ソニー ホームページ

ファンダムを拡張する、未来の感動体験を創り出す

    「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurpose (存在意義) のもと、ソニーの多様な社員が取り組む活動を「共創」の視点から紹介する対談シリーズ『SESSIONS』。ソニーのクリエイティビティとテクノロジーをビジネスパートナーやクリエイターの取り組みと掛け合わせることで、どのような「共創」が生まれ、そこからどのような感動が広がっているのか。プロジェクトのリアルなシーンをソニーの担当者とパートナーとの対談を通して、シリーズで紹介します。

    今回は、ソニーが2021年に、マンチェスター・シティ・フットボール・クラブ(以下、マンチェスター・シティ)と結んだ「オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメントパートナーシップ」について、ご紹介します。ソニーのテクノロジーとエンタテイメントの知見を活かして新しいスポーツ体験を世界に広げるこのプロジェクトはどのように始まったのか?テクノロジーでファンとエンゲージメントを高める新しい方法とは。今後、感情の共有は実現するのか。ソニーグループ株式会社の小松正茂さんとシティ・フットボール・グループのチーフ・マーケティング&ファン・エクスペリエンス・オフィサーのヌリア・タレさんにプロジェクトについてお話しして頂きました。

    【オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメント・パートナーシップ】
    とは?

    「次世代に向けた仮想空間上の新たなファンコミュニティの実現」を目指し、マンチェスター・シティとソニーとの間で締結され、2021年11月30日に発表されたプロジェクト。世界中のファンとのさまざまなファンエンゲージメントを高めることを目的とし、マンチェスター・シティのホームスタジアムである「エティハド・スタジアム」(英国・マンチェスター)を3次元仮想空間上にリアルに再現、高い技術力とエンターテインメントの知見を併せ持つソニーだからこそ実現できる、スポーツエンタテインメント分野での取り組みが予定されています。

    MANCHESTER CITY SONY VIRTUAL FAN ENGAGEMENT PARTNER

    PROFILE

    【共創パートナー】
    シティ・フットボール・グループ チーフ・マーケティング & ファン・エクスペリエンス・オフィサー ヌリア・タレさん

    【「オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメントパートナーシップ」を主幹】
    ソニーグループ株式会社 新規事業探索部門 コーポレート プロジェクト推進部 統括部長 小松正茂

    ソニーとマンチェスター・シティの共創

    ソニーグループの多種多様な会社が力を合わせて取り組むプロジェクト

    ──ソニーとマンチェスター・シティの間で結ばれた「オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメントパートナーシップ」。次世代のためのオンラインファンコミュニティの場を創り出すために、どのようなメンバーで構成されているのでしょうか。

    小松正茂(以下、小松):「ソニーのプロジェクトメンバーですが、テクノロジー開発はR&Dセンターのエンジニアたちが率いています。エクスペリエンス・プランニングに関してはゲーム業界の面々に加え、ソニー・ミュージックエンタテインメントのメンバーたちも参加しています。ソニーが持つテクノロジーとエンタテインメントの専門知識を投じており、ソニーだけが持っているような多方面にわたる知識を存分に活かしています」

    ヌリア・タレ(以下、ヌリア)「このプロジェクトにソニーが集結してくれたスキルの多様さにはとても感銘を受けました。テクノロジーだけでなく、UXデザイナーもいれば、ヨーロッパで働く人々も、ここ日本で働く人々もいます。そうした人々のおかげで、このプロジェクトは私たちマンチェスター・シティにとっても実りある豊かなプロジェクトになっています」

    ──このプロジェクトを通し、マンチェスター・シティのファンにどのような価値を提供することを目指しているのでしょうか。

    小松:「ソニーは、『コミュニティ・オブ・インタレスト(Community of Interest)』にサービスを提供することに価値があると信じています。コミュニティ・オブ・インタレストとは、感動体験や関心を共有する人々、つまりファンのような共通の関心を持った人々のコミュニティのことです。私たちはソニーグループの持つテクノロジーやエンタテインメントの知見を用いることで、人々がいつでも心地よく集まれる場所を提供することができます」

    ヌリア:「マンチェスター・シティはテクノロジーというものがローカルにもグローバルにも従来のファンたちの関わり方を打ち破っていくと考えています。次世代のサッカーファンが何を求めていて、どのようにサッカーを消費していくのか。ソニーのテクノロジーと、このユニークで独自な仮想空間と、私たちのサッカーやファンに関するノウハウを持ち寄ることにより、ファンエンゲージメントの新たな形を見つけられることを期待しています」

    バーチャルスタジアムについて

    ──マンチェスター・シティのホームスタジアム「エティハド・スタジアム」を3次元仮想空間上にリアルに再現することで、世界中のファンが同じ場所で新しいスポーツ観戦体験をできるようになります。

    小松:「マンチェスター・シティとのコラボレーションにおいては、この仮想空間上の『エティハド・スタジアム』でしか味わえないような刺激的なイベントを提供していきたいと思っています。また、そこがマンチェスター・シティと共に作った公式の空間であることも、ファンたちにとっては重要な要素だと考えています」

    ヌリア:「私たちは、このバーチャル上の『エティハド・スタジアム』を仮想のスポーツ・エンタテインメント空間として捉えています。そこはマンチェスター・シティのファンであるという共通の情熱を持った人々が集まる場所です。初めて会うファン同士や、こうした空間でなければ交流する手段がないようなファンたちが、同じ情熱を持った人々と会い、議論し、友人になっていくことを願っています。議論の大半はチームのプレーぶりについてでしょうけどね。ファンたちは、クラブが成長を続けることを願っているでしょうから」

    ──3次元仮想空間に用意される「エティハド・スタジアム」でファンたちはどのような新しいスポーツ観戦体験ができるのでしょうか

    小松:「プレーする選手たちの動きをセンシング(計測・数値化)して、3DCGで再現することに取り組んでいます。それが実現すれば、これまで不可能だった、自由な視点でどの角度からも選手の動きを見ることができるようになります」

    ヌリア:「たとえば、選手たちのゴールがどのように決まったか、その時の選手たちの視点や、ピッチ脇にいる人々の視点や、ペップ・グアルディオラ監督の視点を通して、さまざまな角度から見ることができるわけです。それはとてもユニークで、ファンとしてもすごく楽しい体験になるはずです。そうした体験や試合、そしてファンたちが集まって議論する機会を提供することは、スタジアムの裏側を伝えたり、スタジアムの裏側を想像したりするユニークな方法だと思います」

    小松:「この仮想空間にはソニーのグループ会社ホークアイのトラッキング技術「SkeleTRACK(スケルトラック)」を活用しており、そうした現実世界のデータを仮想空間にも取り入れたいと思っています。こうしたテクノロジーは、このコラボレーションを差別化する要素のひとつだと思います」

    小松:「メタバースという仮想空間はツールにすぎません。今回マンチェスター・シティとの取り組みで提供する『エティハド・スタジアム』というコンテンツは、『クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす』というソニーのPurpose (存在意義) を観客に体験してもらうためのものです」

    マンチェスター・シティの課題とは

    ──現在のマンチェスター・シティが抱える課題と、ファンとのエンゲージメントを高めるためのビジョンについて教えていただきました。

    ヌリア:「マンチェスター・シティのような世界的サッカーブランドは、世界中のファンと関わりを持っていくという課題と常に向き合っています。イギリス・マンチェスターにある『エティハド・スタジアム』へ実際に足を運ぶことができるのはファンの1パーセントにすぎません。ファンとの新しい関わり方を模索することは、私たちにとって優先事項なのです。そして、このプロジェクトならではの特徴だと言えるのは、テクノロジーとスポーツとエンターテイメントが融合している点だと思います。何よりソニーとのコラボレーションで期待しているのは、私たちのファンエンゲージメント戦略全体に革新的な変化をもたらすことです」

    ヌリア:「コロナ禍では、ファンのエンゲージメントを高める新しい方法を模索することを強いられました。マッチデーのライブ配信などを始めましたが、これは大きな成功をおさめ、現在も取り組みを継続しています。そうしたさまざまなことを探求していくにつれ、より多くのコンテンツや、これまでとは違ったタイプのコンテンツを強く求めるファンたちの姿を目にするようになりました。コンテンツを生み出し、コンテンツとの関わりを作っていくことは、ファンとのつながりを保ち続けるための優先事項のひとつです。今回の仮想空間プロジェクトでは、そうした探求をさらに一歩進めることができますし、現実とは異なる形も模索することができます。普段やっている行動の限界を消し去っていくような取り組みをして、ファンの想像力をかき立てていくこともできるはずです」

    スポーツ界を活性化させるためのビジョン

    ──マンチェスター・シティとソニーのパートナーシップについて、スポーツ界全体を活性化させるための未来について訊ねてみました。

    小松:「サッカー以外にも、世界的なファンを抱えたスポーツがあるので、そうしたスポーツにもサービスを広げていきたいですね。それが私たちの望みです」

    ヌリア:「こうした新しいテクノロジーや仮想空間がスポーツ業界にもたらす変化は、真に革新的なものになりうると考えています。ローカルであれグローバルであれ、スポーツ組織が考えるファンとの関わり方を変えていく可能性があり、これまでの関わり方を補完するものにもなると思います。テクノロジーをさらに練りあげていく必要がある部分もありますが、最終的に何ができるかを考えてみると、仮想空間で実際の試合が再現されているところを見てみたいです。それはまだ他のメディアでは実現できていないことですが、ソニーのテクノロジーや製品開発によって実現できる可能性があると考えています。
    そうなれば、サッカー業界にとって極めて革新的で刺激的なことですよね」

    ──バーチャル空間上に誕生する「エティハド・スタジアム」で何をしてみたいか教えていただきました

    ヌリア:「きっと驚くと思いますよ。そこでは私の名前がついたアバターを目にすることになるはずです。そのアバターは、私とは違う肌の色合いや、私とは違うスキルを備えたものになるでしょう。そういうことができる点が、仮想空間の面白い点です。同僚や友人たちと、現実とは違った匿名的な形で交流することをすごく楽しみにしています。小松さんも、私たちがいま一緒に取り組んでいる仮想空間に参加されますよね?」

    小松:「もちろん。ぜひ自分のアバターを使って参加したいと思っています。自分ならではのアバターを作るのが楽しみです。新たな自分として仮想空間に参加したいと思います」

    ヌリア:「楽しみですね。別の人間にもなれますし」

    小松:「ええ。私はもっとハンサムになりたいです(笑)」

    ──このプロジェクトを通じて、ソニーとマンチェスターシティが一緒になって、新しい感動体験を世の中に提供し、どのような未来を見据えているのでしょうか。

    ヌリア:「これはファンのための取り組みであり、ファンコミュニティを分かち合う取り組みなので、何よりもまず大切なのは感情の共有です。そうした感情をバーチャル環境を通して伝えていくことこそ、ソニーが参加して取り組んできた課題のひとつです。現実には許されていないような形、例えばスタジアムでピッチに飛び出していって感情を表現するという新しい形もあります。そうしたさまざまな表現方法をファンに提供できればと思います。さらに面白いことに、仮想空間は世界中からアクセスできるので言葉の壁を取り払うことにもなります。情熱や感情は、世界中の誰もが容易に理解できるもの。内向的な人も外向的な人も、同じレベルで交流できる機会が切り開けるかもしれません」

    小松:「いま、ユーザーの感情を表現する方法を数多く用意しているところです。たとえば世界中から仮想空間の『エティハド・スタジアム』に集まったファンが同時にマフラーを掲げたりしてね。そういう風に感情を表現、共有できるのはとても面白いことだと思います」

    ソニーにとって”共創”とは?

    ──バーチャル空間上に誕生する「エティハド・スタジアム」で何をしてみたいか教えていただきました

    小松さん:「こうした共創を行うことで、新しい価値が生まれると思います。業界の既存のルールにとらわれず、互いの知恵を持ち寄ることによって、初めて新しい価値が生まれると信じています。マンチェスター・シティと話をするようになってから、彼らはエンターテイメント業界に通じる要素をたくさん持っていることに気づきました。同時に、そうした業界とは異なる部分もあり、多くの発見や学びを得ました。互いの知識を持ち寄ることこそ、素晴らしい新体験を生みだす最善の方法だと信じています。イングランド・プレミアリーグのチャンピオンであるマンチェスター・シティとプロジェクトに取り組むことになるとは夢にも思わず、とても興奮しています」