「地元の女子高校生に、理工系のワクワクを伝えたい!」大学生が企画した、SCK熊本テクノロジーセンター工場見学イベントの舞台裏。

ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、理工系分野を学ぶ女子学生を支援するプログラム「SONY STEAM GIRLS EXPERIENCE」を2024年4月に創設しました。同プログラムにおける取り組みの一つとして、理工系分野を専攻する女子大学生を対象に、意欲的な学びの支援を目的とした奨学金を給付。加えて奨学生には、ソニーグループの女性エンジニアと交流する機会を提供するほか、奨学生とソニー社員が、女子中高生に対して理工系分野を学ぶことの面白さや働く楽しさを伝える「STEAM GIRLSバトンプログラム※」も実施しています。
今回の記事では、「STEAM GIRLSバトンプログラム」の一環として奨学生1期生である稲富さんが企画・運営に携わった「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社(以下、SCK)熊本テクノロジーセンター工場見学イベント(2025年12月5日実施)」をレポート。熊本県内の女子高校生19名が参加したイベント当日の様子や企画の背景について、稲富さんとともにイベントに参加してくれたSCKの永田さんに話を聞いてみました。
※「STEAM GIRLSバトンプログラム」とは、奨学生とソニー社員が、女子中高生に対して理工系分野を学ぶ面白さや、働く楽しさを伝える活動のこと
SCK熊本テクノロジーセンターに集まった19名の女子高校生、そして奨学生と女性エンジニア。
まずは、イベント当日の様子を写真とともにご紹介します。

熊本県下の3つの高校から19名の女子高校生がイベントに参加。
さらに、地元のテレビ局や新聞社の方々も取材に訪れました。「緊張した…」とおっしゃっていましたが、堂々とオープニングの挨拶を終えてイベントがスタート。

まずは「女性エンジニアのトーク」ということで、SCKの女性エンジニア4名が、現在の仕事内容や理工系を選択した理由などについてそれぞれ1分で自己紹介。

続く「グループトーク」では、女性エンジニアと理工系の女子大生がそれぞれ1名ずつ4つのテーブルに分かれて、15分間×4回のローテーションで質疑応答。
合計で60分間のトークタイムでしたが、「私はこんなことがしたくて進路を決めた」「理工系の女性はクラスに私一人だった…」などなどさまざまな話題が飛び交い、永田さんいわく「あっという間で、気づいたら時間が経っていた!」とのことでした。

車載製品に組み込まれるイメージセンサーのデモの様子。実際に車に乗っている想定で、人の目で見るものと、製品を通して見るものとの見え方の違いを体験してもらいました。
お昼休憩を挟んで午後からは、半導体製造ラインの見学。普段はめったに入れない場所なので、高校生のみなさんにとっても貴重な体験になったのではないかと思います。

会議室に戻ってからは、ワークシートを使った職業興味診断に取り組みました(ソニー社員もやってみました。さて、今の仕事は自分に合っているんでしょうか…!?)。自分の性格や興味に沿って、自分に合った職業や働き方を探して結果を共有。「意外!」「当たってる!」「やっぱり!」などの感想が溢れ、大いに盛り上がりました。

そして最後のプログラムは、「5年後の自分に手紙を書く」というもの。職業興味診断の結果も踏まえて、そして理想の自分や将来の仕事についてもイメージを膨らませながら、将来の自分自身へメッセージを書いてもらいました。

クロージングの挨拶を稲富さんから。高校生を代表する1名の方にコメントをもらいました!
記事後半はイベント企画者である稲富さんと、当日参加いただいた女性エンジニアのみなさんを代表して永田さんに、いろいろとお話をうかがってみたいと思います。
こだわったのは、女性エンジニアとの会話量。
── イベントの企画から当日運営まで、おつかれさまでした。稲富さんが今回のイベント企画を担当されたということでしたが、どのような目的を設定されたのでしょうか?
稲富:イベントの目的は、私自身が抱いていた問題意識を踏まえ、「女子高校生のみなさんにロールモデルを提供すること」「ものづくりの世界や技術に実際に触れてもらって将来の選択肢を広げること」としました。
── 今回、企画において特にこだわったのはどのあたりですか?
稲富:「参加する高校生に対して、グループトークで女性エンジニアや大学生と話す機会を、できるだけたくさん提供する」ことです。直接話せる機会を通じて、自分の将来についてもイメージが広がると願っています。
── なるほど、まさにこのイベントの目的とされていたところですね。高校生との会話を盛り上げるためにも何か工夫があったんでしょうか?
稲富:彼女たちの緊張をほぐすため、たとえば、オープニングでBGMを流したり、高校生のみなさんに積極的に話しかけるよう心掛けました。私自身が緊張しやすいタイプなので、どうしたらリラックスできるかということを考えたんです。
他には、最後の「5年後の自分に手紙を書く」企画もこだわりの一つです。参加型イベントにおいて、そのときはいろいろなことを学んだり考えたりするのですが、それだけだとすぐに忘れてしまうんですよね。だから自分が考えたことをちゃんと言語化しておくことが重要だと考えたんです。今回高校1~2年生が参加してくれたので、5年後ということは大学3年生とか4年生のときに手紙が届くことになります。ちょうど進路や将来のことについて考えるタイミングだと思うので、そのときにまた、本イベントで感じたことや考えたことを思い出してもらいたいです。

やりたいことがわからなくても、理工系に進んだっていい!
── 続いて永田さんにお聞きしたいのですが、女性エンジニアとしてどのような思いを持ってイベントに参加されたんでしょうか?
永田:女性が少ない理工系分野に進むということは自分自身も不安に感じたことがあったので、イベントに参加される高校生のみなさんへの共感がありました。そのうえで、そんな彼女たちの背中を押す活動を、自分も応援したいと思いました。
── 「女性エンジニアのトーク」では、どのようなことをお話しされたんですか?
永田:「女性エンジニアのトーク」では、まずは簡単に自己紹介を兼ねて、現在の仕事内容や理工系分野に進んだきっかけについて話しました。
── ちなみに、永田さんはなぜ理工系分野に?
永田:これはもう単純に、国語が苦手で数学が得意だっただけです(笑)。高校生のみなさんにもそのままお伝えしました。
── この話は、高校生からの共感も多かったのではないでしょうか。
永田:そうですね。私と同じように「文系科目は苦手だけど、理系科目は得意」という方が多かったので。でも本当に、理工系に進むきっかけはそれでいいと思うんです。そうやって一歩進めばまたその先に可能性は広がるので。
その後の「グループトーク」でもそういった趣旨で話をしました。私の場合、大学で学んだことと今の仕事内容はほとんど繋がっていないんです。大学では量子ドットという、いわゆる材料系の研究をしていたのですが、今は車載用イメージセンサーの開発に携わっています。「学ぶことと仕事は必ずしも繋がらなくてもいいんだ」と私自身の体験を通じて紹介できたことが、安心感に繋がったのではと思っています。自分が高校生の立場だったら、将来の仕事に繋がるような進路を選ばないといけない!と、思ってしまいそうなので。もちろん、やりたいことがあるのは良いことだと思います。でも、やりたいことがなくても、わからなくても、理工系に進んでいいんですよ。

大きな一歩よりも小さな一歩。踏み出せば、世界が広がる。
── イベントを終えて、お二人の中でも何か気づきや変化はありました?
永田:普段は女性だけで集まって情報交換をする機会はなかなか無いので、素直に気持ちを話せて共感しあえる安心感がありました。また、私は高校生のみなさんにアドバイスする立場でしたが、自分で話しながら、「◯◯しないといけない」「◯◯であらねばならない」といった固定観念に縛られるのは良くないと感じました。
稲富:理工系に進んだ女性の先輩たちに直接話を聞ける機会は、高校生にとって大きな価値があったと思いますし、私にとっても貴重な経験でした。永田さんのように、学んでいた分野が違っても就職できるんだ!という発見があったりと、良い意味で自分の将来に対して開き直ることができました。

── そういえば、あらためて聞いてみたいんですが…永田さんはなぜSCKに就職されたんですか?
永田:地元熊本で働きたかったからです。熊本から世界に貢献できる仕事はないだろうかと、研究内容にとらわれず視野を広げて就活をしていました。そのなかで出合ったのがSCKです。
面接では研究について聞かれましたし、一通り説明もしました。でもSCKは研究の内容より「何を課題ととらえて、その課題に対してどうアプローチしたのか」という点を見てくれている印象を受けました。
実際に入社してみると、私のように大学で学んだ分野とは異なる領域で働かれている方もたくさん活躍されています。

── 今のお話がまさにメッセージになっていそうですが、自身の進路について考える高校生や大学生へ最後に一言、メッセージをお願いします。
永田:理工系分野ではまだまだ女性の数は少ないですが、少ないからこそ今回のように作ることができるコミュニティがありますし、支援の動きも広がっています。理工系の良いところは、選択肢や可能性が広がることだと私は考えています。ぜひみなさんも、将来について考えを狭めることなく、広がる可能性に目を向けてもらえればと思います。
── 稲富さんからも、メッセージをお願いします。
稲富:理工系分野に少しでも興味があれば、一歩踏み出してほしいと思います。今回のようなイベントに参加してみたり、自分で調べてみたり。将来について考えることは大切ですが、先のことを考えすぎると不安になりますし、大きな一歩を踏み出そうとすると余計に怖くなってしまうこともあります。少しでも楽しいと思えることがあったら、小さな一歩でもいいので踏み出してみると、そこからまた新しい世界が広がっていくんだと思います。
<編集部のDiscover>
そうか、やりたいことがわからなくても、理工系に進んでよかったのか!永田さんの言葉に、もっと早く出合っていればよかったかもしれません。たしかに、高校生の進路選択のときに理工系分野に進むには、何かしら将来のイメージを持たないといけないような固定観念があったような気がします。言われてみると「そんなわけないじゃん!」「当たり前でしょ!」と思うようなことでも、自分一人で考えているとなかなか気付けないことも多々ありますから、今回のような機会は本当に貴重ですね。企画運営に携わったみなさん、ご参加いただいたみなさん、おつかれさまでした!
そして、「STEAM GIRLSバトンプログラム」の今後の活動にもぜひご期待ください!
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