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積み重ねたノウハウで生み出す、新たな学習体験 ── 次世代型教室がもたらす感動とは

Business

みなさんは、オンライン授業を受けたことがありますか?私は高校生の時にコロナ禍を経験し、オンライン授業が増えましたが、対面授業と比較して「集中しづらい」「先生との距離を感じる」といった不便さを覚えました。ソニーは、そうした課題を解決するために、ICT や映像技術を生かした新しい学習環境づくりに挑んでいます。意外に思われるかもしれませんが、ソニーでは、教育に関する事業を「文教ビジネス」と呼び、長きにわたり教育に携わってきました。創業者のひとりである井深大は教育に強い想いを抱き、ソニーの商用第一号製品であるテープレコーダーも、早くから教育現場で活用されてきました。ソニーは、さまざまな場面で教育現場に感動を届けてきたのです。今回は、このソニーの文教ビジネスを担当されている平岡さんに、ソニーが提供する技術や教育事業の魅力について語っていただきました!

※ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で、コンピューターやネットワーク、ソフトウェアなどを含む「情報通信技術」の総称。

平岡公英
廣瀬 羽音

コンテンツをより多くの人に届けたい。ソニーが掲げる文教ビジネスとは

── まず、ソニーが取り組む文教ビジネスについて簡単に教えてください。

ソニーはB2B(Business to Business=企業間取引)の領域においても世の中の課題解決に取り組んでいて、その中で文教ビジネスにも力を入れています。教育市場は現在、少子化や研究・学力競争が加速する中で大きな課題に直面しており、私たちのお客様である各教育機関の皆さまが置かれている環境も変わってきています。そのような状況下で、創業当時から学びの質向上に取り組んできた歴史を持つソニーが高い技術を提供し、より良い学習・研究環境の整備をするのが文教ビジネスです。長い目で見たときには、優秀な人材を育て、より良い社会づくりに貢献できるのではないかと思います。

── 平岡さんは、新卒当初から文教ビジネスに携わっていたのでしょうか?

私は経験者採用でソニーに入社したのですが、前職ではテレビ番組の映像編集や映画の配給に携わっていました。90年代後半当時、映画は劇場公開後にDVDやVHSなどのビデオパッケージを発売し、その後テレビで放映されるというのがコンテンツ流通の形でしたが、2000年代初頭にオンデマンドの映像配信が盛んになり始め、そのタイミングで私も、コンテンツ配給を通してソニーのグループ会社と関わるようになりました。そんな中で、映像がより多くの人に届くような仕組みづくりに携わりたいと思うようになりました。そのような中で、縁あってソニーに入社し、映像伝送や放送局のシステムビジネスを担当する中で、コンテンツをクリエイターから視聴者へ届ける責任の重さを経験することができました。その後文教ビジネスに関わることになりますが、工夫を凝らして学生が満足できる授業を作っているという点では、先生方もクリエイターであり、授業はある種のコンテンツだといえます。最近では、教室にカメラが設置されていることも多く、教室で生まれた授業コンテンツが映像として形に残るようになっているんです。その映像についても多くの人に届けるという点で、現在の仕事にもやりがいを感じています。

── コンテンツをより多くの人に届けるという点で、以前のキャリアも現在のお仕事に繋がっているのですね。

そうですね。ちょうど、映像をより多くの人に届けられる時代に移り変わるタイミングで、映画のようなエンターテインメント以外のコンテンツに対しても、いろいろなことができるのではないかと思い転職を決めました。ソニーに入社した当時は本当にわくわくしていましたね。

── それまでの経験が現在のお仕事に生きていると感じることはありますか。

映像制作の現場やコンテンツ流通の仕組みを知っていることで、コンテンツを作るクリエイターの方たちがどういう想いでそのコンテンツを作っているのか、どういうところに届けたいと思っているのかということをある程度理解できていることは強みかなと思います。高額なモニターを使って調整されているのも、なぜそんなにも高額なモニターが必要なのか、実際に視聴する方々にとってどのような感動があるのかも理解できているつもりなので、コンテンツのクオリティに対する見識は役に立っていると思います。

教員とは違う視点で関わる。教育現場における縁の下の力持ち

── ソニーの文教ビジネスが取り組む具体的なソリューションについて教えてください。

大きく二つあります。一つ目は、教室の中で映像を活用して授業を行うためのシステムを構築することです。大きなプロジェクターの設営などがこれにあたりますね。私たちは、「次世代型教室」として教室内のシステム構築に取り組んでいます。二つ目は、このコンテンツをより多くの人に届けていくためのソリューション開発です。教室で生まれた授業というコンテンツを、高クオリティで教室外にも広く発信できるよう、システムを構築しています。

※次世代型教室について、詳しくはこちらをご覧ください。
次世代型教室 | 教育ソリューション | 法人のお客様 | ソニー

── いま話してくださった次世代教室について、従来の技術とはどのように違うのか教えてください。

今までとは教室の定義自体が違います。オンラインでも、教室にいる人と同じ臨場感で授業を受けられるように教室全体の音声が届くようにしたり、システム操作も簡単にしたりというところが「次世代」といえる点ですね。 もちろん100 %同じというのは難しいですが、それを突き詰めて学生の意欲を高めるために、ソニーのプロダクトやシステムを導入しています。

── なぜ次世代型教室が生まれたのでしょうか。

大きな転換期はコロナ禍でした。当時、小学校から大学まですべての学校が、学び方を変えなければ学びが止まってしまうという状況で、それまで遠隔授業の経験などない先生方が試行錯誤しながら、一気にオンライン授業が広まりました。私たちも、当時お客様だった大学から、新学期が始まるまでにオンライン授業ができる教室を整備するようご依頼を受け、大至急準備しました。当時は本当に大変でしたね。そして規制が少し緩和されると、特に大学では、今度はオンライン授業と対面授業が混在するなど、より複雑な授業スタイルが求められるようになってしまいました。本来は授業に集中すればよい先生方にとって、機器の操作が大きな負担となってしまったんです。仮設のカメラやマイクを設置しても、トラブルが起き授業が止まってしまう事態が多発しました。その中で、時代に合わせた新しい教室の在り方の基本設計を作ろうということになり、「次世代型教室」が生まれました。

── 「新しい教室の在り方」とはどのようなものなのでしょうか?

まず、ハイブリッド型の授業は当たり前になり、板書よりもパソコンで資料を投影する授業のほうが増えてきました。また、最近増えているグループワークでは、学生が自分の座席を離れて教室内に散らばるので、教室の正面が人によって異なってきますよね。そうなると、ディスプレイは一方向にあるべきなのか、とか。グループワークが多くなるとオンラインで参加する学生は孤立感を感じやすいので、教室の中の音をもれなく拾い、なるべく自然に聞こえるようにするなど、いろいろな教室の定義を考えました。普段授業を受けていても特別気にすることはないかもしれませんが、今日は授業資料がよく見えてよかったなとか、音が聞こえやすかったなと感じてもらえたら私たちが仕事をする意味があります。

── 知らず知らずのうちに多くの恩恵を受けていて驚きました。教育現場における、縁の下の力持ちなのですね。

まさにその通りです。現在の教育現場では、キャンパスに学生を戻そうという流れがあり、教室以外にも学生が集えるサードプレイスを作るといった活動にも携わっています。将来的には、「次世代型教室」から「次世代型キャンパス」に広げたいです。

長い歴史の中で得た信頼があるからできる、チャレンジングな課題解決

── ソニーは創業当時から教育に携わってきたというお話がありましたが、文教ビジネスの歴史を簡単に教えてください。

ソニーの前身である「東京通信工業」時代から、テープレコーダーが視聴覚教育に活用されたり、外国語教育が盛んになる流れの中でLanguage Laboratory(通称LL教室)という教育システムを確立したりと、ソニーのテクノロジーはその時代ごとに学び方を大きく変えてきました。プロジェクターの導入も、全員が同じものを見ることで認識や理解を統一させるのに役立っています。教育現場ではこれを「共視」といい、大事な概念なんです。

※LL教室とは、リスニングやスピーキングの練習を行うための視聴覚機器が整備された、主に語学教育に特化した教室のこと。

── 文教ビジネスを展開する中で、各教育機関とも連携をされてきたのですか。

文部科学省の動向には常に気を配り、方針から大きく外れないようにしています。私たちのお客様は大学が多いのですが、全国に800校ある大学の規模や地域性による違いをチューニングする場として大学ICT推進協議会にも加盟しています。ソリューションを考える際は、実際に教鞭をとる先生方や学校職員、時には学生ともお話しする機会を何度も設け、すり合わせていきます。最近ではデジタル化を推進するための研究も先生方と一緒に進めています。

── 学生や先生、学校職員ともかなり密接に関わっているのですね。その中で感じる課題はありますか。

教育現場が大きく変わってきているなと思います。少子化も加速する中、デジタル化に適用し、特長ある学びを提供しなければ、大学は淘汰される時代に突入しています。そうなるとどうしても地方の学校は存続が厳しくなりますが、地域から学校がなくなると地域産業も低迷してしまいます。そこで最近では、大学間で吸収・合併が行われ、大学法人の統合が拡大しているんです。その際、遠隔授業が必要となり、ここでソニーのテクノロジーが役立ちます。例えば以前、北海道で二人の高校生に、ソニーがカメラを提供する高校配信センターからの遠隔授業を視察したことがあります。彼らが通う高校には高度な理系科目を教えられる先生がおらず、都市部であれば、専門性の高い塾に行くという選択肢がありますが、その地域にはそういった塾もないため、大学受験に必要な科目を学ぶことができない状況でした。このままでは夢を諦めるしかない、という状況を解決するべく配信センターから遠隔授業を提供しているのです。その時、画面越しに見たお二人がものすごく熱心に授業を聞いて勉強されていて、ソニーの技術がこんな風に役に立つのはいいなと感動しました。

── まさに、教育現場に感動を届けているのですね。では、長年にわたって教育に携わってきた歴史をもつソニーならではのビジネスだと感じることはありますか。

まず、製品クオリティの高さは強みだと思います。また、お客様である各学校機関との付き合いも長いので信頼関係が築けていると思います。信頼していただけているからこそ、お客様も遠慮なくリクエストや提案をくださいます。そして我々も信頼のもと、無難な仕事をするのではなくチャレンジングな課題解決にも向き合うことができています。このように、お客様の基盤がしっかりあるからこそ生まれる課題やそれに対するソリューションは、ソニーならではだと思います。また、実際に利用していただいている先生方がいろいろと教えてくださるので、教育に関するインプットが多いのも特徴です。

世界で活躍する人材育成の手助けがしたい

── 改めて、教育に携わるやりがいと魅力を教えてください。

やはり、実際の教育現場でソニーのソリューションが役に立っていることを実感したときや、お客様から「ありがとう」と言っていただけたときに一番やりがいを感じます。大変お世話になった上司の受け売りですが、私自身昔から、「人に感謝される仕事をする」というのをモットーにしているのですが、それを実感できる仕事はなかなかないと思うんです。売上などといったビジネス的数字の裏に、どのような人たちによるどんな努力があったのか、結果だけではなくそれまでの過程や関わる人の存在をしっかりと感じられるのがこの仕事の魅力だと考えています。

── 平岡さんが今後実現したい、理想の教育を教えてください。

私たちが関わる学校や教育機関から、いずれ世界で活躍する人材が生まれてほしいというのが大きな理想です。そのために、次世代型教室のような最新技術を提供し、より良い学習環境づくりを支えていけたらと思います。また、社会課題の解決に繋がるような技術がソニーグループ全体の中で見えやすくなってほしいです。現時点でも凄い技術はたくさんあるので、それをお客様それぞれのニーズに合うように多様に組み合わせて、最高の教育環境をつくる。そんな取り組みをもっと活性化できればと考えています。

<編集部のDiscover>
平岡さんの学生や先生方に対する想いや、ソニーが長年にわたり教育に携わってきた歩みに触れることができ、とても有意義な時間でした。ソニーの技術が、教育における地域格差の解消に貢献しているというお話をはじめ、テクノロジーを通じて教育現場に感動を届けているのだと伝わる場面が多く、印象に残りました。私が通っている大学でも、教室への技術導入やICT機器のサポートメンバーの常駐、さらに現在工事中のキャンパス設計への関わりなど、身近なところでも恩恵を受けていたことが驚きでした。教育現場の裏側で、ソニーの技術と人の想いが確かに学びを支えていることを知り、より一層興味が湧きました!


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