94%が「楽しかった」と回答!体感型アトラクション施設「THE TOKYO MATRIX」の人気の秘訣は?
2025年3月20日、ソニー・ミュージックソリューションズが手掛ける体感型アトラクション施設「THE TOKYO MATRIX」が、「生身で遊ぶアクションRPG ダンジョン∞スパイラル」としてリニューアルオープンしました。それから2カ月以上が経ちますが、アンケート回答者の満足度は94%と非常に好評を博しています。本施設のチーフプロデューサーを務めるソニー・ミュージックソリューションズの松平恒幸に、これまでの反響と人気の秘訣を聞きました。
目次
新たなエンタテインメントを世に問うためのリニューアル
「THE TOKYO MATRIX」は2023年4月、東急歌舞伎町タワー開業と合わせてオープンしました。当時はコロナ禍でも楽しめるエンタテインメントを追求し、高難度のダンジョン攻略型アトラクション「ソードアート・オンライン -アノマリー・クエスト-」を展開していましたが、約2年の時を経て、大規模なリニューアルを実施しました。その背景について松平は、「元々『ソードアート・オンライン』のコアなファンをターゲットにしていましたが、コロナ禍から通常の生活に戻るなかで、海外からの観光客を含め多様なお客様がいらっしゃり、当初の想定にそぐわない部分が出てきていました」と説明します。一方、ソニーグループではコンテンツIPの価値を拡張する取り組みとしてロケーションベースエンタテインメント(LBE)※に対する期待値が高まっていたことから、松平は、時代に合わせたリニューアルを行うことで、改めて「THE TOKYO MATRIX」という新たなエンタメを世に問うチャンスと考えたといいます。
※コンテンツIPを軸にテクノロジーを活用し、リアルな場に新たな価値を生み出す新しいエンタテインメント。「THE TOKYO MATRIX」もLBEの事例の一つ。
リニューアル前「ソードアート・オンライン -アノマリー・クエスト-」
リニューアル後「生身で遊ぶアクションRPG ダンジョン∞スパイラル」
キーコンセプトは「冒険の思い出と仲間との絆」
リニューアルに際し、LBEに関する多面的な調査を実施した結果、「スポーツの動き」「ゲームの世界を体験する」「ダンジョン」「最先端のテクノロジー」「チームワーク」などのキーワードが人気であることが明らかになりました。また、新宿に遊びに来る人のニーズとして、「大切な人と一緒に、1時間〜半日程度、楽しい時間を過ごしたい」という強い想いがあることも浮き彫りになってきました。「これらを踏まえて、我々が提供する最大の価値として『冒険の思い出と仲間との絆』というコンセプトを設定しました。これがストーリー、ゲーム設定、サービス設計、運営など、あらゆるものの制作の基準になっています」
こうして生まれた新たなアトラクション「生身で遊ぶアクションRPG ダンジョン∞スパイラル」は、タワーの中のダンジョンを冒険するという設定で、16種類ものゲームを用意しています。中でも、全力疾走することで敵を倒すゲームの人気が高く、松平は「設備運営的には安全面のリスクもあり、最後まで悩んだゲームでしたが、非常に好評で作ってよかったと感じています」と語ります。
全力で走り、時間内にできるだけ遠くの壁をタッチすることで、敵を倒すゲーム
仲間と協力しながら体を動かしてゲームを攻略していく
多様な年齢・客層の来場者、満足度は94%
オープンから2カ月経った5月時点で、アンケート(日本語のみ)の回答者の満足度(「楽しい」「すごく楽しい」の合計)は94%、女性だけに限ると98%と非常に好評です。来場者の属性は、友達と来た人が40%、カップルが30%、家族が20%、インバウンドは日により異なるものの全体の10%〜20%程度と、以前と比べて客層が幅広くなったのも特徴です。
こうした傾向について、松平は「予想以上に家族連れが多く、小学生のお子さんにも楽しんでいただけているのは嬉しいです」と喜びつつ、「スポーツライクな動きはエネルギー溢れるお子さんとも相性が良かったと考えています。また、女性の満足度の高さには驚きだったのですが、リニューアル前は『スカートだとプレイしにくい』といった声もあったことを踏まえ、今回は服装に関係なく楽しみやすいよう工夫した成果も現れているのかなと思います」と分析します。
リニューアルに伴い、ターゲットを多様な層へと広げたことと合わせて、運営やサービス設計にも工夫を凝らしています。車椅子の方でも楽しめるモードや、子ども料金を新たに導入しました。加えて、受付での靴やジャージの無料の貸し出しも始めたため、ふらっと訪れた方でも気軽にゲームに挑戦することができます。
家族連れにも好評
障害物がないなど、すべてのゲームが服装によらずプレイしやすいよう工夫されている
コラボ第一弾は『リコリス・リコイル』
加えて、リニューアル後は特定のIPと施設を結びつけるのではなく、さまざまなIPと期間限定でコラボレーションを行う形へと大きく変更しました。松平はその狙いを「さまざまな種類のIPとコラボすることで、幅広い層のお客様にこのアトラクションの魅力を知ってもらうことです」と説明します。その第一弾となったのは、ソニーミュージックグループのアニプレックスが製作に携わる人気アニメ『リコリス・リコイル』。キャラクターたちと一緒に冒険を楽しむことができるほか、施設ではオリジナルグッズなども販売しています。「グループ会社のIPだからこそ、非常に協力的かつスピード感があり、初めての試みで苦労しつつも、何とか実現することができました」と松平は振り返ります。実際に来場者へのアンケートでは、約30%の方が『リコリス・リコイル』とのコラボを来場理由の一つに挙げており、新たなIPを起用した成果が出ていることが分かります。
バディに『リコリス・リコイル』のキャラクターを選択するとゲーム内で召喚され、オリジナルボイスや映像を楽しむことができる
さらに、IPとのコラボレーションのメリットは施設側だけでなく、IP側にもあると松平は考えています。「IPサイドはファンが楽しむ場を定期的に作ることでエンゲージメントを維持したいと考えていますが、『THE TOKYO MATRIX』ではIPの個性を立たせながら、ファンの方々に特殊な体験を楽しんでもらえます。」
『リコリス・リコイル』コラボグッズ
『リコリス・リコイル』等身大パネル
ソニーだからこそできる、実験的なビジネス
「THE TOKYO MATRIX」は、ソニーグループとしては前例のない新たなエンタテインメント施設であり、チャレンジングな取り組みですが、当初からPoC(実証実験)ではなくビジネスとしてスタートしました。そして、短期間でビジネス化するため、ソニーグループのもつイベント運営、アトラクション制作、最先端のテクノロジー、エンタメ業界との繋がりなど、あらゆるノウハウやアセットが活用されています。松平は、「社内の知見を集結して創り上げた分、ここで得た学びやデータは社内に包み隠さず提供しています。手ごたえのあるポイントや落とし穴など、ソニーグループが今後LBEに取り組むうえで参考になる示唆を出せていると思います」と胸を張ります。
「THE TOKYO MATRIX」を起点に大切な人との時間を楽しんでもらいたい
第一弾の『リコリス・リコイル』は7月13日までの開催を予定しています。今後のコラボレーションは順次発表予定ですが、松平によると、ダンジョンでの冒険という文脈的に合うIPと、意外なIPの両方を検討しているといいます。また、今後は東急歌舞伎町タワーという立地を活かし、他のフロアとの連携や、新宿の他の場所との連携も増やしていく予定です。
「『THE TOKYO MATRIX』は1時間いかに濃密に楽しませるかを追求した体験です。それに加え、周辺施設と連携することで、思い出に浸る時間も合わせて提供したいと考えています。ぜひ大切な人と一緒にお越しいただき、『冒険の思い出と仲間との絆』をお持ち帰りいただければ嬉しいです」
松平 恒幸(まつだいら つねゆき)
株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ(SMS)
2001年にソニー・ミュージックコミュニケーションズ(現、SMS)にWEBディレクターとして入社。2014年より新規事業のプランナー、ディレクター、プロデューサーとして「めざましマネージャー アスナ」「一択彼女 加藤恵」などをプロデュース。ソニー・ミュージックエンタテインメントEdgeTech本部も兼務し、「VRデビルマン展」など、多くのVRプロジェクトに携わる。
ディレクターとしては「DinoScience 恐竜科学博 〜ララミディア大陸の恐竜物語〜」「ソードアート・オンライン EX-CHRONICLE」などの展示会や、アミューズメント施設のアトラクションの企画制作を担当。2023年からSMS海外事業戦略オフィスを経て、2024年より「THE TOKYO MATRIX」の責任者を務める。