『Meteora』は、すごく思い入れのあるプロジェクトなんです。私たち全員、宇宙オタクなんですよ。コンセプトから、すごくいい形で仕上がっていました。共同設立者であるナイリス・ロイが、プレイヤーが流星となってゲームの世界観を旅するというアイディアを思いついたことがきっかけとなったのですが、これは今まで誰もチャレンジしたことのないゲームだと思いました。斬新で、ワクワクもするし、クリエイティブ面でも可能性しか感じなかったです。ゲームという枠の中では、ほとんど誰も踏み込んだことのない領域だったので色々と新しいことにチャレンジすることができて楽しかったです。早く皆さんにもこのワクワクする世界観を体験していただきたいです。
IHPは、本当に思いがけず私たちに降ってきた、とても光栄なチャンスでした。ソニーサイドからのアプローチを受けて、このプロジェクトの存在を知ったのですが、詳細を知れば知るほど、内容が素晴らしすぎるため、これは応募するしかないと思いました。プロジェクトに応募したことはかけがえのない経験になりましたし、結果として、『Meteora』がこれほど多くの人々の心に響いたことは、私たちにとってこの上ない喜びです。IHPで受賞作品の一つとして選ばれたことを本当に嬉しく思います。
申請プロセスは単純明快でした。無駄が一切なく、それがとても良かったと思います。シンプルなプロセスでありながらも、その過程で学ぶことも多かったです。ゲームそのものやチーム編成、これからの展望についての説明の仕方、また予算組みについても考える必要がありました。これらはインディー・クリエイターとして開発を続けてきた私たちにとってほとんど考えたことのないことばかりでした。
IHPへの応募を通して、私たちは多くのことを学びました。ありとあらゆる事を考慮しなければいけないこと、考慮することでその後のローカリゼーションやゲームテスト、果てはコンソール用のための準備といった、開発の後期が大きく変わるという事実を知ることができました。例えば、TCRという、ゲームがコンソールで発売されるためにパスしなければならない技術要件のチェックがあるのですが、それについても知る機会を得ましたし、申請をするプロセスでこれらのことを体験できたのは、大きな経験となりましたし、申請の準備が完了する頃にはあとは送信ボタンを押すだけという状態まで持っていくことができました。
たくさん素晴らしい経験があるのですが、一番は『Meteora』が大きく進化を遂げたということです。もともと、私たちはPC向けにゲームを開発しており、2Dのフラットスクリーンでの体験にのみ焦点を当てていました。しかし、IHPに参加した時に最初に聞かれた質問は、「なぜこのゲームをVRでやらないのか?なぜ他のプラットフォームを視野に入れないのか? 」という内容でした。その質問が、私たちの考えを根底から覆してくれたのです。その瞬間、私たちはコンソールやフラットスクリーンでのエクスペリエンスだけを考えるのではなく、VRという可能性を探ることができるようになったのです。
以前は、『Meteora』はVRには向いていないだろうと勝手な思い込みで、知らず知らずのうちに自分たちの思考に制限をかけていました。けれど、IHPに参加してからは、新しい可能性を探求し、色々なことを試す「資格」を手にしたかのような自由を感じました。そして試しているうちに、『Meteora』とVRは完璧なほどに親和性が高いということに気づきました。その事実はずっと目に前にあったのに、私たちが気付けずにいただけだったのです。
さらに深く検討を続けていくうちに、プレイヤーにさらに多様な体験を提供したいと思うようになりました。現時点ですでにVR版と2D版があるのですが、今はまったく新しいことに挑戦しています。ですが、まだその内容はネタバレできないので秘密です。IHPのおかげで、自分たちでは思いつきもしなかったような形で、『Meteora』をより大きなスケールで提供できる可能性が見えてきました。この経験は、私たちにいくつもの新しい扉を開き、枠に囚われない自由な発想を可能にしてくれました。とても刺激的な体験で、ここからさらにどのように発展していくのか、今からとても楽しみです。
IHPはインキュベーションプログラムのようなもので、単にゲームを作ってリリースするためのプラットフォームを獲得できるというものではありません。IHPから学べることは本当に多く、あらゆるリソースやサポートについてくれる方々との繋がりも提供してくれます。AAA作品をリリースしているスタジオや大企業がどのように運営されているかを垣間見ることもでき、これまでとは違った巨大な世界に足を踏み入れる心の準備をするサポートもしてくれます。
最初は、小さなゲームを開発し、それを世に送り出し、できる限り最高のものを作れたら良い、という程度に考えていましたが、今の私たちはもっと視野を広く持つことができるようになりました。より深く、そしてより大きく、物事を考えられるようになりました。以前の私たちでは思いもよらなかった思考プロセスに到達することができたのです。こういった思考の変化は、IHPのようなプロジェクトの存在のおかげだと思っています。
ゲームの開発ができて、自分の仕事を全うできるゲーム開発者は大勢います。ですが、それ以外の制作プロセスについて理解している人は、少ないかもしれません。IHPのようなプロジェクトは、私たちがそうやって見落としてきたあらゆるゲーム開発の側面についても、心構えをする手助けをしてくれます。それは開発の実践的な側面を強化してくれるだけでなく、私たちをより良い、バランスの取れた開発者へと変化させてくれました。これらのことを、今回のプロジェクトから得られました。見える世界がすっかり変わってしまうような体験でした。
私たちは今、変革していく時期にあるのだと思います。10年前を思い返すと、インド国内ではゲーム開発に対する関心はまだそれほど高くありませんでした。しかし、この5年間で、特にゲーム開発に使用するツールに関して、技術系の人材が急増しています。今やインドのゲーム開発を取り巻くポジティブなエネルギーと勢いは火を見るより明らかで、これから先も上昇し続けるだろうと感じています。
そして、10年前には考えられなかったことも、大きく変化しました。当時は、ゲーム開発のための資金を集めるために周囲に援助を申し入れたとしても、消極的な反応が多かったのです。リスクを取って好意的に受け止めてくれる方も中にはいましたが、ほとんどの方は業界への理解が十分でないために、資金援助を躊躇していました。それが今では、当時は難色を示していた方たちでさえも興味を示してくれるようになったのです。今では資金調達の選択肢が格段に増え、人々もリスクを取ることに前向きになりました。業界全体が急速に成長し、あらゆる面で上向いているように感じます。
コンセプトが何よりも重要な要素でした。この非常に斬新なゲームのコンセプト開発は、主に共同創設者のナイリス・ロイが担当しました。プレイヤーが流星となりゲームを進めるというコンセプトが固まったあとは、物語の設定に着手しました。それがもっとも合理的な順序だと思ったからです。ビッグバンをゲームの起点とするのであれば、私たちは「存在」そのものの起源について踏み込むこととなり、当然その後の宇宙の膨張についても探究することになります。流星としてのプレイヤーは、壮大な宇宙の形成過程を旅する小さな塵のような存在です。それはつまり、その人だけの物語を創造することなのだと思うのです。こういったプロセスを経て、私たちが辿り着いた物語とは「あなたは流星です。これからのあなただけの物語を紡いでください」というものでした。それこそが、このゲームの本質であり、素晴らしいメッセージだと私は思いました。
コンセプトが固まり、次に考えたことは「宇宙には他にどんな魅力的な要素があって、どのようにプレイヤーの旅に関わってくるだろうか?」という問題です。その結果、種類の異なる、様々な色の流星をデザインに取り入れることになりました。また、プレイヤーが旅をする宇宙の性質についても検討を重ねました。穏やかな宇宙だろうか、それとも混沌としたものだろうか?結局、静寂と完全なカオスの世界観、どちらも体験できるよういくつかのスペースゾーンを導入することで、全体としてバランスの取れた世界観を目指すことになりました。
また、プレイヤーが太陽に近づいた時にその熱を感じ取って欲しくて、プレイヤーが置かれた環境を反映する色や要素については、かなり慎重に選びました。さらに、恒星間プラットフォームなどの巨大な存在に出会ったら、プレイヤーはどうするだろうかと想像しました。どういった恐怖を感じるだろうか?身動きが取れなくなることを覚悟で近づくだろうか?スリングショット効果は働くのだろうか?これら全ての理論を組み合わせながら、ゲームプレイ体験を形作っていきました。
あらゆるチャンスが訪れた時に逃さないようにするため、スキルを磨くことの重要性を認識してもらえたらと思います。求められていることのほんの一部しか持ち合わせていなかったがためにチャンスを逃してしまった、ということはよくあります。もっと深く理解さえしていたなら、真に貢献できることがあったかもしれない、と思い知ることもあるでしょう。私は基本的には前向きに物事を捉えているのですが、全てのプロジェクトは達成目標という、明確なビジョンから始まるものです。そしてあなたもそのビジョンの中で重要な役割と担う可能性があるのです。ただし、そもそもその求められるタスク達成のためのスキルを持ち合わせているかどうかという点が問題になることもあり、それがネックになること場合もあります。
経験とともに、人は自分の強みが自ずとわかってくるものだと私は考えています。どんなことに取り組むにしても、柔軟に対応すること、そして完全にコミットし続けることが大事です。その心構えで仕事に取り組めば、可能性は無限に広がります。コツコツ努力することで、創造性はどこまでも成長させられます。「自分の作ったものが好きだ」、「自分で決めた目標を達成できた」と言えるところまで、とにかく突き進むことが大切です。責任を持ちやり遂げること - クリエイティブの世界で本当に必要なのは、ただそれだけなのかもしれません。
私はクリエイティブな家庭の出身なので、いわゆるデスクワークのような仕事に就くという選択肢はありませんでした。コンサートをはじめとした、さまざまなクリエイティブな環境に囲まれて育ったので、それが自然な道だと感じました。将来この道に進むと明確に目標を定め、逆算して勉学などその他全てのことを選択してきました。ものを作るということは、単に私という人間の一部なのです。