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越境から始まるイノベーション ── Sony Open Innovation Day 2025

    新たな価値創造をめざし、組織を超えたつながりを促すイベント「Sony Open Innovation Day 2025」が7月17日、東京・品川のソニーグループ本社で開かれました。社内外の事業開発とオープンイノベーションを促進する「Sony Acceleration Platform」の取り組みの一つです。ステージには、オリンピックで2連覇を達成した柔道家の阿部一二三選手(パーク24所属)や、男子400メートルハードルの日本記録保持者でDeportare Partners代表の為末大氏など、さまざまなフィールドで活躍するゲストが登場し、境界を超えた挑戦のヒントとなる考え方を語りました。

    目次

    イベントのテーマは「Beyond the boundaries」

    Sony Acceleration Platformは2014年、ソニー社内の新規事業を促進するプログラムとしてスタートしました。2018年から社外にもサービス提供を開始。2024年からは対象を広げ、新規事業だけでなくイノベーションに必要な課題解決を支援するプラットフォームとして、外部パートナーとの連携を強化しています。

    その一環として、年に一度、開催されているスペシャルイベントがSony Open Innovation Dayです。2025年のテーマは「Beyond the boundaries」。境界や組織を超えて新しい価値を創造しようとする人々が集まり、オープンイノベーションの手がかりを探りました。

    リーダーに求められる3つの力「創造、越境、突破」

    オープニングスピーチでは、Sony Acceleration Platform 責任者の小田島伸至が、境界を越えたイノベーションの必要性や事業開発を成功させるためのポイントを話しました。

    小田島は、少年時代に夢中になったロールプレイングゲームを例に挙げ、一人の少年が立ち上がってリーダーとなり、仲間とチームを作って経験を積みながら、道具や魔法といった解決策を獲得し、最後に難題を解決して人々に幸せをもたらすというストーリーは「現代の難題に対する動き方も基本的には同じである」として、事業開発との共通項を述べました。

    そして、自らが新規事業をいくつも生み出してきた経験から、「事業というのは、リーダーとそれを助ける人々が共通の目標を達成するために自分たちのアイデアとエネルギーを結集させて作っていくもの」だと指摘。多くの人々のアイデアとエネルギーを結集・加速する仕組みとしてSony Acceleration Platformを作ったと説明しました。

    このプラットフォームでは、ソニーの社内外の人々が境界を越えてつながり、イノベーションに向けて協業できるように、「バウンダリースパニング活動」と「アクセラレーションサービス」という2つの仕組みを用意しています。

    バウンダリースパニング活動は、多様な人々が集まり、境界を越えてアイデアや情熱を伝えあい、感化しあえる仕組みを構築し、そういった場を運営することです。今回のSony Open Innovation Dayのほか、事業開発に必要な知識や共通言語を学べる「イノベーション・アカデミー」や、2025年1月にローンチしたビジネスマッチングサービスである「Boundary Spanning Service」があります。

    そして、アクセラレーションサービスは、事業の課題解決を支援する仕組みです。アイデア創出から事業拡大までのフェーズごとに、事業開発における課題を網羅的に整理し、それらの課題に対応するソリューションを体系化して提供しています。このサービスの利用者は27業種※、約300社、約1000件に及び、「ソニーと大きく異なる業界の方々にも使っていただいている」と、小田島は説明しました。

    ※東証33業種を基準にカウント

    スピーチの最後、小田島はリーダーシップの重要性に触れ、「誰かが動き出さないと何も始まらない。新たな時代を切り拓くリーダーが必要」と述べました。リーダーに求められる資質として「創造力」「越境力」「突破力」の3つを挙げ、今回の登壇者たちはこれらの力を用いて、さまざまな世界で新境地を切り開いてきた人々だと紹介しました。

    金メダリストの「尽きることのない探究心」の原動力

    小田島に続いてステージに登場したのは、柔道家の阿部一二三選手です。オリンピックでは東京(2021年)とパリ(2024年)で金メダルを獲得するという偉業を達成し、今は三連覇に向けたトレーニングを続けています。その背景には、揺るぎない目標設定と逆境に負けない精神がありました。

    小学校の卒業文集に「柔道でオリンピックに出て必ず優勝します」と書いたという阿部選手。中学2年で全国優勝、高校2年で講道館杯優勝と、順調な柔道人生を歩んできた阿部選手が壁にぶつかったのは、東京オリンピックの直前です。「1年間、勝てない時期が続いて、すごく苦しかった」と振り返りました。

    その逆境を乗り越えるために、阿部選手は「一人で考えても解決できないと思ったので、たくさんの人にアドバイスをもらうようにした」と語ります。「なぜ自分が負けたのか、どこがダメなのか。我慢して自分の悪いところを聞くようにした」。その結果、自分では気づけない欠点がわかり、壁を突破するきっかけをつかむことができました。

    阿部選手は輝かしい実績を残していますが、まだ満足していません。「自分の理想を100とすると、今は50か60くらい」と分析し、飽くなき探究心のもと、新しい技の習得に挑んでいます。

    途方もない技の探求を続けるのは、理想の自分に近づきたいから。「自分が進化していると思えたときはすごく達成感があるし、進化した姿をみなさんに見てもらいたいので、やめられない」。もう一つの理由はやはり、試合に勝ちたいから。東京オリンピックの代表選考の直前は「寝ているとき以外ずっと、ライバルの選手のことを考えていた」と明かし、聴衆を驚かせました。

    QAセッションでは多くの参加者から質問が寄せられました

    個として越境し、学ぶためのポイントは「余白・言葉・身体」と「遊び」

    阿部一二三選手と同じく、オリンピックに出場した為末大氏は現在、執筆活動・発信活動、スポーツ事業など幅広い分野で活躍しています。Sony Open Innovation Dayのテーマ通りに、まさに境界を超えた活動を行っている為末氏は、アイデンティティを超え、異なる領域と上手く付き合い、学んでいくためのポイントを3つ挙げました。

    1つ目は「余白」です。スポーツの世界では「早すぎる最適化」という言葉があり、今置かれている状況に完全にフィットしてしまい、変化する余白がないと、次に新しい環境が訪れたときに対応できず、パフォーマンスが下がってしまう現象があると紹介。一方で変化の余白があれば、「自分と違う領域と出会ったときにも上手くやっていける」と説明しました。

    2つ目は「言葉」です。同じ日本語でも、例えばアスリートとエンジニア、スタートアップと大企業では言葉が異なり、世界観や文化が異なると、その差によってコミュニケーションに齟齬が生まれるほか、大事な局面での失敗に繋がるといいます。そうした言葉の違いを克服する方法として、自分の世界の簡単な単語に逃げず、他の世界でも共通する言葉に翻訳して語ることが重要と指摘しました。

    3つ目は「身体」です。陸上競技の4×100メートルリレーで日本チームのバトンパスが上手い理由をさまざまなデータで調べた結果、一番相関があったのは合宿時間の長さだったといいます。因果関係は証明されていないものの、為末氏は「『同じ時間を多く過ごすことであうんの呼吸が生まれている』とされている」と紹介し、「データや言葉だけでなく、人間としての直感も大切」と述べました。

    その上で、越境をして学ぶ際に最も重要なのは「遊び」だと指摘。「好奇心を持ち、違う者との接点を持ってやり取りをすること自体を楽しいと思い、目的とするときに、一番クリエイティブなものが生まれる」と述べました。

    さまざまなイノベーションの具体例を紹介する展示ブース

    そのほか、作家で禅僧の玄侑宗久氏やでロンドンオリンピック銀メダリストで国際フェンシング連盟 理事やIOC(国際オリンピック委員会)委員を務める太田雄貴氏らが登壇し、創造力や越境力をテーマに講演しました。また、Sony Acceleration Platformに参加する企業やソニーグループの関係者もステージに上がり、イノベーションの実例と可能性について議論しました。

    会場の一角には、登壇企業とソニーグループの新規事業を紹介する展示ブースが設けられました。脳の疲労度をVRデバイスで測定するシステムや、音楽ライブ会場に飾られた花を回収してキャンドルやキーホルダーなどに再活用する「Rebloom Flower Project」など、さまざまなイノベーションの具体例が披露され、多くの人が足を止めていました。

    脳疲労を測定するVRデバイス

    Rebloom Flower Project

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