreを訪れる故エリザベス2世女王
二つの事業所で生産されたカラーテレビは、当時、EU圏内だけでなく、東欧やアフリカなどにも輸出されていたこと、また、これらの工場における環境保全の取り組みから、英国への貢献が認められ、ソニーは1980年度、87年度、90年度、95年度に輸出分野で、97年度は環境分野で、「クィーンズ・アウォード」を受賞しています。さらに、1992年には盛田が大英帝国勲章を受章したほか、1995年には日系企業として、また、家電製品として、初めて「英国王室御用達商品」にも指定されました。
「ここは私の工場です」
その後、2005年にブリジェンド工場は閉鎖となりましたが、ペンコイドのUK Technology Centreは国内外に向けた放送・業務用カメラの製造や、Raspberry Pi※をはじめとする第三者の受託製造を行うなど、最先端の製造事業所として発展を続けています。チャールズ国王は2014年にも、UK Technology Centreで開かれたブリジェンド事業所開設40周年の記念式典に臨席され、「ここは私の工場です」と話されています。
10年ぶりとなった今年の訪問では、UK Technology Centre マネージングディレクターのロブ・ウィルソンのほか、ソニー株式会社 代表取締役社長 兼 CEOの槙 公雄、ソニーグループ株式会社 執行役 専務の安部 和志をはじめ、社員一同が国王陛下を出迎えました。
※ 英国ラズベリーパイ財団が開発し、教育やプロジェクト開発などのさまざまな用途に利用されているARMプロセッサを搭載した小型のシングルボードコンピューター。
そして、国王は30,000平方メートルにわたる最先端の事業所内を見学、事業所の代表社員と言葉を交わされたほか、ウェールズで創業して50年となるUK Technology Centreが、地域社会への貢献や卓越した製造技術の革新にどう取り組み、発展してきたかをご覧になりました。
カメラの製造エリアでは、事業所で製造された30,000台目の業務用HD カメラに、国王がソニーのロゴを取り付け、梱包されました。また、Raspberry Piの生産ラインでは、ペンコイドで生産された5,000万台目のRaspberry Piを記念の箱に詰められました。
そして、社員の歓待を受けて事業所の見学を終えられた国王に対し、槙が、「ソニーとウェールズ政府との絶え間ない結びつき、そして王室からの揺るぎないご支援により、ウェールズにおける生産開始50周年という記念すべき日を迎えることができました」との感謝の言葉を述べました。
国王陛下の訪問内容の詳細は、YouTubeのThe Royal Family Channelの動画「King Charles Visits Sony to Mark 50 Years of the Tech Giant in Wales」でもご覧いただけます。