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スポーツがもっと楽しくなる!スポーツレッスンサービス「PULSEZ」とは?

Technology

何かスポーツや運動に取り組んだことがある方なら、「思うように体が動かない」「どうすればもっと上達できるのだろう」と感じた経験があるのではないでしょうか。私自身、幼い頃からバレエやダンス、水泳に親しんできましたが、「どこをどう直せばいいのか」が分からず、もどかしさを感じることが何度もありました。そうした課題に、テクノロジーで新たなアプローチを提示しているのが、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のスポーツICTソリューションサービス「PULSEZ(パルセズ)」※​です。映像とAIを組み合わせ、生徒一人ひとりの動きを可視化し、学びを支援します。本記事では、PULSEZがスポーツの学びにどのような変化をもたらしているのか、その背景にある開発者の想いや原体験に迫ります。

※​詳細は以下のページをご覧ください。
PULSEZ | ソニーネットワークコミュニケーションズのICTソリューション ​

山中 一宏
廣瀬 羽音

コーチにも生徒にも良い影響を与えるスポーツクラブ向けサービス

── はじめに、PULSEZとはどのようなサービスなのでしょうか。

PULSEZは、2021年からソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供している、「スマートスイミングレッスン」を進化させたサービスです。スマートスイミングレッスンは、スポーツクラブで行われるスイミングレッスンにおいて、映像を用いて上達をサポートしたり、デジタルの活用によって生徒の出席情報や進級テストの結果などの情報を連携し、コーチの手助けをしたりする、法人向けサービスです。それを、2025年からスイミング以外の種目にも展開できる形にアップデートしたものがPULSEZです。

── スマートスイミングレッスンと比較してどのような点で進化しているのでしょうか。

主に二点あります。一点目は、スマートスイミングレッスンは名の通りスイミングに対してしか使えないような構造になっていたのに対し、異なる種目特有の進級システムや「できた・できなかった」の判定、さらには一つの種目の中に存在する複数の「個人サブ種目」(体操における跳び箱・鉄棒・マットなど)を並行して管理できるよう、データベースなどの内部構造(ソフトウェア)をアップデートしました。今回のリリースでは、体操やダンスにも対象を広げています。これによって、例えば幼少期にはスイミングを習っていて、成長とともに体操やダンスにも通うことになった場合、同じスポーツクラブ内であれば、種目をまたいでこれまでの成長の軌跡を一つのシステム内で見ることができます。二点目は、体操やダンスにも展開するにあたり、無線カメラにも対応したことです。スイミングスクールでは、プールの形がある程度決まっているため、カメラの配置も固定しやすく、有線のLANケーブルを引いて施設内に設置したサーバーに繋ぐシステムとなっていました。一方で、ダンススタジオや体操教室は部屋の形や構造が異なるうえ、体操教室については跳び箱や鉄棒などの器具の置き方も店舗によってさまざまです。また、子どもたちが動き回る指導現場にLANケーブルを引くことは困難を極めるため、店舗ごとにカメラの置き方を自由に決められる「可搬式」を実現すべく、無線カメラを導入しました。

── PULSEZの導入によって、どのような効果が期待できるのでしょうか。

まず、スポーツクラブの運営サイドへの効果としては、PULSEZの導入によって進級テストの記録作業や出欠確認などの作業がかなり効率化され、残業時間が減ったというお話をいただきます。またPULSEZでは、スクールごとにコーチやお手本となる生徒の泳ぐ映像を作成し、タブレットを通じて生徒に配信できる機能を提供しているのですが、これがスクールの運営においてプラスに働いているとのことです。実は、小さな子どもを中心としたクラスでは生徒からコーチの目が離れてしまうことを避けるため、コーチ自らお手本を見せることが難しいケースもあります。そのため、お手本動画があることで生徒を見ながら指導することができ、安全管理の面でも利点があります。さらに、大規模スクールでは、店舗によって教え方に違いが生じてしまうこともありますが、このような動画サービスによって、その差が埋められるという効果もあります。生徒への効果としては、スイミングスクールでは、進級テストの中で合格するのが難しい級があるのですが、その級での在籍期間がPULSEZ導入前後で短くなったという事例も報告されています。これについては、仮説ではありますが、PULSEZを通じて提供される自身の泳ぎの映像や、映像とともに送られるコーチのメッセージ、お手本動画などを通じて生徒がきちんと課題に気づき、認識したことで上達の早期化に繋がったのではないかと考えています。実際、私もスクールに見学に行く機会がありますが、小学校低学年くらいの生徒もきちんと待ち時間に映像を確認していて驚きました。

クライアントの要望に対応し、エンドユーザーにも感動を届ける

── 法人向けサービスということですが、クライアントからどのような要望がありましたか。

まさにPULSEZはクライアントの要望に応えたサービスだといえます。スマートスイミングレッスンを導入していただいていたスポーツクラブから、これを体操やダンスでも提供してほしいという意見や、クラブ内で他種目の記録も継続して、成長の軌跡が残っていくような形にしたい、一貫した体験になるようにしたいという要望がありました。ただ、その実現は決して容易なことではありませんでした。水泳のように単一の進級システムを管理する構造から、先程ご紹介した体操のように、跳び箱・鉄棒・マットといった複数の「サブ種目」が並行し、それぞれ個別に合否判定を行う複雑な進級システムを同時に処理するためには、データベースを根本から再設計しなければならなかったからです。時間も人も限られるという厳しい制約の中で、この複雑なデータ構造をソフトウェア上で破綻なく機能させるための内部構造のアップデートには、非常に大きな苦労がありました。

── スポーツクラブ向けサービスならではの懸念点や工夫はありますか。

特にスイミングレッスンについては、やはり水着を着用しているため、映像の取り扱いについて気にされる保護者の方もいらっしゃるかと思います。そのため、サービス導入当初から、配信の対象となる生徒が泳いでいるエリア以外の部分にはぼかしをかけたり、他の生徒が映らないよう自動編集したりする機能が備えられており、対象の生徒の映像のみが配信されるようにするなど、安心してご利用いただけるための工夫をしています。

── クライアントのニーズに合わせて柔軟に対応できる、汎用性の高いサービスになっているのですね。

そうですね。スクールによって、運営方法や進級のカリキュラムも異なるので、それぞれの方針に対応できるようなシステムになっていると思います。サービスを利用いただいている年齢層も幅広く、赤ちゃんの頃から利用いただいている方もいらっしゃいますし、一部スクールでは、中高生の選手向けコースにも対応しています。さらに、成人向けコースにも導入いただいており、中には80代の方もいらっしゃいます。成人向けコースでは、スイミングスクールに通う目的が人それぞれなので、各々のモチベーションに対応できるよう映像を配信するタイミングなどを調整できる形にしています。

── エンドユーザーにも価値を届け、継続して利用してもらうための工夫があれば教えてください。

去年から始めた取り組みとして、PULSEZスイムフェスティバル※​があります。これは、スポーツクラブの垣根を越えて、PULSEZのシステムを利用して全国規模でスイミング大会を実施するという企画でした。各スクールにおいて普段のレッスンの中などでPULSEZスイムフェスティバルの日を設定し、タイムなどを計測していただき、サイト上でランキングを発表しました。このフェスティバルは「小さなヒーローを量産する」というテーマで実施し、部門を細分化しました。少人数規模のスポーツクラブでは普段、生徒間で競い合うような機会はあまりないため、PULSEZの導入によって一年に一度そのような機会を設けることができ、それを一年間頑張るための目標の一つにしていただければ良いなと思っています。スクールにとっても、カリキュラムに生徒のモチベーションとなるようなイベントを簡単に導入できるという点はプラスにはたらくと考えています。

※​PULSEZスイムフェスティバル2025について、詳細はこちらのページをご覧ください。
PULSEZ スイムフェスティバル2025 | PULSEZ | ソニーネットワークコミュニケーションズのICTソリューション​

「計測」を軸に、研究開発から事業まで

── ちなみに、山中さんはこれまでどのような分野でキャリアを築いてこられたのでしょうか。PULSEZに携わることになったきっかけや、ご自身の専門性との繋がりについて教えてください。

私自身のキャリアを振り返ると、学生時代に測定技術を研究して以来、一貫して「何かを測定・計測する」というテーマに取り組んできたように思います。前職の電機メーカーでは人を測定する画像診断装置の開発に関わり、ソニーへ転職してからは車載センシングのアルゴリズム開発に従事しました。そして現在の部署に異動して最初に手がけたのも、プールに設置している「カメラのズレを自動計測する」システムの開発でした。例えば、ビート板があたるなどしてカメラの角度が変わってしまうと、PULSEZで提供しているAI自動編集が意図した通りに機能しなくなります。そのためこのシステムは、お客様の目に直接触れるものではありませんが、サービス品質を支える重要な機能です。私自身にスポーツの競技経験はほとんどありませんが、前職で培った「人の体」に関する専門性を生かしたいという想いと、デジタル情報からは得られない「体を動かすリアルな体験」を支える楽しさに引き寄せられ、スポーツ事業の世界へ飛び込みました。

── 「計測」を軸に研究開発から事業まで幅広く携わってこられたのですね。その中で、新たな気づきや考え方の変化はありましたか。

研究開発から事業の最前線へと近づく中で、大きな心境の変化がありました。先ほどの話を例に取ると、カメラがずれることで映像品質に影響が出るという課題に対し、単に「ズレを自動計測する」という技術を作るだけでは、ユーザーの課題解決にはつながりません。ズレを知らせる通知機能や、スクールとのコミュニケーションまで含めて初めて課題が解決できます。現場に深く入り込み、クライアントと密な対話を重ねて初めて、技術が価値に変わるのだと気づいたのです。技術的な軸は同じでも、事業に携わることで、人と人とのリアルな繋がりの重要性を改めて学ぶことができました。

子どもも大人もスポーツを楽しめるように。PULSEZの輪を広げたい

── 今後、PULSEZをどのように展開していきたいとお考えでしょうか。

PULSEZという名前には、鼓動や波形を意味する「PULSE」の複数形──つまりそこには、サービスの輪がどんどん広がっていってほしいという想いが込められています。スポーツを通じて楽しみ、成長する機会は、年齢に関わらず重要だと考えているので、スポーツの楽しみが伝わるようなサービスが大人にももっと広がっていくといいですね。

── 最後に、ソニーがスポーツエンタテインメントに携わる意義について考えをお聞かせください。

ソニーが目指しているのは、スポーツとエンタテインメントの融合です。エンタテインメントだけなら、デジタル配信やテクノロジーの力が大きいですが、スポーツが掛け合わさることで、アナログな部分で人と人とのリアルな繋がりがより重要になると考えています。そういった場でのエンタテインメントを、テクノロジーの力を借りてより楽しく、そして継続していけるようなものにすることがソニーにとって意義のあることなのだと思います。

<編集部のDiscover>
山中さんのPULSEZに対する想いが伝わってきて、ソニーのスポーツエンタテインメント事業の魅力を改めて感じました!私自身、通っていたスイミングスクールにこのようなサービスがあれば利用したかったです。また、クラシックバレエの練習中に動画を撮影しても上手く映っていなかったり、動画を見ても改善点を言語化するのが難しかったりしてもどかしい思いをしました。その点で、PULSEZは映像が蓄積されるとともにコーチのメッセージも届くため、モチベーションに繋がりそうだと感じました。PULSEZは現在、約300の施設に導入されているとのことですが、PULSEZの「輪」が今後どのように広がっていくのか楽しみです!


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