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ソニーのオリジナルボールの技術情報について

材料・特性

ポリエステルブロックアミドコポリマー(PEBA)と熱可塑性ポリウレタン(TPU)をラミネートし、フィルムとしたものを採用。今回使用のPEBAはポリアミド11とポリエステルのコポリマーで、PEBAは石油由来の材料でも作られるが、今回使用したのは植物由来(トウゴマ由来)の材料。

図1:ポリアミド11の構造式
図2:PEBAの一般的な構造式

一般的なPEBAの特性としては、耐薬品性、耐候性、また特に低温における耐衝撃性に優れ、低密度である。また良好な成形性を持ち、種々の原料による充てん剤との良好な相溶性がある。 今回は、高耐久性のボールを開発するというミッションのもと、高耐久という特性が劣ることなく環境にも配慮した植物原料プラスチックを含有するPEBAを材料として選択した。

一般的なTPUの特性としては、抗張力や耐摩耗性、耐油性に優れるが、耐熱性や耐水性は他の合成ゴムに比べ低い。水分による加水分解や空気中の窒素酸化物、塩分、紫外線、熱、微生物などの影響で徐々に分解される。

材料・特性

グラフ1: 温度85℃、湿度80%の恒温槽内での時間ごとの分子量の低下(%)

実験室において、恒温槽(温度85℃、湿度80%)の中での安定性を比較した。TPUのみでできたフィルムと、PEBA/TPU のダブルレイヤーのフィルムの分子量を一定時間ごとに測定し、初期の分子量を100%として、分子量の低下率を測定した。170時間後の分子量は、PEBA/TPUでは90%を保っているが、TPUのみでは70%近くまで低下している。このことから、高温高湿における安定性が示された。

グラフ2: エネルギー比較によるフィルムの耐衝撃性(自由落下によるダート法)

また、プラスチックフィルムが自由落下によるダート法で破壊されるエネルギーを測定することで、耐衝撃性を求めた。PEBA/TPUフィルムでは、TPUフィルムに比べて、破壊に必要なエネルギーが約1.6倍となり、PEBA/TPUフィルムの耐衝撃性がすぐれていることが示された。

材料の環境配慮

環境に配慮した植物原料プラスチック (トウゴマ由来)のポリエステルブロックアミドコポリマーを採用。
材料をすべてTPUとした場合を1として、植物原料のPEBA/TPUに置き換えた時の物質密度を算出した結果、およそ10%の削減が見込める計算。低密度により軽量化が図れ、結果としてエネルギーやコストが低く抑えられる。

レイヤー構造について

写真1: 上側がTPU、下側がPEBAxRnewのダブルレイヤー構造
図3: フィルム構造

ボールの表面層にTPU/PEBAをラミネートしたフィルム材を導入した(写真1参照)。PEBAは耐久性に優れるものの、耐薬品性にも優れるため、従来のインクではうまく印刷することができないという問題があった。そこで、従来サッカーボールに使われているTPUを印刷面に用いることで印刷問題を解決した。この結果、内側の層にあたるPEBAは耐久性の向上を、外側の層にあたるTPUは優れた摩耗性、印刷のしやすさを実現した。

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