ビジネスの「司令塔」としてソニーの経営判断を支える、経営企画・事業管理の役割と働く魅力。

エレクトロニクスからエンタテインメントまで、多岐にわたる事業をグローバルに展開するソニーグループ(以下、ソニー)。この巨大なビジネスを、収益など経営に関わる数字面などから支え、未来へと導く役割を担うのが、「経営企画・事業管理」です。
彼らの役割は、単に数字を集計することではありません。設計、製造、販売といったあらゆる部署と連携し、ビジネスの現状を分析し、タイムリーなアクションを指示する──まさに、ビジネスの「司令塔」として、経営の意思決定を支える重要なポジションです。
そして注目したいのは、巨大組織の中枢で「司令塔」としての実務の多くを、チームの一員として若手社員が担っているということです。若手社員はいかにしてその重責を担い、成長していくのか。
記事前半は、現場の最前線で活躍する社員を代表して瀬口さんと長谷川さんに、記事後半ではマネジメント層を代表して平野さんに話をお聞きし、経営企画・事業管理の仕事のリアルに迫ります。
まずは、経営企画・事業管理の仕事内容や仕事のやりがいについて、瀬口さん・長谷川さんに話をお聞きします。
担当事業によって動き方が異なる点も、この仕事のおもしろさ。
── お二人が担当されている業務の内容について教えてください。
瀬口:レンズテクノロジー&システム事業部の事業管理として、主にレンズとカメラ用アクセサリーを担当しています。業務は大きく「モノ」と「カネ」の管理に分かれており、「モノ」の面では工場の担当者と連携して、週次の需要に合わせて生産数を調整しています。「カネ」の面では、現在欧州エリアを担当しており、現地から上がってくる損益(PL)データを分析・集計し、事業全体の収益管理を行っています。
長谷川:イメージングシステム事業部の事業管理として、大きく二つの役割を担っています。一つは、事業部全体の売上集計とPLの連結管理です。産業機器、インフラ向けなど多様な領域の数字を精査し、事業部全体の収益状況を可視化する役割です。もう一つは、再生プラスチック素材SORPLAS™※の事業室管理です。売上規模としては大きなものではありませんが、予実管理や事業計画策定、商流/オペレーションの相談窓口を一人で担当しています。
※SORPLAS™についての詳細は、こちらのページをご覧ください。
── 時期にもよるとは思いますが、一日のお仕事の流れについても教えてください。
瀬口:比較的業務が落ち着いているときは、朝は自宅で9時頃から在宅勤務を始めます。販売レポートやオーダー需要の変動を確認するためメールチェックなどを行い、ラッシュを避けて11時頃に出社します。午後は生産管理担当者とのミーティングに向けてデータ分析や生産シミュレーションなどの資料作成を行います。始業が比較的ゆっくりしている分、退社は20時頃になることもありますが、自分のペースで柔軟に働いています。
長谷川:私は朝型なので5時過ぎには起床して、ゴルフ練習場で軽く汗を流してから、7時過ぎに出社します。午前中はデータの抽出や精査といった下準備を行い、午後は事業部全体の売上集計やPLの連結作業に集中します。18時頃には退社し、趣味のゴルフやランニング、自炊を楽しむなど、オンとオフをしっかり切り替えています。

── 年間の繁忙期はやはり年度末でしょうか?
瀬口:そうですね、経営企画・事業管理としての最大の山場は次年度の事業計画策定なので、繁忙期も年度末になります。例年11月頃から各国の販売会社や事業部と議論を開始し、1月から2月にかけて具体的なPLへの落とし込みや経営陣への承認プロセスがピークを迎えます。その他にも四半期ごとの決算対応や、中期計画策定などもありますが、担当する事業部ごとに忙しい時期が異なる場合もあるかと思います。
長谷川:例えば、私が関わっている半導体事業では、長期的な設備投資が鍵となるため中長期を見据えた計画が求められ、単年度予算よりも、6月から8月に行う「中期計画」の策定が山場となります。扱う商材のライフサイクルやビジネスモデルによって、管理すべき期間や注力するタイミングが変わる点も、この仕事のおもしろいところです。
経営における意思決定の最前線に立ち会えるやりがい。その一方で、日々のコミュニケーションや調整業務といった泥臭さも重要。
── これまでの業務の中で、「経営の意思決定を支えている」と実感できた具体的なエピソードはありますか?
瀬口:将来の需要予測に対して工場の生産能力が不足するリスクを早期に察知し、未然に防いだ事例があります。工場や設計部門と連携して対策を練り、関係各所を巻き込みながら、新たな設備投資によるキャパシティ増強案を事業部長へ提示しました。その結果、投資の承認を得て供給不足を回避し、ビジネスの機会損失を防ぐことができました。
長谷川:外部要因による減産対応の際、300~400種類もある製品の中から「利益への打撃が少ない組み合わせ」を即座に試算し、被害を最小限に抑える提案ができた事例があります。日頃から営業メンバーと対話し、複雑な製品コードの意味(利益率の違い)を把握していたため、急なトラブルでも膨大なデータから瞬時に最適解を導き出し、チームの迅速な判断を支えることができたと感じています。

── 経営企画・事業管理における仕事のやりがい、また難しさについても教えてください。
長谷川:若手のうちからトップマネジメント層と直接関わり、高い視座でビジネスの最前線に触れられることがこの仕事のやりがいだと思います。
一方で難しいのは、経験豊富な経営層に対して、若手であっても議論することが求められる点です。ただし、専門的な知識や経験などの面ではどうしても不足する部分があります。だからこそ論理だけでなく信頼関係を築くことが不可欠であり、まずは直接挨拶に行って顔を覚えてもらうとか、ご飯に連れて行ってもらうとか、そういった地道なコミュニケーションの積み重ねこそが重要だと感じています。
瀬口:仕事のやりがいについては私も長谷川さんと同じく、意思決定の場に立ち会い、自分たちがまとめた数値を基にトップマネジメント層へ提案できる点にやりがいを感じています。
仕事における難しさという点では、新商品の需要予測など正解がない中で、最適解を導いていくことでしょうか。直近における市場からの反応と製造リードタイムとのジレンマを抱えながら、各所との調整にはいつも頭を悩ませています。

幅広い経験が、経営企画・事業管理としてのキャリアを築く。
── 瀬口さんは、海外赴任の経験もあるとお聞きしました。
瀬口:はい、入社5年目にタイの工場へ1年間赴任し、生産管理を経験しました。現地に身を置くことで、国民性や働き方の違いを肌で感じることができました。現在は欧州エリアを担当していますが、日本にいても日々海外拠点と連携する環境です。若手のうちから海外の現場に出るチャンスがあり、日常的に世界中の担当者と関わりながら仕事ができる点に、世界との距離の近さを実感しています。
── 長谷川さんは最近、担当領域が変わられたそうですね。
長谷川:半導体領域を担当するようになったのは2025年からで、それまではエレクトロニクス関連の研究費等の管理を行っていました。半導体事業は工場という巨大な「固定資産」を抱えるため、そこから発生する「製造経費」や「減価償却費」などの原価管理が重要になります。ビジネスモデルが全く異なる環境に身を置くことで、利益を確保するのに注視すべきポイントが採算構造によって変わり、管理手法も全く異なることを体感できましたし、管理として新たなチャレンジができている感覚があります。
── お二人が今後、取り組んでみたいことはありますか?
瀬口:前回、タイでの赴任経験は、若手としてのチャレンジのような感覚でしたが、今後はさらに経験を積んだ上で、あらためて海外赴任に挑戦したいです。また、これまでは生産側の視点が中心だったので、今後は販売会社側のPL管理も経験し、作る側と売る側の両面からビジネスを深く理解できるようになりたいと考えています。
長谷川:短期的には、現在の半導体事業のオペレーションを深く学びたいです。その後は、工場での原価管理や、海外赴任や販売会社での経験など、特定の領域に留まらずさまざまな場所でキャリアの幅を広げ、多角的な視点を持つ管理人材を目指したいと考えています。

ここからは、経営企画・事業管理における仕事の価値、そして求める人物像について、平野さんにお聞きします。
さまざまな経験を通して、意思決定の「多様性」を学んでほしい。
── 平野さんはこれまでにさまざまな国や地域、そして事業領域での業務経験があるとお聞きしました。その中でも印象に残っているご経験があればご紹介ください。
平野:キャリアとしては、エレクトロニクスから始まり、モバイル通信事業、ゲーム&ネットワークサービス事業、そして本社機能に携わり、米国、欧州、など海外赴任も何度か経験しています。
印象に残っているのは、米国に赴任したときの経験です。入社3年目から4年目にかけて、初めての海外赴任でした。当時、私はマーケティング部門のビジネスプランナーとして、ビデオカメラやデジタルスチルカメラを担当しており、日本や中国の工場から米国の取引先の倉庫へ商品を直接納入するための、サプライチェーン改革プロジェクトに携わりました。米国の販売担当者や日本の物流・生産担当などさまざまな方々と連携したチームとしての成果ではありますが、在庫の削減や流通サイクルのスピードアップを実現できたことで、ビジネスに貢献できたという実感があり、私の中では大きな成功体験となりました。
── 平野さんご自身もさまざまなご経験をお持ちですが、経営企画・事業管理では複数の事業を経験するジョブローテーションを促しているとお聞きしました。その理由を教えてください。
平野:ソニーには多種多様な事業があり、全く異なるビジネスモデルが存在します。それぞれのビジネスにおける管理の体制も異なるため、これらを複数経験することで、知識や経験の幅を大きく広げることができると考えている点が一つ。
そしてもう一つは、意思決定におけるダイバーシティを経験してもらうということです。事業によっては経営陣が多国籍で構成されていることも多く、バックグラウンドが異なる人々が集まってコミュニケーションをとり、合意形成を行います。ソニーのさまざまな事業と人、そして意思決定の多様性に触れていただくというのがねらいです。

期待するのは、チャレンジングな姿勢とオープンマインド。
── あらためて、ソニーの経営企画・事業管理における役割、価値の本質はどのような点にあるでしょうか?
平野:我々の仕事が会社に対して最も貢献できる点は、経営陣がタイムリーに意思決定できるようにサポートすることです。これにより、ソニーの企業価値の向上に貢献できると思っています。
現在本社の経営企画部におり、いかに効率よく情報を集めるかが重要です。もちろんビジネスの変化に合わせ、先々に必要な情報を見極めて情報を更新していくことも求められます。また、事業側と本社(経営サイド)、そして外部のパートナーとも良好な関係を保ちながらハブとしての役割を担うことも大切です。
チームとして常に経営に近い位置で仕事をしているので、経営陣の方針や視座を肌で感じながら、ときには数百億円単位のインパクトを与えるような重要な意思決定に関与できる点が、この仕事のおもしろさではないでしょうか。
事業管理に所属していた時は、プロジェクトの実行まで任されることがあり、それも仕事の魅力だと思います。
── では、そのような価値を発揮するため、ソニーの経営企画・事業管理に携わる人材にはどのようなことが求められるでしょうか?
平野:大きく二つあると考えていまして、一つはチャレンジ精神です。一つの場所に留まり続けると居心地は良くなるかもしれませんが、そうした居心地の良い場所(コンフォートゾーン)からあえて外に飛び出し、変化に適応しながら自身の経験値を広げていくことが必要です。
そしてもう一つは、オープンマインド。ソニーは多様な事業領域を持つグローバル企業ですから、多様な人種やバックグラウンドを持つ人たちと一緒に仕事をすることになります。ビジネスのやり方に唯一の正解はないため、固定観念にとらわれず、自分とは異なる意見や新しいやり方を素直に受け入れ、自分の糧にしていくことができる柔軟性が求められます。
分析能力や財務知識を入社時に持っているに越したことはありませんが、それらは入社後に学ぶことも可能です。そういう意味では、現時点での知識・スキルよりも、「次は何をやろう」「新しいことや人に触れ、キャリアを広げていきたい」というチャレンジ精神とオープンマインドを持った方とぜひ一緒に働きたいと思っています。

<編集部のDiscover>
「経営企画」「事業管理」という言葉から、デスクで数字と向き合い、一つの領域で専門性を高め続けるような仕事のイメージを持っていましたが…良い意味で、そのイメージは裏切られました。数字の裏側にある現場担当者とのコミュニケーションや調整の数々、そして、さまざまな地域や事業と関わり、多様なバックグラウンドを持つ方々との意思決定。こうした多様な経験こそが、多角的な視点から経営判断を支えるという、この仕事の価値をつくっていくのですね。














