【感動価値をソフトウェアで創造するSDNA特集Vol.3】好奇心が未来を拓く、エンジニアキャリアの「ポジティブスパイラル」。

ソニーグループ唯一のソフトウェア開発専門会社である、ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社(以下、SDNA)。本特集では、SDNAで働く人を通じて同社の魅力をさまざまな角度から発信していきます。
今回の記事では、ソニーのさまざまな技術領域・製品サービスに携わる幅広い経験を持ち、「技術戦略コミッティ」などグループ横断の横串活動にも尽力されている蝦名(えびな)さんにインタビュー。上級Iグレード社員※でもある蝦名さんのエンジニアとしての専門性の磨き方、そしてキャリアの広げ方について聞いてみたいと思います。
ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社の詳細については公式サイトをご覧ください。
<ジョブグレード制度について>
ソニーグループ(以下、ソニー)では、年次によらず、現在の役割(ジョブ)に応じて等級が定義されるジョブグレード制度を2015年度から導入しています。「インディビジュアル コントリビューター等級群(I等級群)」と「マネジメント等級群(M等級群)」に分かれた複線型の構成で、社員一人ひとりのキャリアの選択肢を広げることを目指した制度です。
I等級群は1から9まで設けられています。組織を統括するマネジメント等級と同程度の役割レベルを有するI6~I9のインディビジュアルコントリビューターは上級Iグレード社員と呼ばれ、高度な専門性を用いて会社や組織へ大きな貢献を果たすことが求められます。
※ソニーのキャリア/ジョブグレード制度について詳しくはこちら

「おもしろいプロジェクト」を求めてキャリアサバイブ
── 蝦名さんがこれまでに関わられた商品・サービスは多岐にわたりますが、主なプロジェクトの内容をざっくりとご紹介いただけますでしょうか。
SDNAは2000年8月に設立された会社なんですが、私はその1年前の1999年にソニー株式会社に新卒入社し、2000年からSDNAに所属しています。
入社して最初に携わったのが、VAIO®同梱プリケーション開発です。PC上のボタンを押すとアプリケーションが起動できたり、さまざまな機能を実行できたりするというものでした。
その後、Walkman®同梱ソフトウェアであるCONNECT Playerの開発に携わりました。CDから取り込んだ楽曲ファイルや、音楽配信サイトで購入した楽曲ファイルをPC上で一元管理できるというものです。今となっては当たり前に思えることかもしれませんが、当時はアーティスト名や楽曲名を日本語の順番で並べるのが難しくて。文字コード順だと日本語は一番下に来てしまうんですが、日本のアプリケーションなので日本語が先に来るようにしたり、特殊な読み方のアーティストや楽曲をリスト化してマッチングさせたり…といったことをやっていました。
次に取り組んだのは、デジタルビデオカメラHandycam®同梱アプリケーション開発です。撮影した写真や動画を一覧で表示したり、クリックすると拡大できたりといったものですね。これも今となっては当たり前なんですが、画面に表示するサムネイルの数によってその大きさをスムーズに変更できるような機能が当時は新しかったんですね。このプロジェクトには入社5~10年目あたりまで関わっていたんですが、この頃から自分ではコードを書かず、プロジェクトリーダー(PL)を担当するようになりました。
~蝦名さんがこれまでに携わった主なプロジェクト~
・ VAIO®同梱アプリケーション開発 *1
・ Walkman®同梱ソフトウェア開発
・ Handycam®同梱アプリケーション開発
・ PlayStation®Vita用PC/Macソフトウェア開発
・ (マルチデバイス向け)カメラ内蔵アプリケーション開発
・ Android TVアプリケーション開発 *2
・ Spresense 用OS SDK開発 *3*4
・ 組み込み向けLinuxインテグレーション
・ 土木建築現場向け組み込みシステム開発
・ 画像解析結果評価用アプリケーション開発
*1 VAIOは、パーソナルコンピュータのシリーズブランド。ソニーが1996年から2014年6月まで販売していたが、2014年7月からVAIO株式会社に移管された。
*2 Android TVは、スマートテレビとストリーミングデバイスに対応したGoogle社のオペレーティングシステムです。
*3 Spresenseは、ソニーが開発したスマートセンシングプロセッサー「CXD5602」が搭載されたボードです。詳細はSpresense紹介サイトをご覧ください。
*4 SDKはSoftware Development Kitの略で、ソフトウェア開発に必要なツールやドキュメントなどをまとめたパッケージのこと。OS SDKは、特定のOS上で動作するソフトウェア開発を支援するための開発キットです。
── 以前に別の記事取材※で、「SDNAでは個々人にキャリア選択がゆだねられている」という話をお聞きしたのですが、蝦名さんはご自身で希望してプロジェクトを移って来られたのでしょうか。
そうですね。私が上長にいつもお願いしていたのは、「今のプロジェクトも続けてもいいけど、何かおもしろそうなプロジェクトがあれば紹介してほしい」ということです。全然知らない分野か、自由にいろいろなことができそうかといった点が、私が考える「おもしろい」の基準です。単に飽き性なところもあるんですが、新しいものに触れて、新しいことを学ぶのが好きなんですね。
※転職者のお二人に、SDNAでのキャリアの可能性についてお聞きした過去記事
【感動価値をソフトウェアで創造する SDNA特集Vol.1】転職者から見た働きがいとキャリアアップの可能性。
── そうやって自分の知らないことや新しいものを求めていくうちに、思いがけず仕事が繋がったり技術が応用できたりするようなこともあるのでしょうか?
はい、Handycamの次に携わったPlayStation Vita用PC/Macソフトウェア開発(ゲーム機とPCを接続してデータの送受信等ができるもの)では、Handycamのときと開発メンバーも裏側の機構もそのままスライドできました。その後、並行してミラーレス内蔵アプリケーション開発プロジェクトにも携わりましたが、これも同じですね。
またその後、Spresenseというさまざまなセンサーが搭載されたボードの研究開発段階におけるSDK開発に携わることになりますが、そのとき一緒に仕事をしていた方に誘われて、ソフトウェア戦略コミッティ※にも参画することになりました。
※ソフトウェア戦略コミッティは、グループ横断の横串活動である技術戦略コミッティ内のワーキンググループの一つ。グループ各社から約30名のメンバーで構成され、新しいネットワークや開発・運用プラットの構築などに取り組んでいる。
ちなみに、上級IグレードのエンジニアとなるためにはSDNA外の方からの推薦が必要なんですが、私のことを推薦してくれたのもこの方です。あるプロダクトで培った技術が別のプロダクトに応用できることもありますし、人との関わりがまた新たな仕事に繋がっていくこともありますね。

キャリアのターニングポイントは、インテグレーション業務
── これまでさまざまな技術領域・製品サービスに携わっておられますが、その中でも、キャリアのターニングポイントがあれば教えてください。
キャリアとしては、インテグレーション業務※に関わる前と後とでは違うものになっていると思います。以前は、いろいろな製品に携わりたいとか、そのためのソフトウェア開発の能力を磨きたいといった思いが強かったのですが、インテグレーション業務をやるようになってからは、開発環境、特にコンテナを利用したアプリケーション開発に将来性を感じてどんどん引き込まれていきました。
※インテグレーションとは、異なるソフトウェアを相互に連携させること。ここにOS(オぺレーティングシステム)から切り離されたコンテナ(仮想化技術)を適用することで、俊敏性や移行性の向上、管理負荷の軽減といったメリットがある。
── きっかけとなったプロジェクト、具体的な出来事などがあったんでしょうか?
インテグレーション業務を始めて経験したのは、Handycamのプロジェクトでした。私はPLを担当していましたが、当時はまだ業務として確立されていなかったため、結局いくつかの作業は自分で調べて手探りでやっていました。
コンテナに興味を持つきっかけとなったのは、SpresenseのSDK開発です。手順リストがとても膨大である一方で、入れ替えも頻繁に起こるといった状況で、正直面倒でやりたくないんですね。これをどうにか簡単にできないか…と調べた結果、出会ったのがコンテナでした。

学んでいるうちに、学びを広めたくなってきた
── インテグレーション業務との出会いによって、働き方や仕事のスタンスなどにも変化はありましたか?
コンテナ技術について学ぼうと、社外の勉強会にも積極的に参加するようになったのもこの頃ですね。ちょうどテック系の勉強会自体が流行り始めていたタイミングでもありましたし。そうやって社外で技術について学ぶわけですが、社内ではほとんど知っている人がいない。でも、実際にコンテナを使ってもらうためには多くの人にその良さを知ってもらう必要がありました。そのため、社外で行われていたような技術や知識の共有会を是非SDNA内でも開催したいと思うようになり、社内で勉強会や交流イベントを自分でどんどん主催するようになっていきました。
── 技術力を高める意識が自分自身から組織へ、興味関心が内から外に向いていったという感じでしょうか。
社内に新しい知見を広めようといった強い思いや志をずっと持っていたわけではないんですけどね。最初のきっかけは、今から5年ほど前に携わっていた土木建築現場向けの組み込みシステム開発プロジェクトかもしれません。
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)からの依頼で、コンテナ技術が生かせるのではないかということで私に声が掛かったんです。このとき、SSSの方々向けにコンテナ技術の勉強会をするために勉強会用テキストを作ったんですけど、せっかくテキストを作ったので、一度きりで終わらせるのはもったいないと思いまして。翌年に社内でもう一度勉強会をやって、またその翌年からSDNAの新人研修にも取り入れてもらって現在まで毎年使いまわしています。ただ、使いまわすとは言っても、進化の速い分野なのでテキストは毎回アップデートも必要で、これがまた大変なんですけど(笑)。


業務後に会食を交えながら技術について語りあい、親睦を深める社内交流イベント
「SDNA night」の様子。ソニーシティ大崎の24階にあるBRIDGE TERMINALで年数回のペースで開催されている。発起人は蝦名さん。
チームがめざしているのは、開発の「ポジティブスパイラル」
── あらためて、蝦名さんの現在の仕事について教えてください。
現在も携わっているプロジェクトはいくつかありますが、SDNAの開発環境改善を行う、「BACKS」と呼ばれる社内横断チームでの活動が主務になります。
ソフトウェア開発は近年非常に高度化していて、一つのアプリケーションを作る際にもいろいろなプロダクトを取り込んで使用することが多いのですが、一つ一つのプロダクトに対する知識まで開発側でカバーすることはかなりの困難と労力を伴うことがあります。そこで、我々BACKSがそうした知識の部分を補い、開発に集中してもらうための環境づくりを行っています。
── BACKSでの活動は、さまざまなプロジェクト経験やインテグレーション業務に長年携わってきた蝦名さんならでは強みが生かされそうですね。この先で取り組みたいことや、この活動を通じて実現したいことはありますか?
いわゆるプラットフォーム・エンジニアリングと呼ばれるような、SDNA内でみんなに使ってもらえるようなシステムを作りたいですね。みんなに使ってもらうためには、ベースは我々が提供したとしても、中身はみんなで作ってもらいたい。これはインナーソースの考え方でもありますが、何か提供した知識や技術をまた別のエンジニアが使って、そのアウトプットをまた別のエンジニアが使ってアウトプットして…という、私はこれを「ポジティブスパイラル」と呼んでいるのですが、BACKSが手を出さなくてもエンジニア同士で高め合える環境づくりをめざしています。
── では最後に、エンジニアとしてのキャリアを模索中の方、SDNAで働いてみたいと考えている方々に、キャリア形成の観点からアドバイスがあればお願いします。
私はどちらかというとキャリアを横に広げていったタイプなので、そういった方向でのアドバイスになりますが、SDNAはソニーグループのあらゆるカテゴリーに関連するソフトウェア開発業務を担当しているので、ここにいるからには、畑違いと思えるようなプロジェクトにも積極的に参加していくことをお勧めします。そうすると、今まで知らなかったことに出会えたり、実は自分にはこの分野が合っていたのか、といった気づきも得られたりします。もちろんそうやって一度広げてみたうえで、この分野は深掘ってみようというのもいいですしね。

<編集部のDiscover>
蝦名さんのご経験は本当に幅広く多岐にわたっていて、実は取材時、これまでに携わったプロジェクトについてそれぞれ簡単にご紹介してもらっただけで、予定していた取材時間の半分を消化してしまうほどでした(時間が許すならば、もっと一つ一つ掘り下げてお話をうかがってみたかった…)。一つのプロジェクトで得られた知識や気づき、そして関わった人との縁から次のプロジェクトへと繋がり、そこで得られたものからまた次のプロジェクトへ…と、蝦名さんはまさにキャリアの「ポジティブスパイラル」を実践されていると感じました。
ソフトウェア開発のプロフェッショナルとして主体的にキャリアを築いていきたいという方はぜひ一度、SDNAの求人情報をご覧ください!










