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© Tsubasa Iwabuchi/WWFジャパン

気候変動および森林保全を通じた生物多様性保全におけるWWFジャパンとのパートナーシップ

ソニーグループ(株)(以下、ソニー)は1989年に公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)に法人会員として入会し、社員の取り組みと連動した寄付や製品提供などの支援を始めたことを契機に、現在まで30年以上にわたり連携を続けています。また、2021年4月1日からはコーポレート・パートナーシップ契約を締結。WWFジャパンが取り組む気候変動および森林保全を通じた生物多様性保全を支援し、この2つの分野での協働を開始しました。さらに、2024年4月には健全な地球環境の実現に向けた両者の協働をさらに進めるため、このパートナーシップを更新しました。

パートナーシップの具体的な取り組みは、以下の通りです。

気候変動分野

2025年度までのソニーの環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2025」および両者が取り組む「クライメート・セイバーズ・プログラム」※1 における、直接的かつ間接的な温室効果ガスの排出量削減目標達成に向けて、WWFジャパンによる進捗状況の確認や必要な情報提供、専門的助言および監修などの支援を受けます。また、2030年度までの新たな環境中期目標の策定のために必要な協働を行います。

生物多様性保全分野

「Green Management 2025」で掲げる生物多様性への配慮および適切な資源利用に関する目標の達成に向けて、WWFジャパンより必要な情報提供、専門的助言などの支援を受けます。また、森林が急速に失われ、残された森林もさらなる減少の危機にある地域のうち、日本が輸入する木材、紙、パーム油などの農林畜産物の需要が原因で森林減少が起きている地域を中心に、WWFジャパンの森林保全活動への支援を通じて、生物多様性保全のために協働します。加えて、ソニーグループの技術や知見を提供し、WWFジャパンが東南アジアなどで取り組む森林保全活動を推進していきます。

  • ※1WWFと企業が、企業の排出削減の目標策定とその実施を進めていくWWFの国際プログラム(1999年に発足)。企業はWWFとの協議を通じてパリ協定と整合した野心的な削減目標を掲げ、取り組みや進捗状況を、毎年WWFと第三者機関が検証しながら達成を目指す。ソニーは2006年からこのプログラムに参加している。

スマトラ島における森林再生活動への Synecoculture™ の活用を目指したパイロット事業を開始

WWFジャパン、WWFインドネシア、ソニー、株式会社SynecO(シネコ。以下、SynecO)は、人の手による植栽の管理が難しいインドネシア・スマトラ島の森林再生地に、生態系が持つ自己組織化機能を活用する農法であるSynecoculture(シネコカルチャー)※2を導入し、森林再生活動への有効性を検証するパイロット事業を実施しました。

Synecoculture(シネコカルチャー)について
多種多様な植物を混生・密生させ、豊かな生態系をつくりだし、もともと生態系に備わる物質循環などの自己組織化機能を多面的に活用するもので、環境負荷を生む耕起・施肥・農薬を必要としない農法です。
SynecO代表でもあるソニーコンピュータサイエンス研究所の舩橋研究員が提唱する栽培法で、人間活動が積極的に介在する事で自然状態を超えた生物多様性や生態系機能を実現します。また、食料生産だけでなく、環境や健康に与える影響までも包括的に考えられた立体的な生態系の活用法であることが特徴です。
SynecOは、それぞれの土地の風土や気候に合わせた植物の栽培に役立つビッグデータの解析技術や、農園管理に役立つ小型・高精度のセンサー技術など、ソニーの技術を活用したSynecocultureマネジメント法を提供し、グローバルに展開することを目指しています。

  • ※2Synecocultureはソニーグループ株式会社の商標です。

インドネシア・スマトラ島におけるWWFによる活動と課題

インドネシア・スマトラ島は、日本の面積の約1.25倍にもなる世界で6番目に大きな島です。かつて島全体を覆っていた熱帯林は、紙パルプやパーム油などを生産するために伐採され、1985年から2012年にかけて半分以上の森林が消滅しました。これにより生物多様性は著しく失われ、さらに密猟が生物多様性の減少に拍車をかけ、スマトラトラなどを含む野生生物の生息数は激減しました。スマトラ島に生息するスマトラトラは残り600頭以下と言われています。スマトラトラは、絶滅危惧種であるだけでなく、その存在は豊かな森林⽣態系が維持されていることを示す重要な指標でもあります。

森の中で、大きな岩の上に横たわるトラ
トラ ©Suyash Keshari / WWF International
森林パトロールや野生生物調査、森林再生、小規模農家支援、サプライチェーン改善、持続可能な発展のための教育など、WWFによるスマトラ島での4つの主な取り組みが、トラや森、人を守ることにつながり、最終的にネイチャーポジティブとカーボンニュートラルの実現を目指すことを表す図
WWFによるスマトラ島での取り組み © WWF Japan

WWFジャパンとWWFインドネシアは協力して、森林のパトロールや森林再⽣など、野生動物や森林を守り再⽣する直接的な取り組みや、森林破壊の⼤きな原因となっている農業をより持続可能なものにするための活動(森林破壊を伴わない持続可能な農業の在り方を模索する取り組み)、⼈々のサステナビリティへの認知度を高める教育活動などの間接的な取り組みを組み合わせて、包括的な活動を実施しています。

その活動の一つとして、西スマトラ州ソロク県スンガイ・アブ村では野生動物の生息地拡大をめざし、また荒廃した森林を再生するために果樹などの植林を現地コミュニティと協働で行っています。植栽した苗木を育てるためには十分な明るさと土壌の養分が必要で、苗木の周りの雑草を定期的に管理しなければなりません。熱帯地域にあるインドネシアでは特に雑草の勢いが強いため、植栽後4年ほど雑草を管理しますが、植林活動地は急斜面にあり人の手による作業が困難なことや、植栽した木から収穫物を得るまでに時間がかかるため、現地コミュニティのモチベーションをどうやって維持するか、などの課題がありました。

パイロット事業の目的と成果

こういった課題に対し、多種多様な有用植物(食料として利用できる作物や薬用植物など)を混生・密生させるSynecocultureを苗木の周りに導入することで、雑草の発生および成長を抑制、雑草管理の手間を省くと同時に、果樹が育つのを待たずにさまざまな作物が収穫可能となります。また、植物を密集させることで地滑りや土壌侵食のリスクを減らすことができるといった効果も期待されます。この効果の検証と、現地住民の収入向上と森林再生のスピードアップをめざし、2023年12月から2025年1月までパイロットプロジェクトを実施しました。

パイロットプロジェクトは、SynecOがWWFインドネシアおよび現地住民に対して、Synecocultureに関する座学およびワークショップを実施し、圃場の立ち上げに対するコンサルティングやメンテナンス、効果測定の企画・分析などを行うところから始めました。その後は毎月1回オンラインにてモニタリングを行い、現地へのアドバイスを実施しました。

Synecocultureの圃場を立ち上げるための土地を視察する関係者。大人5名が斜面を歩きながらメモを取る様子
2023年5月 ©Sony Group Corporation

従来の慣れ親しんだ農法とは異なるSynecocultureを現地住民に受け入れてもらうのは時間がかかりましたが、考え方や手法が少しずつ現地コミュニティのメンバーに浸透し始め、Synecocultureの特徴である有用植物による混生・密生の実現ができるようになりました。Synecocultureを導入した圃場ではトウガラシ、ショウガ、ターメリック、ネギ、カルダモンなどを収穫し、消費しきれないトウガラシは地元の市場で販売するなど一定程度の効果が見られました。また、関わった現地コミュニティのメンバーからは、「新しく植林をする荒廃地域でもSynecocultureの取り組みをしたい」との意向も示されました。手に入る種苗が多くないことは制約の一つとしてありましたが、メンバーから自発的に「野生の有用植物や、養蜂をするための花を植えて多様性を高めたい」との発言もあり、理解度の向上がうかがえました。

立ち上げたSynecocultureの圃場を関係者が観察する様子。複数種類の作物がひざ丈ほどに育っている。
2025年1月 ©Sony Group Corporation
立ち上げたSynecocultureの圃場を関係者が観察する様子。複数種類の作物がひざ丈ほどに育っている。
インドネシア・スマトラ島でSynecocultureの圃場立ち上げに携わった現地住民やソニー社員、WWF関係者など、約20名の集合写真
©WWF Japan

WWFジャパンとソニーの取り組み

WWFジャパンは人と自然が調和して生きられる未来を築くため、環境保全に関するさまざまなプロジェクトを展開しています。またソニーは、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目指す長期環境計画「Road to Zero」※3を掲げ、環境活動を推進するとともに、1989年より過去30年以上に亘ってWWFジャパンの支援および協働を継続してきました。WWFジャパンとソニーは、持続可能な未来、脱炭素社会の実現、生物多様性の保全を目指して、今後も継続的に協働していきます。

1989年〜 法人会員入会・社員取り組み連動寄付・商品提供などの支援
1991年 チャリティーセール売り上げの寄付
2006年〜 クライメート・セイバーズ・プログラムへの加盟
2011年〜 スマトラ森林保全プロジェクトへの支援
2013年〜 「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)」※4へ設立メンバーとして参画
2015年 WWFとの協働の下、Science Based Targets initiative(SBTi)※5の承認を日本企業初取得
2017年 自律型エンタテインメントロボット"aibo"チャリティーオークション売り上げの寄付
2021年 コーポレート・パートナーシップ契約を締結
2024年 コーポレート・パートナーシップ契約を更新

  • ※3ソニーが2010年に発表した、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目指す長期環境計画。環境に関わる4つの視点から事業活動と製品のライフサイクル全体を通じた目標を設定し、それに向けて活動しています。なお、2022年5月、気候変動領域における環境負荷ゼロの達成年を2050年から2040年に前倒ししました。詳細はこちらをご覧ください。
  • ※4「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)」:森林に由来する紙について、先進的な取り組みを行なう企業5社が、環境や社会に配慮した「持続可能な紙利用」が社会全体で拡大、浸透することを目指し、株式会社レスポンスアビリティとWWFジャパンとの協働のもとに、2013年11月に立ち上げたもの。その後5社が新たに参画し計12の企業、団体が参画。
  • ※5気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5度に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を企業が設定することを推進する国際イニシアチブ。

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)

WWF は 100 カ国以上で活動している環境保全団体で、1961 年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行なっています。
WWFジャパンウェブサイト

株式会社SynecO

Synecoculture(シネコカルチャー)など拡張生態系に関連した環境技術に特化した事業を推進するスタートアップです。ソニーが新たな環境技術を育成する取り組みとして2020年9月に創設したコーポレートベンチャーキャピタル(Sony Innovation Fund: Environment)の第一号案件として設立されました。
SynecOウェブサイト