使い方は無限大!Sociable Cart:SC-1が作る新しい移動の形

新たな移動体験の提供を目的とするエンタテイメント車両「Sociable Cart:SC-1」※(以下、SC-1)。
SC-1には、ソニーグループが開発した複合現実(Mixed Reality)技術を搭載しています。一般的な車のフロントガラス部分が大型モニターに置き換えられており、直接外の景色を見るのではなく、車外を映した映像にさまざまなCGが重ね合わされて映し出されます。一方で車体のサイド部分はオープンになっており、そこからは実際の景色を楽しむことも可能です。これにより、従来はただ景色を眺めるだけだった車窓が、デジタルと現実が融合したエンタテイメント空間へと変わり、移動そのものをより楽しめる新たな体験を創出します。
今回の記事では、SC-1のプロジェクトに携わる髙梨さん、江里口さんのお二人にお話を伺いました。SC-1のこれまでの活躍や今後について、掘り下げていきます!
※SC-1の詳しい説明は、「Sociable Cart:SC-1 様々な車両で複合現実が体験できるサービスを開始」のページへ

- 園井 千智
携帯電話から発想されたSC-1
── プロジェクトの内容に入る前に、お二人がSC-1のプロジェクトに携わるようになった理由を教えてください!
髙梨: 携帯電話のように、多種多様な使い方のできる乗り物を作りたいと思ったことがきっかけです。私は元々、ガラパゴス携帯が主流だった時代から、携帯電話の新しい機能を考える仕事をしてきました。その中で、携帯電話の目線で、移動を従来のものから楽しいものに変えられないかと考えるようになり、SC-1のプロジェクトを始めました。
江里口: 私も髙梨さんと同じように、携帯電話に関わる仕事をしていました。携帯電話は最初、カメラ機能もついていなかったのですが、時を重ねるにつれて、カメラやお財布の機能がつきましたよね。それを移動と掛け合わせて何かできないかと思っており、髙梨さんと同じくSC-1に携わるようになりました。
── 携帯電話からSC-1は発想されたのですね!意外でした!
髙梨: 携帯電話の面白いところは、「こんな機能があったらいいな」と思うと、それが追加され、どんどん機能が増えていっているところだと思うんですよ。なので、SC-1も機能や用途を増やしていけるような乗り物になればいいなと考えていました。

異なる用途をどんどん見つけていく
── SC-1は現在、どういったところで活躍しているのでしょうか。
髙梨: 日本各地のさまざまな場所で活躍しています!SC-1は多種多様な使い方が可能なので、まずは何かしらの課題を抱えている方や、SC-1を使ってイベントを開催したいという方のお話を聞いてみます。そのうえで、SC-1として新しい価値を生み出すことができると感じれば、その場所にSC-1が出張させていただくんです。
江里口: 例としては、沖縄県の首里城や海洋博公園が挙げられます。焼失した首里城を映像として再現し、あたかも首里城が目の前に現れているかのような体験を提供しました。首里城という歴史ある建物の復興活動というわけですね。
また、海洋博公園は美ら海水族館を敷地内に持つ公園なのですが、公園全体の魅力をもっと伝えたいという想いから始まりました。今見えている風景に説明を加えることができるので、SC-1には公園内の観光案内をしてもらいました。


首里城(上)と海洋博公園(下)で走行するSociable Cart
── 場所ごとに活用方法が全く違うのですね!
江里口: そうですね。たくさんの場所でSC-1を走らせているうちに、異なる用途をどんどん見つけてきた感覚です。ここがSC-1の面白いところでもありますね。
髙梨: もちろん私たちが用途を見つけることもありますが、お客様の言葉に気づかされることも多いです。「私だったら、SC-1をこういう風に使いたいと思っています」というお客様の声を聞いて、私たちも技術的に可能だと感じれば、一緒に実現させていきます。「SC-1にはこんな使い方もあったんだ!」と日々発見しています。
これまで無駄なことは一つもなかった
── SC-1に携わる中で、特に印象的だった展示やイベントはありますか。
江里口:毎年ハワイで開催されている「ソニーオープンinハワイ」というゴルフ大会の会場でSC-1を運用したことが、一番印象に残っていますね。世界で初めてSC-1をお披露目したのがハワイでしたし、国外だからこその面白さや難しさを感じました。
髙梨:あれは面白かったですね!特に、SC-1の搬入搬出を行う時に見た、関係者や現地の方の反応は今でも忘れられないです。SC-1が通るとみんな振り返って、「あの車は何ですか?」「どんなことが出来るのですか?」とあれこれ聞いてくださったんですよ。多くの方がSC-1に興味を持ってくれたことは、私としてもうれしかったです。
── とても面白そうです!国外だからこその難しさとは、何があったのでしょうか。
江里口:ハワイの現地でSC-1を運ぶことが難しかったですね。これまでそういった経験がなかったので、トラックからSC-1をどう出すかということや、どこに保管をするのが最適かということなど、多くの悩みがありました。その中で、現地の方が気さくに協力してくださったおかげで、無事に運ぶことができ、私たちとしてもいい学びになりました。

髙梨:ハワイでの経験も含め、SC-1を運用する度に学ぶことがありますね。国内だと、SC-1は車の周りに液晶がついているので、一般的な道路では走らせることができないんです。なので、SC-1は私有地で走らせることが多いのですが、SC-1が走っていい場所かどうかの調整は毎回難しいですね。 時には想定していた通りにできないこともありますが、これまで無駄なことは一つもなかったと思います。その経験が次に繋がりますから。
もっと多くの人に体験してほしい
── SC-1は今後も活躍していくと思いますが、目指したいことはありますか。
江里口:去年、SC-1で培った、移動を楽しくするMR技術をSC-1以外の乗り物、車(タクシー・バス)、電車(モノレール)などに提供する「MRクルーズ※1」という新しいサービスを始めたんです。その第一弾として、2024年12月から期間限定で「タイムトリップタクシー※2」と称し、多くの方に体験していただきました。今後は、昨年から始めた「MRクルーズ」をサービスとしてより充実させていくことを目指したいですね。
髙梨:SC-1に携わりながら、もっと多くの人に体験してほしいという想いがあったので、今回の「タイムトリップタクシー」はその思いを実現するきっかけになったと思っています。もちろん、これまで行ってきたSC-1の取り組みも続けていくので、今後は「SC-1」と「MRクルーズ」を両輪として、どちらも進化させていくことが目標です。
※1 MRクルーズの詳しい説明は、「Sociable Cart:SC-1 複合現実体験ができる『MR Cruise』の第一弾サービスを開始」のページへ
※2 タイムトリップタクシーとは
大和自動車交通株式会社と共同でお届けするMRクルーズの最初の具体事例で、MRクルーズ体験ができる設備を搭載したタクシーに乗車して、台東区の浅草・谷中・上野のエリアで、浮世絵・江戸文化をテーマにしたコンテンツを楽しめるものです。乗客は実際の車窓に映る景色とその場所に関連したCG・音声などを同時に見ることで、あたかも時間を行き来しているような体験ができます。

── 今後、より多くの人の体験が期待されますね!
髙梨:そうなることを期待しています!現在、「MRクルーズ」を今後どのように展開していくか、日々模索している段階です。どうすれば事業としてより幅が出て、継続していけるかということは毎日考えますし、毎日新たなアイデアが浮かびます。熟考を重ねながら、一歩ずつ形にしていければと思います。
江里口:私もそう思います。そして、多くの方にSC-1やMRクルーズを体験していただく中で、移動自体を楽しいものに変えていきたいですね。
<編集部のDiscover>
取材を通して、「SC-1」そして「MRクルーズ」がこれまでの移動を全く違う体験へと変えようとしているのだと感じました!私自身、車に乗って移動している際に、「この時間がもっと充実したものになればいいのに」と思ったことが何度もあります。そういった私の願いをまさに叶えるものだと感じました。これから先、「SC-1」そして「MRクルーズ」での体験が一般的になり、すべての移動が楽しいものになればいいなと思います!
















