ソニー ホームページ

ソニーグループ Diversity Week 2021 スペシャルクロストーク・レポート “これからのダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを考える”

Culture

世界各地のソニーグループ(以下 ソニー)の事業所で毎年秋に開催しているDiversity Week。2021年は、「異なる視点をいかすために~Diversity Reimagined~」をテーマとし、9月13日〜10月1日の期間でさまざまなイベントを開催。9月28日(火)には、ビジネス・アート・アカデミア各界で活躍する3名を招き、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)の本質について語り合うクロストークイベントをオンラインで開催しました。3者3様のアプローチで展開された、学びと気づきの多い90分間のセッションの様子をレポートします。

田中みゆき
キュレーター、プロデューサー
「障がいは世界を捉え直す視点」をテーマに、カテゴリーの枠を超え、異なる世界の見方や多様性に触れるきっかけをつくるさまざまなプロジェクトを企画。
田中 俊之
大正大学 心理社会学部 准教授
現代社会を生きる男性が抱える問題に焦点をあてた「男性学」研究の第一人者。男女共同参画社会の推進にも取り組む。
辻 愛沙子
クリエイティブ・ディレクター、実業家
株式会社arca(アルカ) 代表取締役社長。社会派クリエイティブを掲げ、広告からブランドプロデュースまでマルチに手掛けるクリエイター。
望月 賢一
ソニーピープルソリューションズ(株) 代表取締役社長
エレクトロニクス事業領域のビジネスパートナー人事担当、ソニー・人事センター長などのキャリアを経て、現在はダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進部統括部長を兼任。

The Valuable 500の発起人、キャロライン・ケイシーさんのスピーチでスタート!

クロストークイベントのオープニングに登場したのは、The Valuable 500(以下V500)発起人のキャロライン・ケイシーさん。V500は、2019年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発足した、障がい者の活躍推進を、ビジネスリーダーが軸となって推進する世界最大級の国際イニシアティブです。障がい者が社会で潜在的価値を発揮できる仕組みを作ることを目的に、世界で影響力のある500人のCEOとそのブランドが協力してインクルージョンを推進しています。多様性のある企業文化を奨励するソニーグループは、V500に初期から加盟。世界有数の企業とともに、500のなかから13のIconic Leader(象徴的リーダー)として、積極的に取り組んでいます。
「インクルージョンは、私たちから始まるものです。ダイバーシティを知らない。そんな時は、敬意を持って相手に尋ね、学びましょう」。本イベントに期待を込めたケイシーさんの言葉をもって、いよいよイベントがスタート。

スペシャルクロストーク “これからのダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを考える”

ビジネス・アート・アカデミアの各界で活躍されている3名のゲストによるクロストークイベントでは、ジェンダーと障がいを軸にDE&Iを掘り下げ、理解を深めるセッションが繰り広げられました。
冒頭、モデレーターを務める望月が、本セッションで考えたいポイントとして挙げたのは、「アンコンシャスバイアス、ダイバーシティ(表層的・深層的)、エクイティ」の3つ。特にエクイティは、これまでのD&Iに加えて注目されている視点です。
「エクイティがどういう視点なのかを今回のクロストークを通して理解を深めてもらえたら」という望月の言葉を手始めに、熱いトークが展開されました。
3名のキーとなるメッセージとともに、一緒にDE&Iについて考えていきましょう。

DE&Iを考えるときに知っておきたい、「寛容性」と「特権性」、そして「社会モデル」

まずは、DE&Iを受け入れる「寛容性」についてからクロストークがスタート。田中俊之さんの積極的寛容性・消極的寛容性には2種類あるという紹介からはじまり、特権性や同質性といったキーワードが出てきました。
同じ経験やバックグラウンドをもつ同質性のなかでは通じる会話や慣習も、別の視点から見ると通じないこともあります。さらに、自分がある面では特権性を持つマジョリティであっても、別の面ではそうでないこともあり、多面的な理解も必要です。こういった認識のもとで、相手と対話をする、相手に敬意を払うことで、お互いの行動が変わるきっかけになり、DE&Iが受け入れられる社会につながるだろうということを話し合いました。

田中俊之さん
「消極的寛容性は、端的に言うと、無関心ということです。自分と関係のない人が何をしようが関係ないというのは、一見やさしいように見えて、ダイバーシティとは真逆の態度。たとえば、待機児童が多いことに疑問を投げかける一方で、自宅の隣に保育園ができるとなると園に苦情を申し立てるようなことが、典型的な消極的寛容性でしょう。多様な人が一緒にいるなかで、自分が変わらないでいることはありえません。ダイバーシティを受け入れる寛容性をもつために大事なのは、敬意と開放性をもって、直接対話をしてお互い分かり合うことではないでしょうか。」

辻愛紗子さん
「自分が排他的になっているという自覚がないまま、気づいたら似た者同士が集まる同質性のなかにいることもあります。私は、当たり前の形だと思っていたスープのおたまが、右利き用に作られているものだと聞いて、ハッとしたんです。右利き前提の社会で右利きの自分が無自覚のうちに特権性を持っていることに気づかされました。ダイバーシティには、障がい、ジェンダーなど多様な視点があるため、図らずとも自分がある視点において消極的な寛容になっている可能性もあります。対話の前にまずはそれを自覚することが大切。そのサポートとして、クリエイティブの手法を通じて、社会で当たり前と思われていたステレオタイプやジェンダーロールに、ひとつずつ問いを投げかけ再考するきっかけを作れたらと考えています。」

田中みゆきさん
「障がいに対する考え方には、大きく2つあります。1つは、障がいは個人に由来し、個人が克服すべきものとする個人モデル。もう1つは、社会が障がいをつくってしまっていて、取り除くのは社会の責任とする社会モデル。昔は個人モデルが主流で、最近は社会モデルが広がってきています。ただ、だからといって、社会モデルに統一すべきということでもありません。人によって障がいの程度やどのように扱われたいかという価値観が違うので、社会がどこまで対応するかのバランスが必要です。このバランスを考慮した社会モデルという考え方こそ、マイノリティの概念を捉える時に有効ではないかと思います」

エクイティ(公平性)、イクオリティ(平等)をどう考える?

続いてトークテーマとなったのは、エクイティ(公平性)とイクオリティ(平等)について。
人には多面性があり、ある領域ではマジョリティ、別の領域ではマイノリティにもなりえます。スタートラインが異なる人達が集まる社会における公平性について、どのように考えていけば良いのでしょう。
そのヒントとして挙がったのが、自分の持つ特権性への自覚。自分の特権性を知ることではじめて、イクオリティというゴールに向けた、エクイティという考え方が見えてきます。自分がいるその場・その環境・その領域におけるエクイティは何かについて、面倒だと思わずにそのときどきで向き合い、考えていくことが大切という見解が共有されました。

田中俊之さん
「たとえば、日本社会には『成人男性は、平日昼間は働いている』、『男性は定年まで働くのが当たり前』という、無意識のうちに思い込んでしまっている、アンコンシャスバイアスがあります。このバイアスが成立していること自体、男性としては特権的ですが、その自覚がないままでは、エクイティというもの自体が分からず、上から目線になってしまいがち。自分に存在する特権性が見えるようになると、エクイティ、イクオリティという視点で物事を捉え直せると思います」

田中みゆきさん
「障がいの世界だと、あらゆる選択肢を当たり前に持っていることが健常であることの特権という考え方をします。たとえば、建物の上の階に行くとき、健常者なら階段、エスカレーター、エレベーターなど選択肢がありますが、障がいがあるとエレベーターしか選べず、さらに人の助けが必要になることもあります。不便な状態に置かれないと気づくことが難しいですが、自分が無意識に何かができている状態というのは、特権であると認識することはとても大事だと思います」

辻愛紗子さん
「イクオリティは、到達する目標のゴールを表現している言葉。到達するゴールは同じ”平等”でも、その手前でそもそもスタートラインが違ったり、片側にだけ沢山のハードルが存在しているのが今の社会。だからこそ、それらの違いを踏まえた上で、平等なゴールに向かっていくためにそれぞれに必要なサポートや仕組みが必要、という考え方がエクイティです。よく知られたエクイティとイクオリティを表現した絵があります(下の画像)。ゴールは、誰もが平等に壁の向こうの試合を見られること。そこに向けて、台を1つずつ平等に与えるのではなく、それぞれに合った選択ができるという考え方がエクイティです。この絵だけを見ると、一見イクオリティ(平等)がダメという風に見えがちですが、同じように試合を楽しむというゴールとしての平等性はとても大事。つまり、イクオリティ(平等)をゴールに据えて、そこに向かう過程でエクイティの考え方が必要なのではと思います。」

アーティスト:AngusMaguire interactioninstitute.orgmadewithangus.com

社会にDE&Iを広げ、定着させるために必要なこととは?

エクイティへの理解が深まったところで、事前に集めたイベント参加者からの質問に答えるセッションがスタート。共通して多かった「どのようにしたらDE&Iを定着させることができるのか」について、3名が意見を交わしました。
たとえ自分とは違っていても、向き合っている相手は血の通う人間。共有できる部分を見つけて、人対人としてつきあうという積み重ねが、最終的にDE&Iを浸透させることにつながるのではないかというヒントが見えてきました。

田中みゆきさん
「私が目の見えない人とプロジェクトをやる時に重要だと思うのが、その人がどうやって駅から会場まで来るのか、どのようにその場所で時間を過ごすのかなど、その人をひとりの人間として想像することです。実際に接しないと難しいかもしれませんが、重要なのは、絶対的な正解というものはないので、ある程度勉強して、わからないことは本人に聞くこと。マニュアルに沿ったことをやるのではなく、これまで会ったことがないように思える相手と、違う所だけでなく、同じ所を見つけること。この積み重ねがDE&Iの定着にもつながってくるのではないでしょうか」

辻愛紗子さん
「社会問題とは、一人ひとりの生きづらさや痛みなどの積み重ねです。大事なのは社会課題、『社会課題として学ばなきゃ』ではなく、その向こう側にはひとりひとりの人生があり、痛みがあるということに想像力を働かせる事。社会課題の中にはそれぞれの人生の課題として痛みを抱えている人がいるということを、忘れてはいけないと思います。目の前にいる血の通った人を相手にするDE&Iは、1+1=2のような絶対的な答えがあるものではありません。分かった気にならないこと、さらにすべて自分がやろうとせず、時に当事者や専門家に託す勇気も必要です。その際には、「若者だから」「女性ならではの」とカテゴライズして託すのではなく、『あなただから頼みたい』と、主語の明文化を意識すると、自分自身の中に潜む無自覚な偏見にも気がつけるように思います。」

田中俊之さん
「これまでもお話ししてきたように、特権性のある男性は、社会における自分の立ち位置をいかに確認するかが大事だと思います。明日いきなり有給を取ってみてください。そうすると、自分が所詮は会社や業界のことしか知らない、会社人間だという自覚が芽生えるかもしれません。ポイントは、立ち止まることです。立ち止まって足元を見て、今日をきっかけに考えてほしいです。まずは特権性に無自覚である自分に気づき、立ち止まれない自分について考えることからがスタートだと思います」

クロストークを終えて届ける、3者3様のメッセージ

いろいろな意見が交じわり、多くの学びや気づきが得られた90分間のクロストーク。最後は、トークの内容を振り返りながら、3名から視聴者の方へのメッセージをいただきました。

田中みゆきさん
「私は障がいのある人のためだけにプロジェクトをやっていると考えていません。きっと、どんな人でも、面白いことを楽しみたいはずですよね。だからこそ、コンテンツが面白いことが一番大事ですし、それがあらゆる人に開かれることによって、より面白いものになると思っています。例えば映画も、同じような感想ばかり聞くより、全く違う感想がある方がおもしろいですよね。新型コロナウイルスの感染拡大以降、世界が問題を共有したことで表現も似通ってきているように感じるなかで、これは今こそ大事な視点だと思っています。もう1つ大事だと思っているのが、障がい当事者の多くは、障がいのある他の人のことを考え、自分が何かをすることで同じような不利な状況にある他の人の助けになれば、という利他的な視点を持っていることです。みんなが同じ条件にいるような教育を受けた私にとっては、大きな学びでした。障がいのある方を前にすると、私たちがケアする立場にあるように思ってしまいがちですが、決してそういう面だけでないことをお伝えしたいです」

田中俊之さん
「アメリカでは、旧来的な男らしさを問う髭剃りメーカーのCMが話題になりました。名のある企業がメッセージ性のあるCMを打つのは影響力がとても大きいものです。ソニーからのメッセージも聞きたいなと期待しています」

辻愛紗子さん
「いざ、あなたは特権側だと言われると、つい否定したくなったり、『自分もしんどい思いをしている』と言いたくなりますよね。誰しもそれぞれにしんどさはあり、ある領域で特権性があることが、同時にその人が別の側面で抱えるしんどさを否定するものではないと思います。大切なのは、自分がどの領域で特権性を持っているのかに気づいて、そしてどの領域で生きづらさを抱えているのか、自分自身にまず向き合い、自覚的であろうとする事。そのうえで特権性がある領域において、自分が持っていない視点を持っている当事者から学んでいくこと。”多様性”なんていう言葉をわざわざ使うまでもなく、社会は当たり前に様々なアイデンティティを持った人々によってできています。そんな社会で生きている限り、自分がこれまで気づいてこなかった視点だったとしても、自分と無関係なことなんてないと思うんです。すべてを理解するのは難しいけれど、あらゆる事を自分ごと化して向き合おうとする姿勢が大事なのだと思います。自戒の念を込めて。」

異なるフィールドの専門家がそれぞれの視点から見解と想いを語り合ったクロストーク。共通していたのは、自分にも関わりがあるという当事者意識を持つことの大切さ。国籍や性別、年齢、育った環境などが違う相手の考え方や視点からみる新しい世界は、私たちの可能性を想像以上に広げてくれることでしょう。イノベーションを生み出す多様性ある企業文化と社会をつくるため、ソニーではこれからも引き続きDE&Iへの取り組みを推進していきます。


ワンクリックアンケートにご協力ください

関連記事

関連記事

世界中の映像制作に携わるクリエイターに、国際舞台で活躍するチャンスを!Sony Future Filmmaker Awardsが目指す未来とは?

Culture

Enjoy Your Journey ── 「世界を感動で満たす旅」へ。ソニーグループ合同入社イベントの裏側に迫る。

Culture

〈ソニーコーポレートブログ〉ソニーグループ入社イベント ~Purposeを体感し、未来を創る一日。Little Glee Monsterも圧巻のパフォーマンスで門出を祝福~ 

Culture

対面とオンライン。それぞれのイベントで挑んだ、理工系の魅力の届け方。

Culture

〈外部メディア掲載記事〉世界のクリエイティブ企業ソニーで、「若手の挑戦」が止まらない理由

Culture

ソニーグループ11万人の知と知をつなぐ、60人の仲人役と「ポリネーターネットワーク」の可能性。

Culture

アクセシビリティアドバイザープログラム始動!誰もが使いやすく、楽しめる製品やサービスを目指して

Culture

ビジネスの「司令塔」としてソニーの経営判断を支える、経営企画・事業管理の役割と働く魅力。

Culture

【就活生必見!】"体験"をカタチにするUI/UXデザイナーの魅力と就活のリアル

Culture

障がいや病気とともにー。
この会社で、自分の可能性を広げていく。

Culture

社員の想いと行動が組織を越えてつながり、ソニーの未来をつくる 国内ソニーグループに広がる社員ボトムアップのダイバーシティ推進活動<後編>

Culture

社員とその家族に、ソニーの魅力をまるごと伝えるAll Sony Festival

Culture

社員の想いと行動が組織を越えてつながり、ソニーの未来をつくる 国内ソニーグループに広がる社員ボトムアップのダイバーシティ推進活動<前編>

Culture

「教育」でも「インターン」でもない。ソニーと神山まるごと高専が挑む、未来の事業を生み出す「共創」のカタチ。

Culture

「地元の女子高校生に、理工系のワクワクを伝えたい!」大学生が企画した、SCK熊本テクノロジーセンター工場見学イベントの舞台裏。

Culture

ソニーで働くグローバル社員 に聞いてみました。日本に来て、ソニーで働くってどうですか?

Culture

仕事場とも、家とも違う、サードプレイスとしての茶道部。その魅力を部員のお二人に語っていただきました!

Culture

【ソニーのヒトってどんな人?Vol.8】ブランドとは、未来への約束。ソニーの精神を紡ぐ仕事。

Culture

【ソニーのヒトってどんな人? Vol.7】プロダクトに込められた社員の熱意を届けたい。学生時代からの想いを胸に携わる、広報の仕事

Culture

94%が「楽しかった」と回答!体感型アトラクション施設「THE TOKYO MATRIX」の人気の秘訣は?

Culture

    ソニー採用公式SNSでも最新の情報を配信しております!
    是非フォローしてご確認ください!

    • X(旧Twitter)
    • Instagram
    • LinkedIn