SONY

SENSE, 2050

パンデミックによりマスク着用の文化が生まれましたが、それは2050年でも変わらないかもしれません。視覚・聴覚に続いて嗅覚を用いたエンタテインメントを体験するための重要なアイテムとして新しいマスクを構想しました。五感のなかで感情や記憶に直接影響すると言われている嗅覚の研究が進み、香りのデジタル化が可能になった2050年において、人々は思い思いの香りを共有し、新しいエンタテインメントを体験しているかもしれません。

デザインプロトタイピング
Sensorial Entertainment
2050年、香りを楽しむエンタテインメントとはどのようなものか。蓄積された膨大な感情データをもとに過去に嗅いだ香りの再現を可能にするサービスとツールを構想しました。
「Scent Mask」を装着している人

「Sensorial Entertainment」は、蓄積された膨大な感情データをもとに過去に嗅いだ香りを再現してくれるサービスです。「Scent Mask」から提供される、思い出したくても思い出せなかった「あの日の香り」が、あなたをノスタルジックな世界へ誘います。

「Sensorial Entertainment」により新しい知覚を提供するレストランでは、シェフ監修のもと、当時の感情を助長するような香り成分を付加することで、色褪せていた思い出の追体験を可能にします。ARを通して中央のテーブルに表示されるインターフェースを操作することで、自分たちが戻りたかったあの日の香りが蘇ります。

「Scent Mask」のマスクには、香りを再現するための低分子化合物を圧縮・封入する微小カートリッジが搭載されています。金属系人工筋肉・バイオメタルファイバー素材のマスクフレームに搭載した網膜投影技術と骨伝導技術が、香りや思い出を再現してくれます。嗅覚だけではなく視覚・聴覚を合わせた豊かな思い出の追体験が実現されます。

SF 短編小説
「オッド・ロマンス」
津久井五月

肉体からも、社会制度からも切り離された恋愛──それは実現可能だろうか? 妻の由貴と結婚して7年目の慧は、そんなロマンスを追求するべく、つばさとデートを重ねる。ふたりが足繁く通うのは、顔の見えないマスクを身につけ、マスクから料理の匂いが提供されるヴァーチャルレストランだった。そこで繰り広げられた「匂いだけの恋愛【ルビ:オッド・ロマンス】」を、SF作家・津久井五月が描き出す。