社外取締役メッセージ
コーポレート・ガバナンス
取締役会議長・指名委員会議長メッセージ
ウェンディ・ベッカー
社外取締役 取締役会議長 指名委員会議長
最も重要と考える経営陣との戦略議論の進捗
ソニーグループ株式会社の取締役会は、私の2025 年6月の取締役会議長就任以降も引き続き、CEOの十時さんやCFOの陶さんが牽引するグループ全体の成長戦略やその実現に向けた事業ポートフォリオおよびキャピタルアロケーションを中心に議論を深めています。こうした議論は、執行と監督を分離するソニーのガバナンスにおいて、取締役会が最も重視すべきものの一つです。第五次中期経営計画の進捗確認を含むそれらの議論の中で、エンタテインメント事業を中心にIPの創出・育成と価値最大化に取り組み、それを支える技術や事業基盤に経営資源を集中していくという中長期の方針を確認しつつ、具体的な経営施策について議論してきました。例えば、2025年10月に実行した金融事業のパーシャル・スピンオフについては、方針確認から実行の決議にいたるまで継続して進捗確認を行いました。また、I&SS事業におけるTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Limitedとの戦略的提携、ホームエンタテインメント領域におけるTCL Electronics Holdings Limitedとの戦略的提携、さらには、ソニー・ホンダモビリティ株式会社における今後の事業の方向性についても適宜報告を受け、必要な確認や議論を経営陣と行ったうえで、その考えを支持しています。
また、かつてないほどのスピードで事業環境が大きく変化し、不確実性が高まる中、取締役会では地政学リスクや経済安全保障、サイバーセキュリティといったテーマについても継続的に議論しています。例えば、2025年10月にはワシントンD.C.にて、地政学リスクをテーマにソニーの現地メンバーや社外有識者との対話を行い、取締役会としての理解を深めました。また、AIをはじめとする技術の急速な進化も我々の事業にさまざまな影響をもたらす重要なテーマです。取締役会においても機会、リスクの両面から議論を重ねています。
そして、こうした議論のためには各事業に対する知見を深めることも重要と考えています。前述のワシントンD.C.での対話に合わせて、ニューヨークのSony Music Entertainmentのオフィスを訪問し、海外音楽事業の現状や戦略について現地のマネジメントと意見交換を行うとともに、年に一度行われる戦略ワークショップでは、各事業のマネジメントと直接、中長期的な戦略と課題について議論しています。
指名委員会がリードする後継者計画の評価と取締役構成
指名委員会の重要な役割の一つは、CEOの後継者計画について評価し、意見を述べることです。十分な議論と検討を経て、ソニーは2025年4月に十時さんをCEOとする新経営体制に移行しました。そして、これを踏まえ、2025年度の指名委員会では、新体制発足後の経営チームをモニターするとともに、中長期的な視点からCEOの後継者計画について継続的に議論を行いました。また、主要事業・機能責任者の後継候補者についても報告を受け、音楽事業(国内)およびET&S事業における事業トップの交代を確認しています。
もう一つの重要な役割は取締役候補者の選任です。この選任にあたっては、人数規模や専門性、多様性の観点から多角的に検討を行いました。その結果、社外取締役の新たな候補者については2026年度では選任せず、引き続き議論していくことを確認しました。また、CFOである陶さんを、執行役を兼務する取締役の新たな候補者として決定しました。財務戦略や資本市場に深い知見を有する陶さんが取締役会に加わることで、取締役会としてより深い議論が可能になり、実効性の強化につながると考えています。加えて、この場を借りて、2026年6月を以て取締役を退任された岸上さんと吉田さんに長年の貢献への感謝を申し上げたいと思います。
より長期視点での企業価値向上への貢献を目指して
ソニーは近年、高水準の利益を維持し続けており、取締役会としても、十時さん、陶さんをはじめとする現在の経営陣を高く評価しています。2027年度から始まる第六次中期経営計画についても、引き続き経営陣の知見を踏まえながら深い議論ができると考えています。他方で、現在、世界で起こっているさまざまな情勢を踏まえると、今後もソニーを取り巻く事業環境は大きく変化すると予想されます。そうした中で、取締役会としては、直近で起こりうる環境変化だけではなく、より長期的な視点でソニーに影響を及ぼしうるメガトレンドを捉え、今後注視すべきテーマを特定することが重要と考えています。地政学リスクのさらなる高まり、AIをはじめとする技術の進化、人々の行動変容なども念頭に置きつつ、今後の議論を通じて取締役会として注視すべきテーマを見極めていきます。そのうえで、長期的な視点からソニーが直面しうる機会とリスクについて経営陣との建設的な対話を継続し、戦略議論をより深いものにしていきたいと考えています。
また、指名委員会では、経営陣の後継者計画に関する議論をより一層深めていくとともに、取締役会の専門性や多様性の確保に向けた取締役候補の検討を引き続き進めていきます。
さまざまなバックグラウンドを持つ多様な取締役と経営陣による活発な議論を通じて、ソニーグループの将来のさらなる成長と企業価値向上に一層貢献できるよう、議長として取締役会をリードしていきたいと思います。
監査委員会議長・情報セキュリティ担当取締役メッセージ
ジョセフ・クラフト
社外取締役 監査委員会議長 指名委員 情報セキュリティ担当取締役
監査委員会は、2025年度の重要テーマとして、新経営体制における注力領域とガバナンス体制の整備、事業ポートフォリオの変化への対応、未適用の新たな会計基準および開示基準への対応を設定しました。各テーマについて執行側の内部統制部門、本社および各事業領域の内部監査部門並びに会計監査人からの報告を受けるとともに、継続的な意見交換を行いました。技術的・地政学的な環境変化が急速に進展する中、ビジネスCEOおよび各チーフオフィサーとは、リスクへの迅速な対応および収益構造の強化について議論を重ねています。特に、金融事業のパーシャル・スピンオフについては、実行前後の各段階における会計処理および開示の適切性を確認しました。また、一連の取引の全体像を踏まえ、各開示がステークホルダーにとって適切かつ十分な内容であるかについて、内部統制部門並びに会計監査人と議論を深めました。2026年度においても、ホームエンタテインメント領域におけるTCL Electronics Holdings Limitedとの戦略的提携をはじめ、事業ポートフォリオの変化は継続しています。監査委員会は引き続き、かかる変化に対する会計処理および開示の適時性・適切性を確認していきます。合わせて、ソニーの持続的な成長戦略を支えるべく、リスク評価をはじめとするコンプライアンス体制の一層の強化に貢献していきます。
そして、サイバー空間における脅威は、依然として年々増大し、世界中の企業が直面する最も重大なリスクの一つです。特に高度な機能を有するAIの出現により、その脅威は一段と高まっています。2025年度は情報セキュリティ担当取締役として、情報セキュリティ担当組織と連携し、情報セキュリティ管理状況の可視化を向上させることに加え、グループ重要資産の特定やそれらの保護プログラムを示すことなどにより、取締役会や経営陣のサイバーリスクに対する危機意識の向上に努めました。2026年度も、顧客や投資家をはじめとする多様なステークホルダーからの信頼に応えられるよう、実効性のあるグループ横断的な情報セキュリティマネジメント体制の維持・強化に貢献していきます。
報酬委員会議長メッセージ
ウィリアム・モロウ
社外取締役 報酬委員会議長 指名委員
ソニーの経営陣の報酬は、定額報酬、業績連動報酬、株式報酬を柱とし、株主やコミュニティ、社員を含む多様なステークホルダーの期待とベクトルを合わせながら、短期的な成果と中長期的な企業価値向上を目指すインセンティブとして機能するよう設計されています。2025年度の報酬委員会では、グローバルに通用するエンタテインメント企業としての本社の在り方を踏まえ、引き続き、エンタテインメント領域を含む国内外企業経営者の報酬に関する動向を踏まえた多面的な検討を行い、経営陣の報酬構成や水準の見直しを実施しました。また、不透明な外部環境の下での業績連動報酬の設計や、中長期的インセンティブを適切に機能させるための株式報酬の付与プラン変更や調整等についても、議論・決定しました。2026年度も、経営環境の変化やソニーの中長期的な成長戦略を踏まえ、現行の報酬制度および報酬構成を継続的に見直すとともに、既存の制度活用にとどまらず、さらなる企業価値の向上を促す中長期インセンティブの検討を進めることで、報酬の側面からソニーの成長を支援していきます。