健康管理・健康づくり
人権の尊重
基本方針
ソニーが感動を生みだす最も重要な原動力は社員の健康であると考えています。そのためには、社員一人ひとりがその人らしくいきいきと働き続けられるように、人・組織が高いヘルスリテラシーを持つための様々な情報提供や、社員の心と体を大切にするという組織風土の醸成を推進していくことが必要です。社員のウェルビーイング向上が会社の持続的成長に欠かせない要素であることを念頭にした健康経営をさまざまな角度から推進しています。
働き方が多様化する中、健康診断やストレスチェックなどのデータを活用しながら、メンタルヘルス、治療と仕事の両立、生活習慣病といった社員の健康課題と向き合い、その解決のために、社員一人ひとりに寄り添う丁寧な支援、マネジメントに対する教育研修、情報発信や啓発活動など、さまざまな取り組みを行っています。
指標/目標
社員のウェルビーイング向上を促進するためのワーク・エンゲイジメント、プレゼンティーイズム(presenteeism)、アブセンティーイズム(absenteeism)といった指標を設定し、その維持・改善を目標とすることでソニーの健康経営に貢献できることを目指しています。
推進体制
ソニーグループでは、産業保健を専門的かつ効率的に安定提供するため、多くのグループ会社の産業保健部門を集約・シェアード化し、SPPS(ソニーピープルソリューションズ株式会社)の健康管理部門がその機能を担っています。SPPS健康管理部門には、産業医、保健師、臨床心理士などの専門職および事務職を配置し、社員や組織に対する支援・助言、および研修などの各種健康支援策の企画・実施を行っています。また、安全衛生や人事労務と連携し、労働時間管理や適性配置などにも取り組んでいます。
さらに、健康保険組合と連携・協働し、ソニーグループ各社の健康管理担当を対象としたセミナー開催などコラボヘルスを展開し、健康課題に関する共通理解や組織全体の健康風土醸成の基盤強化へつなげています。
2025年度の主な取り組み
- 働き方が多様化する中、健康診断やストレスチェックなどのデータを活用し、健康経営を推進
- 社員の健康課題と向き合い、一人ひとりに寄り添う丁寧な支援、マネジメント向け研修、情報発信や啓発活動など、さまざまな取り組みを実施
健康経営への取り組み
メンタルヘルス
不調の予防と社員・組織の活性化を図る取り組みを中心に、総合的なメンタルヘルス支援を推進しています。
ストレスチェック
グループ44社・国内の約40,000名※を対象に実施したストレスチェックと健康管理サーベイの結果から、ワーク・エンゲイジメントを高める要因として、ワーク・ライフ・バランスや、強みを活かして働くことの重要性が分かりました。加えて、職場環境の観点では、心理的安全性が高く、お互いを気にかける風土が、ワーク・エンゲイジメントの向上に寄与することも見えてきました。これらの結果から、組織活性化の鍵は、社員個人への支援と組織の支援の両輪にあると考えています。
こうした考えのもと、ストレスチェック(2025年度実施, 回答率93%)については、セルフケアを目的とした社員個人への支援に加え、職場環境改善を目的とする集団分析を実施しています。職場集団ごとの結果をマネジメントにフィードバックするとともに、産業医・保健師・臨床心理士などの医療職チームを交えた検討会を行うなど、より働きやすく、いきいきとした職場づくりに活用しています。
さらに、職場単位での集計にとどまらず、役職別・年代別といった属性別分析や出社日数など働き方の特徴に応じた分析も加え、管轄人事やマネジメント、医療職チームで適宜協議しながら、課題や対策の検討を行っています。
このほか、職場への結果フィードバック後には、マネジメントからの声を収集し、職場で工夫した取り組みや効果的だった施策を好事例として集めています。これらの好事例を、職場環境改善のためのガイド集としてまとめ、医療職チームからマネジメントに公開するなどの取り組みも行っています。さらに、人事などの関連部署と連携し、メンタルヘルス不調の要因分析を実施しました。その結果、不調者発生リスクの要因が明らかになったことから、リスクの高い職場に対する重点的なサポートや支援を行っています。
社員/個人への支援
個人の支援としては、メンタルヘルスに対する一人ひとりのリテラシーを高めることが大切との観点から、国内グループ31社※を対象としたe-ラーニングを実施しています。また、新入社員向けの研修も展開し、安全衛生委員会、社内ウェブサイトなどを通して、広く情報発信を行っています。こうした情報発信の中で、セルフケアの方法や、ワーク・ライフ・バランスの整え方、困った際の相談先など、健康に働くために役立つ情報を紹介しています。
さらに、人事など関連部署と連携してマインドフルネスワークショップを開催し、社員向けの体験会に加え、家族も一緒に体験できる機会の提供も企画・実施しています。
組織 / マネジメントへの支援
組織への支援としては、職場のマネジメントへの支援が大切との観点から、部下のメンタルヘルス不調に対応するスキルを高める研修や、各個社ごとのニーズや課題に沿った内容を盛り込んだマネジメント向けワークショップを実施しています。ワークショップについては、産業医・保健師・臨床心理士がチームを組んで企画・実施し、各個社や組織の状況を踏まえた情報提供を行うなど、医療職への相談がしやすくなるような環境づくりを行っています。さらに、マネジメント同士で話し合える場を提供することで、マネジメント同士の横のつながり作りもサポートしています。
相談体制づくり
相談しやすい体制づくりにも力を入れています。産業医・保健師・臨床心理士が対面やオンラインで面談を実施するなど、「個」に寄り添ったサポートを行っています。社員からの申し込みや希望による面接に加えて、医療職からも積極的に社員に声をかけることや、社員への情報発信をすることなどにより、早期支援につながる取り組みを行っています。さらに、不調により休養していた社員が仕事に復帰する際には、社外の専門機関とも連携を図りながら、EAP (従業員支援プログラム)を活用した職場復帰プログラムを作成し、職場への適応を支援しています。あわせて、災害などの発生時には、心の支援プログラムを用意し、社員の心のケアを行っています。
長時間勤務者の健康管理
長時間勤務が社員の心身の健康やワーク・エンゲイジメントに影響をおよぼし、組織全体の健康リスクにつながりうるとの認識のもと、健康障害の予防と働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
日本国内では労働安全衛生法および関連法令において、勤務状況の把握、医師による面接指導の実施、ならびに健康確保のための適切な措置を講じることが事業者に求められています。こうした法的背景を踏まえ、長時間勤務の改善と健康確保に向けた取り組みを行っています。
マネジメントに対しては、部下の勤務時間管理や健康配慮に関する理解を深めるため、法的責任や実務対応を含む教育研修を実施しています。また、一定時間を超える時間外労働が確認された社員については、産業医や保健師による面談を行い、産業医の意見を踏まえながら、業務調整などの就業上の措置に反映しています。コロナ禍以降、柔軟な働き方が広がる中でこれらの取り組みを継続してきた結果、長時間勤務者の面談対象者数は5年連続で減少しています。
治療と仕事の両立支援
がんなどの治療と仕事を両立しながら、社員が生きがいやモチベーションを持って働けるよう、積極的なサポートを展開しています。がんなどの治療と仕事の両立相談窓口の周知に力を入れ、両立支援への理解と活用推進のためにe-ラーニングを実施しています。治療を続けながら働く社員へは、産業医のほか、両立支援コーディネーターを担う保健師が面談を行うなど、多様で柔軟な働き方を社員自身が選択できるよう、専門的見地から支援しています。
また、国内グループ37社※を対象に、がんの予防・早期発見・早期治療を啓発するセミナーを実施し、ヘルスリテラシー向上にも注力しています。そのほか、健診/人間ドックで精密検査対象となった方への受診勧奨や、若年層の子宮頸がん検診受診促進などにも取り組んでいます。
女性の健康
女性がいきいきと活躍できる環境づくりとして、女性特有の健康課題への取り組みに加え、健康の多様性への理解や、誰もが健康上の問題を持つことがあることを、働く仲間同士、理解することが重要です。
2025年度はマネジメント社員を対象に、女性の健康に関する基礎知識や職場における良好なコミュニケーションについて研修を実施しました。新入女性社員には、女性特有の不調と仕事との両立への不安に着目し、実態調査や健康相談を実施しました。3月の国際女性デーなどの女性の記念日にはイベントを開催し、男女問わず女性の健康を知る機会を提供しました。
女性の健康相談窓口は常時開設しており、女性社員のさまざまな健康課題に産業医・保健師・助産師が対応し、一人ひとりに寄り添ったサポートを行っています。
生活習慣病対策
企業で働く社員にとって、食事や睡眠、運動といった日常の生活習慣は、生活習慣病の発症や重症化リスクと密接に関係しています。そのため、生活習慣病の予防を重要な健康課題のひとつと位置づけ、継続的な取り組みを進めています。
健康診断および人間ドックの受診を促進するとともに、産業医や保健師が健診結果に基づいた生活習慣改善や医療機関受診の支援を行い、重症化予防につなげています。また、メタボリックシンドローム対策として特定保健指導の実施にも力を入れています。
健診結果の組織集計・分析を通じて把握した健康課題を踏まえ、生活習慣改善を後押しする環境整備やヘルスリテラシー向上に取り組んでいます。2025年度は「食事」を重点テーマとし、体組成測定などのイベント開催や社内食堂での低GIメニュー提供、健康講話などの情報発信を通じて、日常の食生活を見直すきっかけづくりを進めました。ほかにも、運動や睡眠を含めた生活習慣へのアプローチを重視しています。
受動喫煙防止と禁煙推進
社員の健康保持と職場環境の向上を目的として、受動喫煙防止および禁煙推進に継続して取り組んでいます。望まない受動喫煙を防ぐため、働く環境から受動喫煙を含む喫煙機会を減らす施策を進め、国内においては、原則として建物内を全面禁煙としています。
併せて、喫煙者が自身の健康への影響や、受動喫煙による周囲への影響を正しく理解し、主体的に禁煙を選択できるよう、産業医や保健師による個別の指導・支援を行っています。こうした取り組みを積み重ねた結果、喫煙率は確実に低下しています。
一方で、家庭内での喫煙や、加熱式タバコを含む新型タバコの利用拡大など、新たな課題も見られます。これらを踏まえ、近年は、受動喫煙防止や禁煙推進、加熱式タバコなどの健康影響に関する知識の普及を目的としたe-ラーニングの実施、禁煙相談窓口などを通じて、正しい知識の浸透と主体的な取り組みを支援しています。
海外赴任者の健康管理
現在ソニーグループでは、社員と帯同家族が海外約30カ国に赴任しています。海外赴任者および家族が、海外においても安全で健康に暮らし、働けるよう、赴任前から赴任中、帰任に至るまで一貫した健康管理の仕組みを構築しています。赴任前には、健康教育や健康診断、予防接種の案内を行うとともに、既往歴や治療中の疾病がある場合には、産業医が医学的観点から赴任中の注意事項を判断し、必要に応じて人事部門と連携のうえ、赴任後のフォロー体制を事前に整えています。赴任中においては、オンラインを活用した保健指導や健康相談を行い、社員本人だけでなく帯同家族からの相談にも対応しています。また、赴任中の健康診断の案内や定期的な受診勧奨を実施し、疾病の早期発見や重症化予防に努めています。メンタルヘルスについては、ストレスチェックの実施およびその結果、また日頃の相談対応を通じて赴任者の状況を把握し、人事部門と連携しながら個別状況に応じた支援を行っています。特に海外赴任特有の環境変化を踏まえ、早期の相談・対応につなげる体制を構築しています。さらに、産業医や保健師が現地を訪問し、海外事業所や医療機関の情報を継続的に収集・確認することで、赴任者と帯同家族が安心して医療にアクセスできるよう支援し、疾病の予防と健康リスクの低減に取り組んでいます。
感染症対策
国内外における感染症リスクに対応するため、社員の健康確保と事業継続の観点から、事業継続計画(BCP)においても感染症対策を考慮し、継続して取り組んでいます。海外赴任者および帯同家族に対しては、赴任前に感染症に関する健康教育を実施するとともに、海外出張者を含め、予防接種に対する費用支援を行っています。また、各国の感染症流行状況を踏まえ、必要に応じて出張制限などの安全対策を講じています。
国内においても、新型インフルエンザ感染症、新型コロナウイルス感染症の対応経験を踏まえ、新規の感染症、結核、風疹、麻疹(はしか)などの発生時には、行政機関とも連携し、BCPを前提に機動的な対応を行っています。あわせて、医療機関への立ち入りなど感染リスクをともなう業務に従事する社員に対しては、感染症に関する教育や予防接種の推奨を行うなど、業務特性に応じた感染症予防に取り組んでいます。
※本ページ「健康管理・健康づくり」に掲載の実績数値について
当社は金融事業のパーシャル・スピンオフを2025年10月1日付で実行しました。金融事業のパーシャル・スピンオフにともない、本レポート中の目標数値や実績数値、個別の取り組みについては、原則として金融事業を除く継続事業ベースで集計・記載していますが、本ページ「健康管理・健康づくり」に掲載のすべての実績数値には2025年9月末日までの金融事業にかかる実績数値が含まれています。