| 被災状況 | |
|---|---|
| 死者 | 73,338人 |
| 負傷者 | 12万5,000人 |
| 家を失った人 | 330万人 |
| 両親や保護者を亡くした子ども | 42,000人 |
| 倒壊した教育施設 | 7,669ヵ所 |
| 倒壊した保健施設 | 388ヵ所 |
「子どもデジタルプロジェクト“EYE SEE II” に参加したのは被災したパキスタン北部マンセーラとムザファラバードの10~15歳の160人。その多くは、写真を撮った経験がありませんでした。
ワークショップは、男女各10人の20人ずつ、8つのグループに分かれて行われました。初めて触れるデジタルカメラにとまどいを見せたものの、「自分でもできる」楽しさを感じ始めてすぐ夢中に。撮影総数は3万枚にものばりました。
これらの写真には、彼らの「思い」が素直に表れています。しかし、子どもたちは最初から「自分の思いを伝える」術を身につけていたわけではありません。子どもの意見がなかなか聞かれることのない社会に育った彼らは、自分の意見を発表する機会も、同世代の子どもたちの意見を聞きそれを尊重するという経験もありませんでした。
撮影した写真はみんなで見せ合いました。そして、全員が「なぜこの写真を撮ったのか」を説明し、写真にまつわる思いを共有しあったのです。もちろん、最初は「話すこと」に慣れておらず、とまどう場面も多く見られましたが、他の子どもたちの意見を聞き、その思いを知り、共感していくうちに、自分の意見を言葉にできるようになりました。
その後、自分の思いをよりくわしく伝え、話しあいをさらに進めるために、絵を描いたり、言葉による連想ゲームを行ったりもしました。
私たちは、災害や紛争が起こった直後は強い関心を寄せますが、報道されなくなると、忘れてしまいがちです。けれど報道されなくなったからといって、崩れ落ちた建物が元通りになったわけではありません。今回のプロジェクトでは、パキスタンの首都イスラマバードを皮切りに、子どもたちが撮った写真が世界中で展示されました。審査を行った国際的に活躍する写真家たちも子どもたちの創造性に驚嘆したといいます。パキスタン政府もまた復興計画に子どもたちの考えを反映させていくことになりました。これらの写真は、多くの人たちに現地の様子をダイレクトに伝えただけでなく、子どもたちの目線で表現されたリアルな思いも世界中を駆けめぐったのです。
写真がもつ「訴える力」の大きさは、当初の予想を遥かにしのぐものでした。また、ワークショップに参加した子どもたちは、写真を撮る技術を覚えただけでなく、社会に参加するために必要な「表現」という手段があることも知りました。デジタル写真を使ったこのプロジェクトは、始まったばかりですが、世界中の子どもたちが心を通わせ合うことのできる、大きな可能性を秘めているのです。
(ワークショップ実施:2006年)
All images ©UNICEF/Asad Zaidi