環境負荷ゼロの未来へ ── ソニー・サステナビリティ推進部が語る "Road to Zero"のいまとこれから

近年、地球温暖化をはじめとする環境問題について、身近なところでもその影響を感じることが多くなってきたのではないでしょうか。それに伴い、SDGsや環境問題に対する注目度も日に日に高まっています。企業はその社会的責任を果たすことが求められており、環境への配慮は企業の倫理観や信頼感を示す上でも非常に重要な観点となってきました。ソニーでも長期環境計画「Road to Zero」※をはじめ、さまざまな取り組みを行っています。そこで今回は、サステナビリティ推進部・環境グループの村上さん、杜さんに、ソニーのサステナビリティへの取り組みや、お仕事の魅力について語っていただきました!
※Road to Zeroについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ソニーの環境計画 | ソニーグループポータル

- 村上 亮介

- 廣瀬 羽音
環境問題は身近な問題。私たちがRoad to Zeroに取り組む理由
── まず、お二人のこれまでのご経歴を教えてください。
村上: 私は2009年にソニーに新卒で入社して、テレビなどの中に入れる光学フィルムの設計開発を行っていました。その後、窓に貼ることで部屋が暑くなるのを防ぐ遮熱フィルムの開発に携わるようになりました。そして、2019年にソニー社内の制度である社内募集※を活用して、現在の部署に移りました。
杜:私は2020年に新卒入社しました。当時から現在の環境グループに所属していて、社内外向けのコミュニケーションや生物多様性の推進などに携わってきました。
※社内募集について、詳しくはこちらをご覧ください。
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── もともとサステナビリティに関わる仕事に就きたいと思っていたのでしょうか。
村上:最初からサステナビリティに関わる仕事を希望していたというわけではないのですが、開発に携わっていた遮熱フィルムは、室内の空調効率を高めつつヒートアイランド問題にも配慮した特殊なもので、環境にも関わりがあるものでした。製品の魅力を環境の側面からも伝えたいと感じるようになり、環境に関わる仕事に少しずつ興味を持ちました。そんな中ちょうど社内で求人が出ていたので応募し、現在の仕事に就きました。
杜:私は大学時代から環境問題を学んでいたので、環境に関わる仕事ができたらいいなと思っていました。なので、最初からそのような職種を希望し、現在のサステナビリティ推進部に配属されました。
── なるほど。環境に興味を持つきっかけは他にもあったのでしょうか。
村上:沖縄や伊豆でダイビングをしたときに、サンゴが白化している様子を目にしたり、以前はいなかった生物が観察されたと聞いたりと、環境問題について日常的にも実感する機会が多くありました。そうなると、やっぱり純粋に楽しめなくなってしまうので、環境に対して何か自分にできることがあればいいなと思うようになりました。
杜:社会問題や環境問題というとすごく大きく聞こえてしまうかもしれませんが、実際は私たちの生活の中で起こっているもので、とても身近な問題だと感じています。そのため、自分の行動で地球環境に変化を与えることや、実際に起こっている問題に興味があり、勉強も仕事も環境に関わることを選びました。
── とても素敵なお考えですね。現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
村上:主に、ソニーグループの環境に対する中期目標の推進を行っています。ソニーグループでは、「グリーンマネジメント(以下、GM)」という名称で環境中期目標を設定しており、現在は2025年度までの目標を掲げたGM2025の推進をしています。さらに、GM2025は2025年度で終わるので、2030年度を達成年とする新たな目標であるGM2030を策定し、社内で推進するための準備を進めています。
杜:私は、主にソニーグループが行っている環境活動を社内外に発信する仕事をしており、ウェブサイトやサステナビリティレポート※などを通じた情報発信に携わっています。また、GM2025のような目標推進にはソニーグループで働く社員の協力も不可欠なので、社員向けの啓発も行っています。他にも、生物多様性の推進に関連するイベントの企画・運営や、サプライチェーンにおける環境負荷の算定・化学物質の管理などをしています。
※サステナビリティレポートについて、詳しくはこちらをご覧ください。
サステナビリティレポート | ソニーグループポータル
── 難しいお仕事内容のように聞こえるのですが、専門性が求められるのではないですか。
杜:生物多様性の推進や化学物質の管理に関わるとなると、やはりある程度理系の知識も必要ですが、働きながら勉強する方が多いと思います。私も、仕事をしながら必要な知識を身につけていきました。
── ソニーでは、Road to Zeroを軸に環境活動に取り組んでいるかと思いますが、Road to Zeroとはどのようなものなのでしょうか。
村上:Road to Zeroはソニーが2010年に発表した長期環境計画です。ソニーの事業活動全体で環境負荷をゼロにしようというもので、2050年までに達成することを目標に掲げています。この計画では、「気候変動」「資源」「化学物質」「生物多様性」という4つの側面でそれぞれ目標を設定しています。しかし「気候変動」については、世界規模で影響が大きく緊急度が高くなったため、目標を前倒し、2040年までに環境負荷をゼロにするという目標を掲げ、特に重点的に取り組んでいます。
このRoad to Zero を確実に達成するために、5年ごとに立てている中期目標が先ほどご紹介したGMです。
スヌーピーと一緒にビーチクリーン!?—「らしさ」を生かした発信活動

── GM2025の具体的な取り組みを教えてください。
村上:活動の重点項目でいうと、省エネ機能の導入などでテレビをはじめとする製品の消費電力を抑えたり、テレビやヘッドホンなどさまざまな製品で石油由来のプラスチックから再生素材への移行を推進し、石油由来プラスチックの消費量を削減したりしています。事業所においては再生可能エネルギーの(以下、再エネ)導入などを行っていて、原材料・部品サプライヤーや製造委託先への環境負荷低減の働きかけにも取り組んでいます。
杜:再エネの導入に関しては、ソニーは世界の各地域で再エネ導入を推進しており、再エネ電力証書の活用や自社建物への太陽光パネルの設置などを進めています。欧州と中国の事業所は既に再エネ電力100 %でオペレーションができています。
── 環境に関する取り組みに社内外の方が参加できるイベントなどの機会はあるのでしょうか。
杜:世界規模の問題である海洋プラスチック汚染をソニーも重視していて、この対策として海洋プラごみ対策アクション「One Blue Ocean Project」※1を立ち上げました。その一環として、社員とその家族が参加できる海や河川、町の清掃活動やイベントを世界各地で行っています。他にも、生物多様性の啓発として「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」※2があり、自然観察会や写真展など、社外の方も参加できるイベントを多く実施しています。
※1「One Blue Ocean Project」について、詳しくはこちらをご覧ください。
One Blue Ocean Project | 環境 | ソニーグループポータル
※2「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」について、詳しくはこちらをご覧ください。
わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト | 環境 | ソニーグループポータル
── 社内外問わずさまざまな方に向けて発信されているんですね。
杜:はい。社内では定期的にセミナーやワークショップを開催していますし、一般の方向けには先ほどお話ししたイベントの開催や、環境に配慮した製品の展示などを行っています。あまり環境に興味がない方にも参加していただき、理解を深めるきっかけにしてほしいという想いから、毎回テーマを工夫して届けるようにしています。
── 現代では、どの企業でも環境配慮は主流になってきていますが、ソニーならではの取り組みだと感じるものはありますか。
村上:ソニーが持つIP※1を活用した取り組みは独自だと思います。例えば、株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツが、日本国内エージェントとして「PEANUTS」のマーケティング活動を行っていることもあり、スヌーピーと一緒に清掃するビーチクリーンイベントを開催しました。コラボグッズも作成し、サステナビリティ活動にエンタテインメントの要素をプラスして参加者に親近感を持ってもらうようにしました。他にも、大型LEDディスプレイで再現されるバーチャル背景の前で撮影をすることで、後処理なしに3DCGと実写を組み合わせるバーチャルプロダクション※2という映像制作の技術があるのですが、これを活用することで、映画などの撮影場所で必要になる燃料消費や、人の移動や機材の輸送に伴う乗り物の燃料消費などを減らすことができます。これもソニーならではの取り組みかなと思います。
※1 IPとは…「知的財産」のこと。特許権、著作権など、法律で保護される権利の対象となる、アイデアや創作物を指す。
※2 バーチャルプロダクションによる環境負荷低減について、詳しくはこちらをご覧ください。
映像制作における環境配慮 - バーチャルプロダクション | ソニーの「ECO」 | ソニーグループポータル
「綺麗な海で遊びたい」。楽しみを守り、誰かの行動を変えるきっかけを与えられる仕事

── 環境配慮と企業成長との両立にはやはり難しさがあると思うのですが、どのような点に苦労されていますか。
村上:コスト面が大きいですね。再生素材などの循環素材は石油由来よりも単価が高いものが多いので、それによって製品の価格が上がってしまうという葛藤があります。事業としては利益を出さなければサステナブルではないので、そのバランスが難しいです。しかし、設計者の方々は再生素材を入れたいという意志をとても強く持って一緒に考えてくれるので、社内理解が進んでいるのはありがたいなと思います。
杜:導入する素材の選択も難しいです。品質とコストのバランスもありますし、再生素材には、現在は使用が禁止されている物質が含まれている可能性もあるので、安全性の管理もより注意深く行う必要があります。
── それでも企業として環境配慮に取り組む意義は何なのでしょうか
村上:企業には、環境配慮に取り組む責任があると思います。特に規模の大きい企業は取り組むのが当然かなという思いもあり、責任を果たさなければならないと感じています。また、報道等で取り上げてもらう機会や人々の目に触れることも多いので、取り組みを知ってもらうことで社会に対しても影響を与えられるのではないかと考えています。
杜:環境に対しては、一人ひとりの行動が大事ですが、やはり個人では限界があります。そこで、企業としてサプライチェーン全体で取り組んだり、事業の仕組み自体を改善したりすることで、社会に何らかの変化を与えられるのではないかと考えています。
── 環境に関わる仕事のやりがいや魅力は何ですか。
村上:個人的にはやはり「綺麗な海で遊びたい」という思いが根本にあります。仕事として自然を守ることで、自分自身の楽しみを守れるだけでなく社会の役にも立てる、というのは大きなチャンスだと感じています。また、自分の子どもにも誇れる仕事だと日々実感しています。さらに、環境への配慮はあらゆる業務に関わるので、いろいろな人と繋がりが持てる点も魅力の一つだと思います。
杜:自分の行動が社会に影響を与えられているのだと実感したときにやりがいを感じます。環境啓発も行っているので、イベントに参加した方々や子どもたちから、「こんな問題があるなんて初めて知った」「明日から環境のために行動を心掛けようと思う」といった感想をいただけたときは、自分の仕事が誰かの行動を変えるきっかけになっているかもしれないと感じます。これは、この仕事ならではの魅力だと思います。
GM2030とともに、ソニーの環境活動は次のステップへ

── GM2030を発表するとのことですが、GM2025と比べてどのような点が異なるのでしょうか。
村上:GM2030※もGM2025から基本的な考え方は変わっておらず、引き続き4つの側面で目標を設定しています。その中で、例えば気候変動については2040年までに環境負荷をゼロにすることを目標に掲げているので、より近い将来を見据え、着実な目標に更新しているというイメージです。
杜:より多くの方に分かりやすく伝わるよう、ウェブサイトを公開しているので、ぜひご覧いただけたらうれしいです!
※GM2030について、詳しくはこちらをご覧ください。
Green Management 2030 | ソニーグループポータル
── 最後に、お二人が今後達成したいと考えていることはありますか。
村上:2050年に環境負荷ゼロを達成するまで、Road to Zeroを見届けたいですね。そのためにゴールをきちんと見据えて、一歩ずつ進んでいきたいです。
杜:私も達成まで見守りたいです。また、環境に取り組もうという意思を持つ仲間を増やせたらいいなと思っています。
── 読者のみなさまにメッセージがあればお願いします。
村上:多様なバックグラウンドを持つ人が参加できる仕事ですし、実際、いろいろな人がいることで多様な意見が出て、新たな視点で取り組みを進められることも多いです。環境に関心をもっていただける方がいたら、将来一緒にお仕事できる機会があるとうれしいなと思います。
杜:大学などで専門的に学んでいたり、現在環境に関する仕事に取り組んでいたりしなくても、環境やサステナビリティに少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしていただきたいです!
<編集部のDiscover>
私自身も環境問題を学ぶ身として、お二人の熱い想いに触れながら、ソニーのユニークな取り組みや、サステナビリティの難しさを学ぶことができ大変勉強になりました。また、環境問題に携わる仕事には、専門職のみならず、多様な業種の方々と関わりながら働けるキャリアもあるのだと知り、視野が広がりました。そして、自分の仕事が社会や人々に影響を与え、自分が好きな自然や生物、地球を守ることに繋がるというのはやはり素敵ですね!











