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面白そうなところに人が集まっていく。人との繋がりで新たな演奏体験を生みだしたエンジニアが語る、ソニーの魅力とは。

Technology

「音楽弱者を、世界からなくす。」をテーマに活動するプロジェクト 世界ゆるミュージック協会。そこで開発されるゆる楽器の一つである「ウルトラライトサックス」や楽器制作キット「ゆるコア」には、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下SSS)のIoT用ボードコンピュータ(※1)「SPRESENSE™(スプレッセンス、以下SPRESENSE)」が使われています。このSPRESENSEは省電力でありながら、高いオーディオ性能や、AI認識・信号処理ができるパワーを持っており、人工衛星にも搭載されています(※2)。
そんなSPRESENSEの担当エンジニアとして、ウルトラライトサックスやゆるコアの開発プロジェクトに参画した早川さん。個人的な活動から始まり、周囲のさまざまな人を巻き込んで大きくなったというこのプロジェクトの過程で、早川さんが実感したソニーで働くことの楽しさ・魅力に迫ります。

※1 1枚の小さな基板上に、コンピュータとして必要な計算機能や記憶機能、入出力用の端子などを搭載したもの。
※2 詳しくは『SPRESENSEの活用事例』のページへ。

早川 知伸
渡部 優基

SPRESENSEでつくる、誰もが簡単に演奏できる楽器。

── はじめに、ウルトラライトサックスについてご説明いただけますか。

ウルトラライトサックスは鼻歌をサックス音に変える楽器で、演奏技術がなくても歌うだけで楽器を演奏できるようになっています。小さい子どもでも使えるようなサイズで、安全性を考慮してバッテリー駆動にしています。

── ゆるコアはどのようなものなのでしょうか。

中央にあるSPRESENSEに拡張ボードを付けて、いろいろなセンサーに対応できるようにしたものです。何を入力するかが自由に選べるようになっていて、例えば手を振ったり、目線を変えたりするだけで音が鳴るようにもできます。

「机の下活動」から始まったゆる楽器の開発

── 早川さんはどのような経緯でプロジェクトに参画されたのですか。

もともとSSSの技術企画部と株式会社ソニー・ミュージックエンターテインメント(以下SMEJ)のゆる楽器の担当チームがプロジェクトを推進していて、そこにいた同期社員が「SPRESENSEをゆる楽器に応用できないか」と私に話を持ち掛けてくれたんです。

私もSPRESENSEを売り出したいという気持ちがありましたし、オーディオの信号処理やAIによる人の動きの認識という点で楽器制作に使えそうだとも思っていたので、それを実証できるならばぜひやってみたいと話を受けました。

── 最初から楽器に可能性を感じていたのですね。

SPRESENSE自体が何にでも自由に応用できるというコンセプトなので、これに使えるんじゃないか、こんなものができたら面白いという話はよくしていました。ウルトラライトサックスの開発を始めた当初もビジネス的な計画は立てておらず、ノイズや遅延を少なくするためにはどうすべきか、といった私が興味がある技術的な部分について、業務の手が空いた時に個人的に取り組んでいました。

── いわゆる「机の下活動」(※3)というものですね。いろいろな可能性を感じながら開発するのは楽しそうですね。

そうですね。楽しく自由にやっていました。2019年にあるイベントに試作品を出展して、子どもたちにも演奏してもらったんです。みんな喜んで演奏してくれてすごく楽しかったのですが、一方で触っているうちに壊れてしまうということもあり、試作品を見直す機会にもなりました。
担当する技術が細分化されていくと、周辺の限られた人としかなかなか話せないので、実際に触ってもらって感想をもらえるような場は非常に貴重ですし、機会があれば積極的に参加するようにしています。

※3 業務の空き時間などを活用して、自主的な開発を行うこと。

過去のつながりから、頼れる存在に。

── ゆる楽器制作のためのハッカソンにも参加されたのですよね。どのようなものなのでしょうか。

SMEJが主催するハッカソンなので、エンジニアだけではなく音楽大学の学生や教授、作家なども参加していました。例えば棒をパキパキ折ることで音を出すなど、そんなことするの?というようなとても面白い発想も出てくるんです。エンジニアだけだとどうしても技術的に可能な範囲内で議論してしまうので、とても勉強になりました。社内外問わず、異なる視点でものを見ている人たちとの接点になるような機会を得られるのも、ソニーの強みだと思います。

ちなみに、ゆる楽器の一つである「ハーモニーフラッグ」も、そのハッカソンで最初に優勝したアイデアから作られたものです。

ハーモニーフラッグの写真。本体についているロープを引っ張りながら、手旗信号のようにポーズをつけていくことで音階を選べるフィジカルな電子楽器です。

── 視野が広がりそうですね。先ほど早川さんは個人的にゆる楽器の技術面の開発に取り組んでいたとおっしゃっていましたが、プロジェクトはどのように大きくなっていったのでしょうか。

SMEJの社内外に向けたプロモーションもあって自然とプロジェクトは広がっていきました。ただ、ビジネス化に向けてプロジェクトの規模が大きくなっていくと、その分責任も大きくなっていきます。その責任の所在がSSSとSMEJの間であいまいになってしまっていたのと、私は個人的に携わっていただけということもあり、一度身を引こうとしました。なぜなら、これまでの自身の経験だと、技術的に乗り越えられない問題が発生した場合だけではなく、メンバー間で責任の所在があいまいになっている場合も、プロジェクトがうまく進まない可能性が高いということがあったからです。

── 責任の所在という視点も大事になってくるんですね。その後どのように持ち直したのですか。

開発は主に私が所属するSSSの事業部とSMEJの担当チームが主導していたのですが、もう一つ技術企画部という部署も絡んでいました。そこのマネジメントが「これは机の下活動ではなく、ちゃんとしたプロジェクトにした方がいい」と、半導体のワーキンググループという枠組みの中に入れてくれたんです。彼らが先導してSSSとSMEJの担当や責任の範囲を業務として整理し始めてくれたので、まだやれるかもという思いになりました。

── 周りの人に助けられたのですね。

自分から積極的に進めたというより、面白いと思ってくれた周りの人がどんどん入ってきて、気づいたら規模が大きくなっていたという形です。最初に楽器を開発し始めた時も、前のプロジェクトで一緒だった研究開発チームの助力でAIによる信号処理を実装できました。また、先ほど話したイベントで試作品を見直すことになった際も、以前放送機器を担当していた時の同期社員を通してSGMO(ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社)の設計・生産チームに助けてもらいました。

── やはり過去に関わった人たちとの関係性を大事にされているのですか。

そうですね。同期やプロジェクトで一緒になったメンバーとは部署が離れてもやり取りしていますし、業務やイベントで知り合った人とは積極的にコミュニケーションを取るようにしています。今こういう話があるんだ、こんな面白いこと考えてるんだという情報もキャッチできますし、今回のように困ったときは頼れる存在にもなります。

面白そうな話に首を突っ込んでいく。

── 今後はどのように開発を進めていくのでしょうか。

ウルトラライトサックスをさらに改善していくと同時に、新しい楽器の開発も進めています。代表的なのは「ハグドラム」で、二人一組で叩くことによって聴覚障がいのあるなしにかかわらず相手が叩いたリズムを体感できるというコンセプトの楽器を、デザイナー、ミュージシャンや聴覚障がいのあるリードユーザーと協力しながら、開発しています。

── 今回のプロジェクトを通して、早川さんはソニーで働くことの楽しさや魅力はどのようなところにあると感じましたか。

自分とは異なる分野の人たちと関わることで、自分にない視点や価値観を知ることができるのは、コングロマリット企業であるソニーだからこそできることだと思います。今回のように社内で音楽に携わる人たちと仕事をする機会は、エンジニアにとってそう多くはありません。いろいろな人とのコミュニケーションから新しいプロジェクトにつながる可能性もありますし、今回のようにソニーでは面白そうなアイデアにどんどん人が集まってくるので、とても面白くエンジニアリングできています。

現在私のチームが進めているプロジェクトの1つは、逆にサポートする側になっています。SEC(ソニー株式会社)で開発された6軸センサーの技術があるのですが、長い間ビジネス化の話が停滞していました。そこに我々が着目して、何とかして使いたいと試行錯誤した結果、SPRESENSEに紐づけて商品化することができました(※5)。その反響もすごく大きくて、我々がプラットフォームとなって発信することができたかなと思っています。

※5  SPRESENSE向けマルチIMU Add-onボード

── サポートされる側から、サポートする側になったのですね。

面白いけど、今はまだ日の目を見ておらず、もったいないという技術やアイデアがないか常にアンテナを張っています。面白いアイデアのプラットフォームになる、そういう存在にSPRESENSEはなるべきじゃないかという話をよくしています。新しい話に首を突っ込んで、新しい商品に携わり、新しい人たちと知り合う。ソニーだとそれが世界初、世界一の技術だったり、世の中で話題になるかもしれない製品だったりするので、非常に楽しいです。ソニーはやりたいことにチャレンジしやすい会社なので、ぜひ積極的に新しい体験をしてみてほしいです。

<編集部のDiscover>
いろいろな分野で活躍し、いろいろな技術や製品を手掛けてきた早川さん。とても楽しそうにキャリアの話をされる姿が印象的でした。好奇心や冒険心で面白そうなところにどんどん人が集まって、それが新しいプロジェクトになっていくというのは、まさにソニーならではですね。その中でできた人とのつながりが、将来的に情報源や頼れる存在になっていくということを聞いて、よく言われる「新入社員は目の前のことには何にでも積極的に取り組むべきだ」という話に大きな納得感を得ました。僕ももうすぐ社会人なので、早川さんのように思い切り楽しめるようなキャリアを目指したいです!


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